どうもじんでんです。今回は変圧器などの開閉器として利用される、高圧カットアウト(PC)についてまとめました。開閉器類は他にもLBSやVCBなどがありますが、それぞれ適用できる箇所が決められています。
その辺りを中心に解説していきます。
高圧カットアウト(PC)とは?
高圧カットアウトとは「PC」や「PCS」とも呼び、どちらも「Primary Cutout Switch」の略称です。
PCSは最近普及した太陽光発電設備のパワーコンディショナーの略称と被るので、PCと呼ぶ方が多いかと思います。私も昔はPCSと呼んでいましたが、今はPCと呼んでいます。
主に変圧器やコンデンサの過負荷保護や開閉器として設置されます。
特徴
高圧カットアウトの本体は磁器製で、高い絶縁性や耐候性があります。その為に屋外でも使用できます。
VCBやLBSに比べて非常に安価である事も特徴です。
しかし開閉性能が低く、遮断性能はありません。その為に大容量の変圧器には使用できません。遮断器としての性能がないので、内部に組み込むヒューズにて短絡及び過負荷の保護をします。
高圧カットアウトの操作用に専用の「高圧カットアウト用操作棒」があります。
種類
高圧カットアウトには、形状や用途でいくつか種類があります。
大きく形状で分けると2種類あります。
箱型
電気室やキュービクル内で使用され、よく見る一般的な形の高圧カットアウトです。屋外用や屋内用、耐震形、耐塩形など種類あり汎用性があります。
設置場所の違いで屋内専用と屋内屋外兼用があり、見た目で判断する事ができます。
屋内専用は、本体の上部と下部に電線を挿れる穴があります。対して屋内屋外兼用は本体の側面に電線を挿れる穴があります。
これは雨などの侵入を防ぐ為に、こういう構造をしています。
筒形
電柱上で使用されます。屋外で使用することに特化した事で、筒形になっています。筒形にする事で、「雪がのりにくい」「耐震性が高い」などのメリットがあります。
塩害地区で使用の場合は耐塩形を選びましょう。
またヒューズが切れた時に筒形が下に落ちるので、地上からでも判断しやすいという特徴もあります。
使用できる箇所
高圧カットアウトは開閉性能が低く、大容量の変圧器などの電流は開閉できません。その為に使用できる容量が決まっています。
変圧器であれば300kVAまで、コンデンサであれば50kVAまでとなっています。
また電柱上の避雷器の断路用として設置する事もあります。その際はヒューズで切れないように、ヒューズの代わりに「素通し線」を入れます。
ヒューズの種類
高圧カットアウトは遮断性能がありません。その為にヒューズを組み込んで
遮断します。これにより過負荷や短絡から保護します。
ヒューズには「限流形」と「非限流形」に分けられます。また非限流形は「速動形(テンションヒューズ)」と「遅動形(タイムラグヒューズ)」に分けられます。
それぞれの特徴は次の通りです。
- 限流形…コンデンサの保護として使用される
- 速動形…変圧器の短絡保護として一般的に使用される
- 遅動形…突入電流や始動電流で溶断しない特性があり、過負荷保護として利用される
まとめ
- 高圧カットアウトは「PC」や「PCS」とも呼ばれる
- 開閉性能はあるが低く遮断性能はない
- 箱形と筒形がある
- 変圧器やコンデンサの一次につける場合は容量の制限がある
- 避雷器の断路用に設置する場合はヒューズではなく素通し線を使う
- ヒューズにも種類がある
今回は高圧カットアウトについてまとめました。高圧カットアウトは安価でよく見る開閉器です。特徴をしっかりと知っておきたいものです。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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