零相変流器(ZCT)ってなに?

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どうもじんでんです。今回は零相変流器(ZCT)について記事にしてみました。理解されずに、間違って設置されているのを発見した事もあります。そのような事がないように、わかりやすく説明できればと思います。

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零相変流器(ZCT)とは?

零相変流器はZCTとも言い「Zero-phase Current Transformer」の略称です。

零相変流器(ZCT)は地絡電流を検知する為に設置されます。地絡電流とは、簡単言うと漏電の事です。

高圧受電設備に設置される地絡継電器(GR)や、低圧回路に設置される漏電警報器(LGR)と併せて設置されます。

零相変流器(ZCT)で地絡電流を検知して、各保護継電器に信号を送ります。各保護継電器は、零相変流器(ZCT)からの信号の大きさで、地絡電流の大きさを判断します。地絡電流が一定の大きさに達すると、各保護継電器が動作します。

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検出の原理

零相変流器(ZCT)の基本的な原理は、計器用変流器(CT)と変わりません。一次側に電流が流れると、それに比例して二次側にも電流が流れます。

計器用変流器(CT)では電線に流れる電流を測定する為に、測定したい電線1本を貫通させて使用します。

しかし零相変流器(ZCT)は地絡電流を測定する為に、単相回路なら2本、三相回路なら3本の電線をまとめて貫通させます。低圧回路の地絡検出の為であれば、変圧器のB種接地線を通す事でも検出可能です。これは変圧器二次側の地絡電流は、全てB種接地を通して変圧器に戻る為です。

電流には必ず行きと帰りがあり、通常その電流の大きさは同じになります。しかし地絡が発生すると、電流が正常な回路を通らずに大地を通って帰っていきます。これを漏電とも表します。

零相変流器(ZCT)の検出の原理(正常時)の説明

この電流の行きと帰りの電流の差を利用して地絡電流を検知します。正常な回路であれば、差は0Aとなり零相変流器(ZCT)は検知しません。しかし地絡が発生すると差が発生し、零相変流器(ZCT)が検知します。

零相変流器(ZCT)の検出の原理(地絡時)の説明
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外観及び接続図

零相変流器(ZCT)の一般的な外観及び接続図を示します。

零相変流器(ZCT)の電線貫通部の表面及び裏面には「K」及び「L」が表示されています。これは電流の流れる向きを表しており、通常は電線の電源側に「K」を負荷側に「L」がくるように設置します。

漏電警報器(LGR)や無方向性地絡継電器(GR)のように、地絡電流の大きさだけを見ているものなら方向は関係なく「K」と「L」を逆に設置しても理論上は問題ありません。しかし方向性地絡継電器(DGR)のように地絡の電流と電圧の位相差で方向を見ているものは、間違って設置すると正常と逆の動きをするので注意が必要です。

側面にある端子の「k」と「l」は二次側の出力になります。これらを継電器などに接続します。一般的に「kが+側」で「lが−側」です。「k」を継電器の「Z1」に、「l」を継電器の「Z2」に接続します。

側面にあるもう1組の端子の「kt」と「lt」は、試験端子と言います。この端子に電流を流すことにより、零相変流器(ZCT)の一次側に電流が流れた事になります。よって継電器の試験などの際に利用します。機種によっては設置されていない場合もあります。

零相変流器(ZCT)の選定のポイント

零相変流器(ZCT)を選ぶにあたって重要なポイントをまとめます。

  • 定格電流
  • 内径
  • 適用継電器

それぞれについて詳しく解説します。

定格電流

零相変流器(ZCT)は地絡電流を検知しますが、通常は電線には負荷電流が流れています。負荷電流は零相変流器(ZCT)に直接は関係しなさそうですが、負荷電流が通過する以上これを無視することはできません

設備の想定される負荷電流以上のものを選定しましょう。

内径

零相変流器(ZCT)は、電線を3本まとめて貫通させます。よって零相変流器(ZCT)の内径と、電線の3本まとめた外径を考えておかないといけません。

通常の計器用変流器(CT)は、1本の電線を貫通させるので簡単に判断できます。しかし零相変流器(ZCT)では3本まとめて貫通させるので注意が必要です。

適用継電器

零相変流器(ZCT)は、地絡継電器や漏電警報器などと組み合わせて使用されます。この組み合わせはメーカーや機種で決まっています。

基本的には、保護継電器で零相変流器(ZCT)の機種が指定されています。新設時は同じメーカーで揃えると思いますが、改修時は注意が必要です。

例えば地絡継電器が故障したとしましょう。地絡継電器は古い機種だったので、同じメーカーの新しい機種に変更しようとします。この時に零相変流器(ZCT)の仕様を確認しておかないと誤動作や不動作の原因になります。同じメーカーでも零相変流器(ZCT)の二次側出力が違う場合があるからです。もちろん互換性がある場合もあります。

保護継電器を違う機種に交換する際は、零相変流器(ZCT)も併せて交換すると良いでしょう。

まとめ

  • 零相変流器(ZCT)は地絡電流を検知するもの
  • GRや LGRと併せて設置される
  • 電線をまとめて貫通させて設置する
  • 地絡時の電流の行き帰りの差を利用して検知する
  • 方向性地絡継電器(DGR)の場合は「K」「L」の方向に注意する

零相変流器(ZCT)は無方向性地絡継電器(GR)や漏電警報器(LGR)では、電流の大きさだけなのでそんなに難しくありません。しかし方向性地絡継電器(DGR)となると、方向が大事になってきます。間違って設置されているケースも稀にありますので、注意しましょう。

この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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