わかりにくい!遮断器・開閉器・断路器の違い

高圧受電設備
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どうもじんでんです。今回は遮断器・開閉器・断路器の違いについて解説していきます。電気の勉強をしていると、これらの言葉が出てきて始めのうちはよく違いがわからいものです。私も学生の時に、第一種電気工事士や第3種電気主任技術者の資格の勉強で混乱した記憶があります。しかしこれはしっかりと理解しておかないと、電気事故になり怪我、死傷や機器の損傷に繋がります。


YouTubeにて動画でも解説しています。

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遮断器・開閉器・断路器は同じもの?違うもの?

遮断器や開閉器、断路器と聞いて何をイメージしますか?どれも電気を入切する物って思いますよね。それは間違いではありません。

なのでどれも同じ物で、呼び方が違うだけと思ったりもします。しかしそれは間違いです。

電気の入切をする物というのは正解です。しかし簡単に言うと、入切できる電流の大きさがそれぞれ違います。これを理解するには電流の状態について理解する必要があります。

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電流の大きさ

電流は大きく3つの状態に分けられます。

  • 無電流
  • 負荷電流
  • 事故電流

これらについて詳しく解説します。

これらのどの電流を入切できるかで、遮断器・開閉器・断路器に分けられます。

無電流

電流が全く又は殆ど流れていない状態を指します。無負荷なんて言い方もします。無負荷の方が一般的な言い方です。今回は話の流れで無電流と言っています。

電流が流れていない状態なので、電圧の有る無しは関係ありません。電圧が無ければ、もちろん電流は流れません。しかし電圧があっても、機器が無ければ電流は流れません。

コンセントに機器を差しているが、機器のスイッチを入れていない状態と思うといいでしょう。スイッチを入れていないので電流は流れません。

負荷電流

機器を使う上で、通常流れる電流を指します。機器の定格電流など、想定されている電流の大きさです。

設計通りに使用していれば負荷電流が流れても、電線が燃えたりブレーカーが切れたりする事はありません。

事故電流

短絡などの異常時に流れる電流を指します。通常の何倍〜何十倍もの電流が流れます。

保護が無いと電線が燃えたりします。保護があれば、ブレーカーなどが切れます。

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それぞれの入切できる電流

先ほどの3つの電流の状態のどれを入切できるかで、遮断器・開閉器・断路器に分けられます。

それぞれの機器について特徴と代表的な機器や例をあげます。

遮断器

遮断器はどの電流状態でも入切できます。遮断器は、名前の通り電気を遮断できます。これは電流の状態で、1番危険な事故電流を強制的に遮断して保護する的な意味があります。

危険な電流を無理矢理にでも切るから、遮断と覚えると良いでしょう。

遮断器の例は低圧回路だと「ブレーカー」が挙げられます。高圧回路だと「真空遮断器(VCB)」「ガス遮断器(GCB)」などが挙げられます。

真空遮断器(VCB)について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

開閉器

開閉器は負荷電流と無電流を入切できます。しかし事故電流は遮断できません。

注意が必要なのが、開閉器種類によって定格電流と開閉電流が違う場合があります。

定格電流は、開閉器に常時流れていい最大電流を指します。開閉電流は、開閉できる電流を指します。一般的な仕様として「定格電流=開閉電流」か「定格電流>開閉電流」となっています。

開閉器にヒューズを組み合わせる事で、事故電流を遮断できるようにしている場合もあります。しかしこれはヒューズに遮断性能があるだけで、開閉器本体には遮断の性能はありません。

開閉器の例は低圧回路だと「ナイフスイッチ」「マグネットスイッチ」が挙げられます。高圧回路だと「高圧交流負荷開閉器(LBS)」「高圧カットアウト(PC)」が挙げられます。

高圧交流負荷開閉器(LBS)についての詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

断路器

断路器は無電流の場合のみ入切できます。少しでも電流が流れていると入切ができません。

これは作業時に安全の為に切って、物理的に回路を切り離す目的で設置されます。なので電流が流れた状態での入切は考慮されていません。

断路器の例は低圧回路だと「1Pブレーカーに組み合わされる断路端子台」が挙げられます。高圧回路だと「断路器(DS)」が挙げられます。

断路器(DS)についての詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

もし間違って入切してしまったら

もし各機器が不可能な電流を入切してしまうと、どうなるでしょうか?

例えば断路器で、負荷電流を切った場合を考えてみましょう。これは各書籍などでもよく言われている事象で、アークが発生し作業者の被災や相間短絡による電気事故が発生します。なので断路器は、負荷電流が流れている状態では操作してはいけません。

逆になぜ遮断器は、事故電流の様な大電流を入切できるのでしょうか?

これはアークの発生及び消弧能力が関係してきます。まずアークについては次の記事を読んで下さい。

アークの消弧性能による違い

遮断器・開閉器・断路器の違いは、アークの消弧性能の違いでも表せます。アークは電流や電圧が大きいほど、大きく消しづらくなります。事故電流はとても大きい電流で、1番アークが発生します。

アークの消弧能力が高い順に並べると「遮断器>開閉器>断路器」となります。これは先ほどの電流の大きさと、入切できる機器の順番と同じになっている事がわかります。

遮断器はアークの消弧能力が高く、事故電流によるアークも消弧可能です。

断路器は、アークの消弧能力は全くありません。特に高圧回路では、負荷電流でもアークが発生して危険なので操作が禁止されています。

まとめ

  • 遮断器・開閉器・断路器は電流を入切するという観点では同じ
  • 各機器で入切できる電流が違う
  • アークの消弧能力でも分けられる

遮断器・開閉器・断路器は似ている様で違うものです。特に高圧回路では、理解せずに操作すると危険が伴います。しっかりと理解して操作しましょう。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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