過電流継電器(OCR)ってなに?

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どうもじんでんです。今回は高圧受電設備の保護継電器の1つである、過電流継電器(OCR)について記事にしました。

高圧受電設備には様々な保護装置として保護継電器が設置されています。その中でも特に重要な保護継電器の1つに過電流継電器があります。

過電流継電器は保護継電器の一種です。保護継電器の種類については、こちらをご覧ください。

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過電流継電器(OCR)とは?

過電流継電器には色々な呼び方があり、「OCR 」や「51」とも言います。

「OCR 」は「Over Current Relay」の頭文字をとった略語です。「51」は日本電機工業会(JEMA)にて定められている「制御器具番号」に由来しています。

過電流継電器(OCR)は、短絡や過負荷など異常な電流を検知して動作します。

計器用変流器(CT)や真空遮断器(VCB)と組み合わせて使用します。

文字記号及び図記号

過電流継電器(OCR)の文字記号及び図記号は次の通りです。

過電流継電器(OCR)の文字記号及び図記号

関連規格

過電流継電器(OCR)に関連する規格などを掲げておきます。

  • 日本産業規格 JIS C 4602 高圧受電用過電流継電器
  • 日本産業規格 JIS C 0617 電気用図記号
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設置の目的

過電流継電器(OCR)は、短絡や過負荷などの異常な電流から、機器や電力系統を保護する目的で設置されます。短絡や過負荷が発生するし大電流が流れると、機器や配線が焼損する恐れがあります。

これを防ぐために過電流継電器(OCR)により電流を監視して、異常時には遮断器に遮断の指令を出して保護します。

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動作原理

過電流継電器(OCR)は、計器用変流器(CT)から電流を入力しその大きさを計測しています。一定以上の電流値が、一定時間継続すると動作します。その時の電流値が大きいほど、早く動作する特性があります。

過電流継電器(OCR)が動作すると真空遮断器(VCB)を開放する信号を出します。真空遮断器(VCB)を開放することにより、異常電流から保護します。

過電流継電器(OCR)は2つの要素で構成されており、「限時要素」と「瞬時要素」があります。

※種類によっては限時要素のみの物もあります。

整定値

過電流継電器(OCR)の整定値項目は次の3つがあります。

  • 限時要素
  • 動作時間
  • 瞬時要素

ここでは各項目の概要について説明します。

どれにも共通するのは、上位との過電流継電器(OCR)と保護協調を取ることです。主幹の過電流継電器(OCR)であれば、電力会社の変電所と保護協調を取る必要があります。

具体的な整定値の決め方については、別の記事で解説したいと思います。

限時要素

限時要素とは、過負荷による過電流からの保護を目的としているものです。

負荷電流が整定値より大きくなればなるほど早い時間で動作するようになっています。

動作時間

動作時間は、限時要素の動作がどのくらいの時間で動作するかを決めるものです。

数値が低いほど、早く動作するようになります。

継電器によっては、ダイヤルなどと表記されています。

瞬時要素

瞬時要素とは、短絡などの大電流からの保護を目的としているものです。

電流値のみで整定されます。動作時間に関しては瞬時動作になり、電流が整定値に達するとすぐに動作します。時間は50ms以内で動作します。

※種類によっては、時間の調整ができる機種もあります。

動作時間特性

過電流継電器(OCR)には、動作時間特性というものがあります。

限時要素は、電流が大きくなるほど早く動作する反限時特性を持っています。瞬時特性は、電流の大きさに関わらず同じ時間で動作する定限時特性を持っています。

下記は動作時間特性をグラフに表したものです。

過電流継電器(OCR)の動作時間特性図(総合)

この動作時間特性は、保護協調を考えるうえで非常に大事な要素となっています。

動作時間特性について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

種類

トリップ方式

過電流継電器(OCR)には、トリップ方式で分けて2つの種類が存在します。

  • 電流引外し方式タイプ
  • 電圧引外し方式タイプ

トリップ方式は遮断器などとの組み合わせ時に、非常に大事な要素です。これを誤って選定すると、事故時に真空遮断器(VCB)が遮断ができない等の不具合が発生する可能性があります。

これについては詳しくはこちらの記事で解説していますので、ご覧ください。

誘導形か静止形

また誘導円盤形と静止形にも分けられます。これは先ほどのトリップ方式のような、機能的な違いではありません。

誘導円盤形は、流れる電流の電磁力により円盤が回る原始的な機構をしています。よって振動により誤動作したり、可動部が劣化しやすい特徴があります。

対して静止形では、トランジスタなどにより動作する為に可動部が無く、誤動作がなく精度の面でもメリットがあります。

現在では、誘導型は製品としてほぼ販売しておりません。新品であれば静止形に置き換わっています。しかし使用中の設備であれば、まだまだ現役で使用されている誘導形は存在します。

配線図

過電流継電器(OCR)の基本的な配線例を示します。

電流引外し方式と電圧引外し方式で接続が変わってくるので、注意が必要です。

電流引外し方式

電流引外し方式の配線例です。

事故時には、計器用変流器(CT)からの電流をトリップコイルに流して、真空遮断器(VCB)を遮断します。

電圧引外し方式

電圧引外し方式の配線例です。

直流電圧により、トリップコイルを励磁して真空遮断器(VCB)を遮断します。その為に、直流電源が必要です。

まとめ

  • 過電流継電器は「OCR 」や「51」とも呼ぶ。
  • 計器用変流器(CT)や真空遮断器(VCB)と組み合わせて使用する。
  • 限時要素瞬時要素により構成される。
  • 限時要素は過負荷の保護を目的としている。
  • 瞬時要素は短絡などの大電流の保護を目的としている。

今回は過電流継電器(OCR)の基本的なことについて記事にしました。過電流継電器(OCR)については、整定値の決め方や保護協調についてなど多くの事柄があります。それについてはおいおい記事にしたいと思います。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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