どうもじんでんです。電力系統には、故障時に回路を保護する様々な仕組みが施されています。これは電力系統は全て繋がっており、一部で発生した電気事故は全てに影響します。
そうなると大規模な範囲で停電が発生してしまいます。それを防ぐ為に、電気事故時に停電する範囲が最小限になる様に設計されています。
それに一役買っているのが保護継電器です。
今回は様々な種類がある保護継電器をまとめて紹介します。
保護継電器とは?
保護継電器とは、電圧や電流などの変化を検知して動作する継電器です。保護リレーとも呼ばれます。
電力系統では異常が発生すると、電圧や電流などが急激に変化します。これを放置すると、広域的に停電したり機器が故障したりします。
保護継電器は、これらの変化を検知して遮断器などに指令を出し、異常回路を系統から切り離します。これにより電力系統及び機器を保護します。
また保護継電器は、電力系統の下位から早く動作する様に設定されています。これの仕組みを保護協調と言います。保護協調について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
保護協調により、異常時に停電する範囲を最小限に留めています。
保護継電器の種類一覧
保護継電器には保護する要素によって、様々な種類があります。それぞれの保護継電器の特徴を解説します。
過電流継電器
過電流継電器は、短絡や過負荷などの過電流から系統や機器を保護する目的で設置されます。
過電流継電器は「OCR」や「51」などとも呼ばれます。
過電流継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
地絡継電器
地絡継電器は地絡で発生する地絡電流を検出して、地絡点を除去する目的で設置されます。
地絡継電器は「GR」や「51G」などとも呼ばれます。
地絡継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
地絡方向継電器
地絡方向継電器は地絡で発生する地絡電流と地絡電圧を検出して、地絡点を除去する目的で設置されます。地絡継電器と同じ目的で設置されますが、地絡方向継電器はもらい事故を防ぐことができます。
もらい事故について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
地絡方向継電器は「DGR」や「67」などとも呼ばれます。
地絡方向継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
不足電圧継電器
不足電圧継電器は電圧の低下から、系統や機器を保護する目的で設置されます。
不足電圧継電器は「UVR」や「27」などとも呼ばれます。
不足電圧継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
過電圧継電器
過電圧継電器は電圧の上昇から、系統や機器を保護する目的で設置されます。
過電圧継電器は「OVR」や「59」などとも呼ばれます。
過電圧継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
地絡過電圧継電器
地絡過電圧継電器は地絡時に発生する地絡電圧を検出して、地絡を除去する目的で設置されます。
地絡過電圧継電器は「OVGR」や「64」などとも呼ばれます。
地絡過電圧継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
逆電力継電器
逆電力継電器は、電力が系統に逆潮流しない様にする目的で設置されます。逆潮流について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
逆電力継電器は「RPR」や「67P」などとも呼ばれます。
逆電力継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
不足電力継電器
不足電力継電器は、電力が一定量を下回った状態を検知する目的で設置されます。連系する発電機により逆潮流しない場合で、単独運転を防止する為に設置されます。
不足電力継電器は「UPR」や「91L」などとも呼ばれ
不足周波数継電器
不足周波数継電器は周波数の低下から、系統や機器を保護する目的で設置されます。
不足周波数継電器は「UFR」や「95L」などとも呼ばれます。
不足周波数継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
過周波数継電器
過周波数継電器は周波数の上昇から、系統や機器を保護する目的で設置されます。
過周波数継電器は「OFR」や「95H」などとも呼ばれます。
過周波数継電器について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
比率作動継電器
比率作動継電器は、変圧器保護を目的として設置されます。変圧器の一次電流と二次電流の比率は正常時は一定です。しかし変圧器の異常時には、この比率が一定ではなくなります。これを比率作動継電器が検出します。
比率作動継電器は「RDFR」や「87」などとも呼ばれます。
短絡方向継電器
短絡方向継電器は、発電設備の系統側の短絡事故の検出を目的として設置されます。系統側で短絡事故が発生した場合は、系統に向かって発電設備から短絡電流が流れます。しかしその値は比較的小さいので、過電流継電器では検出できません。短絡方向継電器はこの電流を検出します。
短絡方向継電器は「DSR」や「67S」などとも呼ばれます。
差電圧継電器
差電圧継電器は、スポットネットワーク受電方式(SNW)に設置されるスポットネットワークリレーの一部です。差電圧投入要素とも呼ばれます。
SNWの3回線の内の1回線が停電した際は、逆電力要素で停電回路の遮断器が開放されます。後に停電した1回線が送電してきた際は、遮断器の一次側と二次側で電圧の大きさと位相が異なります。差電圧継電器はこの2つの電圧を見て、問題なければ遮断器を投入する指令を出します。
界磁喪失継電器
界磁喪失継電器は、同期発電機の界磁が喪失したことを検知する目的で設置されます。界磁喪失すると発電機の故障や系統への悪影響があり、速やかに発電機を系統から解列させる必要があります。
発電機の端子電圧と電機子電流を入力して、そこから得られるインピーダンスで界磁喪失を検出します。
界磁喪失継電器はや「40」などとも呼ばれます
距離継電器
距離継電器は、送電線の保護を目的として設置されます。事故点までの距離を測定し、事故点が保護範囲であれば動作する継電器です。電圧と電流を入力し、そこからインピーダンスを求めて距離を測定します。
距離継電器は「44」などとも呼ばれます。
まとめ
- 保護継電器は電圧や電流の変化を検知する継電器
- 保護継電器により電力系統や機器を保護する
- 保護継電器には目的によって種類がある
保護継電器は、電力系統を守る大事な電気設備です。一般的には過電流継電器や地絡継電器がメジャーですが、設備が大きくなれば様々な保護継電器があります。
どの様な保護継電器があるかだけでも知っておくといいでしょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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