【疑問】CVケーブルの絶縁耐力試験が2回必要な理由

高圧受電設備
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どうもじんでんです。高圧回路に使用されるCVケーブルは、種類によっては絶縁耐力試験を2回実施しなければいけない事をご存知でしょうか?

それらの理由や対象となるCVケーブルの種類について記事にしました。

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ケーブルの種類

高圧回路に使用されるケーブルは、形状や性質など色々と種類があります。形状だけに注目して、大きく分けると「CVケーブル」と「CV-Tケーブル」に分ける事ができます。

「CVケーブル」と「CV-Tケーブル」に分けると書くと、混乱させるかもしれませんので補足します。ここで言う「CVケーブル」とは、正確には「CV-3Cケーブル」のことを指します。

今回は高圧ケーブルにおいての話なので、自ずと3心ケーブルが標準となります。簡潔に説明する為に「CVケーブル」と書きますのでご了承下さい。

「CVケーブル」「CV-Tケーブル」それぞれの構造について簡単に説明します。

※簡素化した図になりますのでご注意ください。

CVケーブルの構造

CVケーブルの構造を図で表します。

CV-Tケーブルの構造

CV-Tケーブルの構造を図で表します。

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2回の試験が必要なのはCVケーブル

先に結論を書くと、絶縁耐力試験が2回必要なケーブルの種類は「CVケーブル」です。これからはその理由について説明します。

絶縁耐力試験は、対地間に電圧を印加して行います。高圧ケーブルはシールドが存在し、それを接地した状態で試験をします。また試験器の容量に余裕があり、三相一括で試験することとします。

まず1回で良い「CV-Tケーブル」では、どのように電圧が印加されているか考えましょう。

高圧ケーブルではシールドが接地されているので、次の図のように電圧が印加されています。

図の黄色線のように導体とシールド間に電圧が印加されます。キチンと三相ともに、対地間に電圧が印加されているのが分かります。

では「CVケーブル」ではどうなるでしょう。次の図をご覧下さい。

図の黄色線のように対地間には、CV-Tケーブルと同様にキチンと電圧が印加されています。

何も問題無いように見えますよね?しかしこれではダメなんです。どこが問題なのかと言うと、相間の絶縁耐力試験ができていないのです。

図の青線ように、三相一括であれば各導体同士は同電位となります。これでは仮に相間の絶縁体に不良があっても、試験では発見する事ができません。これはシールドが三相一括で施されている為に発生します。

ちなみにCV-Tケーブルでは、一相毎にシールドが施されているので問題ありません。

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どうやって試験すればいいのか?

先ほどの説明でCVケーブルを三相一括で試験すると、相間の絶縁が試験できないと説明しました。ではどのように試験すれば良いのでしょうか?

題名のように2回の絶縁耐力試験が必要になります。しかしただ、試験するのではなく処置が必要になります。

まず1回目は三相の内、任意の一相を接地して他の二相に通常通り絶縁耐力試験を実施します。

2回目は先ほど接地した相以外の二相の内、任意の一相を接地して他の二相を試験します。

これにより、相間もキチンと電圧が印加されて試験することができます。任意の一相を接地することで、他の二相との相間の絶縁を試験できます。これを2回することで、各相間ともに試験ができるのです。

言葉だけではわかりにくいと思いますので、次の図をご覧下さい。

図のように、接地した相とそれ以外の相での相間で電圧が印加されています。しかし1回では、接地していない相間が試験できていません。

例えを書くと1回目の試験では、赤相を接地して白相と青相を一括で試験します。2回目では、白相を接地して赤相と青相を一括で試験します。この場合、赤相-白相間は2回試験することになります。

全てのCVケーブルが2回試験しないといけないのか?

試験方法については先ほどの通りですが、ここで注意しなければいけない事があります。

それは「全てのCVケーブルが今回の方法で試験をしなければいけない訳では無い」と言うことです。

まず絶縁耐力試験を実施するのは高圧ケーブルになります。高圧ケーブルは主に3300V回路用と6600V回路用に分けられます。どちらにもCVケーブルが存在しますが、構造に若干の違いがあります。

基本的に3300V回路用が今回の対象となり、前に説明した構造になっています。しかし6600V回路用は一相づつにシールドが施されています。このタイプのCVケーブルであれば、三相一括で試験しても問題ありません。

私も、各メーカーの全てのCVケーブルを網羅している訳ではありません。もしかしたら、例外的なのもあるかもしれません。CVケーブルの絶縁耐力試験をする場合は、構造を確認しましょう。

まとめ

  • 絶縁耐力試験が2回必要なのはCVケーブル
  • 三相一括でシールドが施されているから相間の試験ができない為
  • 一相を接地することで相間の試験もする
  • CVケーブルでも各相にシールドが施されているものもある

CVケーブルは最近は見る事が少なくなりました。CV-Tケーブルが主流かと思います。また3300Vの回路も、少なくなってきたと感じています。なのであまり経験することはないとは思いますが、是非とも知っておいてもらいたいです。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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