真空遮断器(VCB)ってなに?

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どうもじんでんです。今回は高圧受電設備において、最もメジャーな遮断器である真空遮断器についてまとめました。

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真空遮断器(VCB)とは?

真空遮断器は「VCB」とも呼び、「Vacuum Circuit Breaker」の略称です。

日本電機工業会(JEMA)にて定められている「制御器具番号」では「52」に該当します。しかし52」は「交流遮断器または接触器」となっているので、真空遮断器だけを指す番号ではないので注意が必要です。

真空遮断器(VCB)は、現在よく使われている遮断器の1つです。過去には油遮断器も存在しましたが、火災などの観点から現在は製造されていません。

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特徴

真空遮断器(VCB)は遮断器なので、「負荷電流の開閉」「事故電流の遮断」など全ての電流の入切が可能です。

遮断器や開閉器の違いは、こちらの記事を見て下さい。

事故電流の遮断では、高圧限流ヒューズもあります。高圧限流ヒューズは1度、電流を遮断すると再利用はできません。しかし真空遮断器(VCB)は繰り返し利用する事ができます。

真空遮断器(VCB)は、それ自体に事故電流を感知する機能はありません。過電流継電器から、信号を貰って動作し事故電流を遮断します。他にも地絡継電器や不足電圧継電器などから信号を貰って、回路の切り離しなどにも利用されます。

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種類

真空遮断器(VCB)にはいくつかの種類が存在します。それぞれによって価格や出来ることが違ってくるので、同じ真空遮断器(VCB)でも注意が必要です。

形による違い

真空遮断器(VCB)には、形により2つの種類があります。

  • 引出形
  • 固定形

引出形は主に、大規模な受電設備で採用されるものです。対して固定形は、小規模な受電設備に採用される事が多いです。

固定形は、本体を盤に固定するタイプです。安価である事や小型である事がメリットです。しかし故障などによる交換には、一次側と二次側の停電が必要であり交換にも時間がかかります。メンテナンス性が悪いというデメリットがあります。

引出形は、本体と固定枠に分かれているタイプです。本体はメンテナンス時には、盤の外に簡単に引き出せる様になっています。そのお陰で分解整備が容易にできます。同型であれば、簡単に交換できるのがメリットです。更に停電範囲は、真空遮断器の二次側だけで済むのもメリットです。

操作方法による違い

真空遮断器(VCB)には、操作方法により2つの種類があります。

  • 手動操作
  • 電動操作

手動操作は人の手によって操作するタイプです。本体に設置の操作レバーにて、入切操作をします。しかし保護継電器からの信号での「切」は自動で行われます。安価であるのがメリットです。しかし遠方からの操作が出来ないのがデメリットです。

電動操作は入切共に電動にて行うタイプです。遠方からの入切が可能です。またインターロックなど電気的に操作不可にすることもでき、安全に運用できるメリットがあります。本体表面のボタンでも操作できるようになっています。

引き外し方式による違い

真空遮断器(VCB)には、引き外し方式により2つの種類があります。

  • 電流引き外し方式
  • 電圧引き外し方式

これは過電流継電器との組み合わせ時に大事になります。

これについてはこちらの記事を見て下さい。

選定

真空遮断器(VCB)を選定する上で大事ポイントがあります。まずは先程に書いた種類です。これについては、内容が被るので割愛します。

ここでは、どのタイプでも共通する内容について説明します。

定格電流

定格電流は、通常時に流す事のできる電流を表しています。

変圧器や電動機の定格電流以上のものを選びましょう。

定格遮断電流

短絡などの事故電流は、通常の何倍〜何十倍もの電流が流れます。これは状況によって大きく変わっていきます。

この定格遮断電流は、どれだけの短絡電流を遮断できるかを表しています。

短絡電流は真空遮断器(VCB)を設置するポイントでの、三相短絡容量より算出する事ができます。

例えば6600Vの高圧で受電する、受電設備のメインのVCBだとします。この場合は電力会社に問い合わせると、受電点での三相短絡容量を教えてくれます。

この短絡容量は次の式が成り立ちます。

短絡容量(MVA)=√3×定格電圧(kV)×短絡電流(kA)

この式から、短絡電流を算出できることがわかります。短絡容量は「MVA」なので単位には注意が必要です。

計算で出た、短絡電流以上の定格遮断電流があるものを選びましょう。

アークの消弧方法

真空遮断器(VCB)は事故電流を遮断できるので、非常に高いアークの消弧性能があります。

真空遮断器(VCB)は名前の通り、真空内で接点の入切をします。真空遮断器(VCB)には真空バルブという部品があり、その内部は真空状態が保たれています。

アークは真空内で拡散する特徴があります。また素早く接点が離れることもあり、アークが形を留めることができず結果としてアークが消えます。

アークについて詳しくはこちらを見て下さい。

まとめ

  • 真空遮断器は「VCB」とも呼ぶ
  • 形や方法でいくつかの種類がある
  • 選定時は定格遮断電流に注意する
  • 真空内で入切する事でアークを消弧している

真空遮断器(VCB)はよく見る遮断器です。しかし種類が多くあり、選定が難しい一面があります。特にリニューアル時は注意が必要です。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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コメント

  1. ありがとうございます
    よくわかりました
    現在 中央卸売市場の施設維持で所長勤めてます
    最近瞬時停電がありました

    • 田村さま
      コメントありがとうございます。

      お褒めのお言葉ありがとうございます。
      現代の設備は瞬停でも大打撃ですね。

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