PASの選定のポイント!

PASの選定のポイント 高圧受電設備
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どうもじんでんです。今回はPASの選定のポイントについて記事にしました。

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PASの選び方!

PASの基本については、こちらの記事を見て下さい。

PASには重要な選定ポイントがあります。それを間違えると保護装置が働かないや、不必要な動作による停電が発生する可能性があります。

高圧需要家の電気の大元のスイッチであるPASなので、キチンと選びましょう。

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選定のポイント!

PASには多くの選ぶポイントが存在します。

  1. 定格電流
  2. 無方向性か方向性か
  3. 避雷器の内蔵の有無
  4. VTの内蔵の有無
  5. その他

これらについて、ひとつずつ解説していきます。

定格電流

PASにも定格電流が存在します。定格電流を決めるポイントは2つあります。

1つ目は設備の最大電流より決定します。最大電流は「設備の変圧器容量の合計」か「契約電力」より算出します。私は変圧器容量の合計より算出しています。契約電力より算出する場合は、安全率をかけて多めに見積りましょう。変圧器容量の合計の場合は、2200kVA位までなら定格電流は200Aで大丈夫な計算になります。

2つ目は受電点での短絡容量より決定します。電力会社の変電所に近ければ近いほど、短絡容量が大きくなっていきます。短絡容量は電力会社に問い合わせれば教えてくれます。短絡容量が大きく場所で定格電流が小さいPASを設置すると、短絡事故時の大電流に耐えきる事が出来ません。短絡容量と定格電流の関係は次の通りです。

  • 短絡容量が100MVA以下なら定格電流は200A
  • 短絡容量が100MVAを超え160MVA以下なら定格電流は300A以上

これら2つのポイントより導かれた定格電流のうち、大きい方を採用しましょう。

無方向性か方向性か

PASにはセットでSOG制御装置が設置されます。

そのSOG制御装置のGR機能については、無方向性と方向性があります。GR機能は、地絡が発生した場合に動作する機能です。通常は構内で起きた地絡に対して動作します。

しかし無方向性の場合は引込みの高圧ケーブルが長いと対地静電容量の影響により、同じ配電線の他の需要家の地絡でも動作する事があります。これを「もらい事故」と言います。これを防ぐ為に方向性が存在します。方向性を設置すれば、確実に構内の地絡でのみ動作します。

無方向性か方向性かの基準は概ね、60㎐地域で高圧ケーブルが38sqの場合は40mほどです。静電容量に影響されるので、「周波数」「高圧ケーブルのサイズと長さ」で変わってきます。

各メーカーに目安が記載されているので、参考にしましょう。しかし引込みの高圧ケーブルだけでなく、その他の高圧ケーブルや変圧器の対地静電容量も影響します。なので可能な限り、方向性を選んだ方がリスクの低減に繋がります。

避雷器(LA)の内蔵の有無

高圧受電の引込柱には、PASの二次側に避雷器が設置されている場合があります。従来は別置していたのですが、現在は内蔵型が主流になってきています。

内蔵型のメリットは、絶縁抵抗値が低下しにくい事です。従来の別置だと露出しているので、経年劣化により絶縁抵抗値の低下の要因になっていました。内蔵する事で露出が減りリスクが低下します。

デメリットは避雷器の放電開始電圧などの試験ができない事です。停電点検時に試験を実施し、劣化傾向を判断したい場合は別置をオススメします。

計器用変圧器(VT)有無

PASを設置すると、SOG制御装置の電源としてAC100Vが必要となります。引込柱から受電所までが近ければ、受電所より電源を配線するのは容易です。しかし距離があると、配線が容易ではなくコストがかかります。そこでVT内蔵型にする事でPASより直接、電源を取る事ができます。

配線のコスト以外にもメリットがあります。それはPASより電源を取っているので、電源の喪失の可能性が低くなり動作の安定性が向上します。電源を長距離配線する事は、電源喪失のリスクが増加します。

その他

他の選定要素としては、本体がステンレス製の耐塩タイプやモールドコーンタイプで絶縁性能が向上しているものなどがあります。

基本性能に違いはなく、海沿いの塩害地区であれば選択するような要素になります。

また関東地区では定格電流300Aのモールドコーンタイプが標準になっているようです。このように他にも地区毎に指定があるかもしれませんので、確認しましょう。

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まとめ

  • 定格電流は「最大電流」と「短絡容量」より決める。
  • 高圧ケーブルが長い場合は、方向性を選択する。
  • 無方向性だと「もらい事故」を起こす可能性がある。
  • 避雷器の試験をしないなら、内蔵型を選ぶ。
  • 引込柱と受電所の距離があるなら、VT内蔵型にする。
  • 塩害地区では、ステンレス製やモールドコーンタイプを選ぶ。

今回はPASの選び方について記事にしました。要素がたくさんあるので、一つ一つ確実に理解しておいた方がいいです。間違ったものを選ぶと、キチンと保護ができない場合があります。高圧需要家の最後の砦となるPASなので、適切な選定をしましょう。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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コメント

  1. いつもわかりやすく説明されており勉強になります。
    当記事と少し内容がずれてますが質問いいでしょうか。
    VT内蔵PASで受電中(若しくは復電時)にSOG用AC100Vの線(P1P2)を短絡させてしまった時PASはSO動作は働くのでしょうか?
    それともSOGのvbーvcに電圧が作られていないから働かないのでしょうか?
    (電力側再閉路時に短絡されたままだと波及事故?)
    復電して受電中に慌ててP1P2を戻す先輩がいたので気になってしまいました。
    ダメだということはなんとなくわかるのですが….具体的にどうダメかと説明を求められると厳しいです。
    知恵を貸してもらえないでしょうか
    長々と失礼しました

    • 記事を読んで頂きありがとうございます。少しでもお役に立てていれば嬉しい限りです。
      さて質問についてですが、状況にもよるかと思います。
      もしP1、P2を外した状態で復電し接続途中に短絡をすればSOは動作しないかと思います。それはSOG制御装置に電源がない状態によるものです。

      SO動作のフローは
      PASにて過電流を検知 → PAS内部のスイッチが切り替わりVb-Vcが短絡状態 → SOG制御装置がVb-Vcの短絡を検知することでロックする → 
      SOG制御装置がP1-P2に電圧が無くなったことで無電圧を認識する → SOG制御装置のVa-Vcより蓄勢いた電圧でトリップコイルを動作させる → PASの開放

      VT内蔵PASのP1-P2を短絡したことで、内蔵VTが焼損し短絡状態になった場合は短絡の過電流が先かSOG制御装置の電源喪失が先かで、動作するかしないかが変わると思います。

      復電時のPAS投入時には同時にSOG制御装置に電源が入ることが必須です。復電後にP1-P2を戻すのはやってはいけません。

      明確な返答ができずに申し訳ございません。少しでもお役に立てればと思います。

  2. 素早い返信ありがとうございます。
    SOGのSO動作に関して理解不足な所があったのでとても助かりました。
    (vbーvcがSO動作時にTCにとばす回路だと勘違いしていた。)
    回路図を見直して勉強します汗

    状況により何が起きるかわかりやすく丁寧に解説してくれてありがとうございました。

    • 今度、SOGについても記事にしたいと思います。
      今後とも読んで頂ければありがたいです。

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