どうもじんでんです。2024年9月にベッセルより新製品が発売されました。謳い文句は「電動×手動」です。
これは、あの人気商品の電ドラボールと同じです。ですが今回は電ドラボールの新製品ではありません。
その新製品の名前は「電動スリムラチェット」です。電ドラボールはドライバーの電動化でしたが、新製品はラチェットハンドルの電動化です。
ラチェットハンドルは、それなりのトルクを必要としますが、どの程度の実用性があるものなのでしょうか。早速、紹介していきます。
ベッセルの電動スリムラチェット400ER3
ベッセルより待望の新製品が発売されました。その名も「電動スリムラチェット」です。あの電ドラボールと同じ発想の新製品です。
ドライバーの次はラチェットハンドルを電動化するとは、さすがベッセルと言ったところでしょうか。
しかしドライバー作業で必要とするトルクは、そこまで大きくありません。なので小型の電動化も問題ないかと思います。
しかしラチェットハンドルは、主に六角ボルトのネジ回しに使用します。+ネジなどと比べると、大きなトルクを必要とする作業です。
初めて情報を見た時の正直な感想は、コレ使えるのかと思いました。同じ疑問を持たれている方も多いでしょう。
性能面や使い易さを確認していきたいと思います。実際に使ってみた感想では、次のような人にはおすすめできる製品だと感じました。
- ラチェットハンドルを多用する作業をする人
- 使うソケットが19mmサイズまでの人
総合評価
製品名 | 電動スリムラチェット400ER3 |
---|---|
総合おすすめ度 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
機能 | ギアが60歯、ヘッドが稼働しないなど、 基本性能は普通 | |
サイズ | 電動ラチェットとしてはコンパクト | |
重量 | ソケットハンドルと比較すると重い | |
バリエーション | 単品とソケットセット品がある | |
付加機能 | 電動化している |
※評価については、他メーカーの同等クラスの製品との比較や、個人的な主観を元に点数を付けています。
スペック
製品名 | 電動スリムラチェット400ER3 |
---|---|
対応ビット | 6.35㎜ |
対応ソケット | 9.5㎜ |
全長 | 215㎜ |
重量 | 約300g |
ラチェットギア | 60歯 6° |
ヘッド ロック位置 | 可動しない |
内蔵バッテリー | DC3.7V 1300mAh |
※抜粋して記載しています。詳しくはメーカーのサイトなどをご参照ください。またスペックの一部は実測値を記載しています。
ラチェットハンドルの電動化
電動スリムラチェットはラチェットハンドルを電動化したものです。
ラチェットハンドルは、主にソケットを装着して六角ボルトの着脱をする工具です。
ネジに対して垂直に持ち手の部分がくるので、てこの原理で簡単に強力なトルクで締め付けができます。
このような特性から、六角ボルトはサイズにもよりますが、比較的大きなトルクがかかる作業となります。
サイズはラチェットハンドルと同等
電動ラチェットは、これまでに様々なメーカーから発売されています。しかしサイズが大きく、あまり普及しているアイテムではありません。
しかし電動スリムラチェットは、一般的なラチェットハンドルと同等のサイズ感で電動化しているのがポイントです。実際に触った感じも、普通のラチェットハンドルと遜色ない感じです。
ただし重さに関しては、それなりの重さがあります。一般的なラチェットハンドルが200g程度なのに対して、電動スリムラチェットは300gとなっております。
実際に持ってみても少し重たいと感じました。
電動化しているので仕方ない部分はありますが、携行を考えている人は注意しましょう。
電動時のトルクは1N・m
皆さんが気になっているのが、トルクだと思います。この小型な本体でどのくらいのトルクが出るのでしょうか。
肝心のトルクですが、電動時は1N・mです。驚くほど小さいですね。殆どのボルトを締め付けることはできないです。
使えないじゃんと思われるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
電動スリムラチェットのコンセプトは、締め付けや緩める時は手動で、それ以外を電動で早回ししようというものです。
このコンセプトだからこそ、本体サイズを小型化できています。
ちなみに手動時は60N・mまでとなっています。
標準的な締め付けトルクでは、M12のボルトが42N・mです。M12の六角ボルトは二面幅が19㎜なので、19㎜のソケットまでが使用可能なサイズの目安です。
これ以上のサイズを使う方は、この製品は使用できないのでご注意ください。
使用感
実際に使ってみての気になる点をまとめました。
正逆の切替がない
一般的なラチェットハンドルは、ヘッドの部分に正逆の切替レバーがついており、簡単に切替ができます。
電動スリムラチェットはというと、切替機構が付いていません。では、どの様に正逆を切り替えるかというと、本体を裏返して切り替えます。
とても原始的な方法ですね。
正直、切替レバーがあった方が使いやすいのではと感じてしまいます。本体を裏返すという事は、ソケットを外して付け替える必要があります。これは面倒だと感じてしまいますね。
しかし中には余計な機構を付けないことで、耐久性が安心できるとの意見もありました。確かに考え方によっては、そのように捉えることもできます。
頻繁に正逆を切り替えて作業する人には向かない製品だと思います。一気に外してから一気に付ける作業をする人は、そこまでストレスにはならないかもしれませんね。
ボタンは片側だけ
電動は、持ち手の部分のボタンを押すだけの簡単な操作で使えます。
回転は400回転/分とそれなりの速さで回ります。手回しするよりも遥かに楽ですね。
ボタンは正転の向きで上側にあります。先ほど逆転時は裏返すと言いましたが、そうなるとボタンは下側にきます。
正転時は親指で、逆転時は人差し指で操作する感じですね。回転の向きによって操作性が変わるのは、慣れるまでは大変だと感じました。
ただしボタンの位置でも正転、逆転の向きが分かるのは良いですね。
六角軸ビットもソケットも対応
ラチェットハンドルは基本的にはソケットに対応しています。差込角と呼ばれる四角い突起で接続します。
しかし電動スリムラチェットは、基本的に6.35mm六角軸のビットに対応します。よくインパクトドライバーとかで使うものですね。
ですがソケットアダプターが付属しており、それを使うことで9.5㎜(3/8)の差込角にも対応できます。
付属のアダプターは非常にコンパクトで、本体に装着すれば一般的なラチェットハンドルと変わらない見た目くらいのサイズ感です。
普段はアダプターを装着しっぱなしで使って、+ネジなどを回したい時はビットを付け替えて使用するなんて運用が良いですね。
ソケットにもビットにも、どちらにも対応するのは使い勝手が良くて良いですね。
充電はUSB Type-C
電動スリムラチェットは内蔵バッテリーで稼働します。
内蔵バッテリーの容量はDC3.7Vの1300mAhとなっており、充電時間は約90分ということです。
どのくらい連続で使用できるかの記載は確認できませんでしたが、電ドラボールが800mAhなので倍近い容量があります。
また充電はUSB Type-Cとなっています。スマホなどと同じ充電器で充電できるのは嬉しいポイントです。現場ではモバイルバッテリーで充電するなんて使い方もできますね。
まとめ
- ラチェットハンドルを電動化した
- 締め付けと緩める作業は手動でする必要がある
- 六角軸ビットとソケットに対応
- 正逆の切替はないので、裏返して逆向きにする
電動スリムラチェットは、電ドラボールの系譜を継ぐ製品です。従って発売前から期待が高まっていました。
実際に触ってみると、製品としては素晴らしいものだと感じました。六角ボルトを回す作業がかなり省力化できます。
しかし価格が13000〜18000円程度と、かなりの値段がします。発売直後で価格が安定していないのもありますが、10000円オーバーの工具はそう簡単に購入できません。
またこの価格帯なら、ペン型インパクトドライバーも視野に入ってきます。もちろんペン型インパクトドライバーと電動ラチェットは用途が違いますが、使用状況によっては競合します。
どちらかと言うと機械整備をする整備士に向けた製品です。電気の分野では、電気工事より保守点検をする人におすすめできます。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
コメント