どうもじんでんです。今回は計器用変圧器(VT)についての解説です。
計器用変圧器(VT)とは?
計器用変圧器はVTとも言い「Voltage Transformer」の略称です。昔はPT「Potential Transformer」とも呼んでいました。古い図面なんかにはPTとの表記がありますが、機能などには違いはなく呼び方が違うだけです。「Potential」には「電位」との意味があります。
高圧受電設備などで電圧計がついていると思いますが、それらの為に計器用変圧器が設置されています。
なぜ計器用変圧器を介して計測する必要があるか疑問に思う方もいるかもしれません。それは高電圧のままでは計器類や配線などをそれ相応に作る必要があり、コスト面や安全面で現実的ではありません。
その為に計器用変圧器で取扱のしやすい電圧に変換して、計測などをしています。
取扱上の注意
計器用変圧器の取扱で、やってはいけない事があります。それは通電中に二次側を短絡してはいけないということです。二次側を短絡してしまうと大電流が流れ焼損し、絶縁破壊を招いてしまう恐れがあります。
通電中に二次側の計器などの交換が、必要な場合があります。安全に作業しようと思えば全停電しての作業が良いのですが、そうもいかない場合があるかと思います。
その場合は作業範囲より上位の試験端子などで開放をして、電圧がない状態で作業しましょう。この時に計器用変流器の回路の短絡と間違えないようにしましょう。
また計器用変圧器の二次側回路を試験端子などで開放する場合に、注意することがもう一つあります。それは不足電圧継電器が設置されていないことを確認することです。
不足電圧継電器は試験端子より負荷側に設置されていることが多く、試験端子にて開放すると不足電圧継電器の入力も0Vになり動作してしまいます。警報だけならいいのですが、遮断器の開放や発電機の起動などのスタート信号になっていると、不用意の停電などを引き起こしてしまいます。
計器用変圧器(VT)の選定のポイント
計器用変圧器を選ぶにあたって大事なポイントがあります。
一次電圧
一次電圧は、測定したい回路の定格電圧に合わせます。
二次側は110Vと決まっています。
110Vや220Vの回路では、計器用変圧器を介さずに直接計測する場合もあります
定格負担
定格負担とは簡単に言うと容量のようなものです。定格負担を超えて接続すると、誤差が大きくなり精度が保てません。 接続する計器や継電器の負担(VA)より、大きいものを選びましょう。
一次ヒューズ
計器用変圧器には一次側にヒューズが必要です。殆どの計器用変圧器は標準で装着されているので、あまり考える必要はないです。
しかし機器本体に装着されていない機種では、別途で計器用変圧器の一次側の直近に設置するようにしましょう。
このヒューズの設置の目的は主回路の保護です。計器用変圧器が絶縁劣化や破壊で短絡電流が流れた際に、主回路より切り離し波及を防ぐことができます。
他にも二次側で誤って短絡して、大電流が流れた場合も同じです。
設置方法
計器用変圧器は、単品だと単相の変圧器となっています。
高圧回路では三相回路なので、1台では電圧の計測はできません。よって一般的には、2台を用いたV結線としています。
3台を用いても計測が可能ですが、計測などの小容量なのでV結線で事足ります。費用対効果で2台でのV結線が一般的になっています。
VTが2台でも三相電圧が測定できる理由は、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
- 二次側を短絡してはいけない
- 一次電圧は設置する回路の定格電圧に合わせる
- 二次電圧は110V
- 定格負担は、接続する計器や継電器の負担の合計より大きいものを選ぶ
- 一次側にはヒューズを設置する
- ヒューズは主回路の保護も目的としている
- 2台をV結線して三相電圧を計測する
今回は計器用変圧器(VT)について記事にしました。基本的なことばかりですが、だからこそしっかりと理解しておくことが重要だと思います。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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