どうもじんでんです。今回は周波数継電器の解説です。
周波数継電器は保護継電器の一種です。保護継電器の種類については、こちらをご覧ください。
周波数継電器(FR)とは?
周波数継電器には色々な呼び方があり、「FR」や「95」とも言います。「FR」は「Frequency Relays」の頭文字をとった略称です。「95」は日本電機工業会(JEMA)にて定められている「制御器具番号」に由来しています。
周波数継電器は、周波数を一定に保つために周波数の上昇、低下を検知して動作する継電器です。
文字記号及び図記号
過周波数継電器(OFR)の文字記号及び図記号は次の通りです。
不足周波数継電器(UFR)の文字記号及び図記号は次の通りです。
関連規格
周波数継電器継電器に関連する規格などを掲げておきます。
- 電気規格調査会 JEC-2519 ディジタル形周波数リレー
- 日本産業規格 JIS C 0617 電気用図記号
周波数継電器(FR)の種類
周波数継電器には2つの種類があります。
- 過周波数継電器
- 不足周波数継電器
過周波数継電器
過周波数継電器は「OFR」や「95H」とも呼びます。
周波数の上昇を検知して動作します。
不足周波数継電器
不足周波数継電器は「UFR」や「95L」とも呼びます。
周波数の低下を検知して動作します。
設置の目的
周波数継電器は、周波数の変化を検知して動作します。
具体的に目的は次の通りです。
- 発電機の故障による周波数の変動を検知
- 系統事故時の周波数低下を検知して単独運転を防止
- 単独運転時の周波数上昇を検知して発電機を系統から解列
これらを検知して信号を出し遮断器を切ったり、発電機を停止させます。
整定値
周波数継電器には、「動作値」「動作時間」の整定項目があります。
それぞれ一般的な整定値を挙げています。しかし最終的には電力会社との協議により決定します。
動作値
動作値は、ここまで周波数が低下(上昇)したら動作する整定です。
通常は不足周波数継電器(UFR)なら定格周波数−1Hz、過周波数継電器(OFR)なら定格周波数+1Hzとします。
動作時間
動作時間は、上記の動作値以下(以上)が何秒継続したら動作するかの整定です。
通常は1秒となっています。
制御電源
周波数継電器は、電力会社と連系する発電設備に設置されることが多いです。その為に確実に保護継電器が動作する必要があります。
特に制御電源が喪失すると保護ができません。その為に停電時でも、制御電源が必要となります。
その対策として直流回路より給電し、停電時にはバッテリーから給電する方法があります。他にも制御電源の交流回路に、無停電電源装置(UPS)を設置するなどの方法もあります。
不足周波数継電器の整定値の変更依頼
2019年5月に電力広域的運営推進機関及び各電力会社から、「既連系発電設備における周波数低下リレー(UFR)の整定値変更のお願い」というものが発電事業者に向けて出されました。
これは2018年9月の北海道胆振東部地震の時に発生した、大規模停電の対策として出されたものです。
経緯
この北海道胆振東部地震により、近くの電力会社の発電所が停止し瞬間的に周波数が低下しました。これによりほぼ全ての風力発電所の不足周波数継電器が動作し、発電を停止しました。よってさらに電力が不足し、連鎖的に電力会社の発電所も停止し大規模な停電へとつながりました。
これの対策として、不足周波数継電器の整定値を緩くして停止しにくくしようというのがこのお願いになります。
整定値一覧
整定値は50Hz地域と60Hz地域、電圧の違いで分かれます。
北海道電力管内の特高だけ特殊です。
北海道電力管内 | 50㎐地域 | 60㎐地域 | |
特高 | 47.0㎐以下 | 47.5㎐ | 57.0㎐ |
高圧 | FRT要件適用 47.5㎐ FRT要件非適用 48.5㎐ | 同左 | FRT要件適用 57.0㎐ FRT要件非適用 58.2㎐ |
低圧 | 高圧と同じ | 同左 | 高圧と同じ |
動作時間は高圧・低圧は最大2秒。特高は高低圧に準じて2秒以上。
詳しくは電力広域的運営推進機関及び各電力会社のホームページをご覧ください。
対応
このお願いで定期点検時に上記の整定値へ変更がお願いされています。
変更が可能ならば対応した方が良いでしょう。
まとめ
- 周波数継電器は不足周波数継電器と過周波数継電器がある
- それぞれ「UFR」「95L」「OFR」「95H」などとも呼ぶ
- 整定値は電力会社と協議で決まる
周波数継電器は系統連系や発電機に重要な継電器です。また北海道胆振東部地震以降、整定値の見直しも行われています。ぜひ理解しておきたいものです。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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