どうもじんでんです。高圧受電設備において高圧側の電圧を計測する為に、計器用変圧器(VT)が設置されています。そんなVTは、一般的な1つの高圧受電設備で何台設置されているでしょうか。
答えは2台です。2台のVTを組み合わせて三相電圧を計測しています。なぜ2台のVTで、三相電圧が計測できるのでしょうか?
今回はそんなVTの疑問について解説します。
計器用変圧器(VT)とは?
計器用変圧器とは、主に高圧の電圧を計測する目的の為に設置される機器です。ここでは略称のVTと呼びます。
高圧の電圧は非常に危険な為、直接電圧計などで計測することが難しいです。
その為に計器用変圧器を介することで、高電圧を低電圧に変換して扱いやすくして計測します。
計器用変圧器(VT)について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
VTの基本
VTは、基本的に1台で単相変圧器と同じ働きをします。
一般的な高圧受電設備で使用されるVTは、6600V /110Vの仕様の物が使われます。これは一次側の定格電圧が6600Vで、二次側の定格電圧が110Vであることを示します。
つまり一次側に6600Vが印加された時に、変圧されて二次側に110Vが出力されます。
なお計器用変圧器は単相変圧器と同じなので、一次側と二次側にそれぞれ2本の電線を接続します。1台のVTでは、単相の電圧しか計測できません。
VTの結線
VTの計測の疑問を解決するには、まずは結線を理解しておかなければいけません。
基本的な高圧受電設備でのVTの結線は下記の図の通りです。
この図では2台のVTを使用しています。
まずはこの結線図をよく覚えておきましょう。
V結線で使用している
ここからは、なぜVT2台で三相電圧が計測できるのかについて解説します。
VTが2台で三相電圧を計測できるのは、V結線と呼ばれる結線方法を利用しているからです。
V結線は通常の変圧器でも使用される結線方法です。
一昔前は、比較的に小規模な高圧受電設備でよく使用されていました。現在では、三相変圧器を使用するので見かけることは少なくなりました。
概要としては、2台の単相変圧器を組み合わせて三相の電圧を取り出すことができます。これにより2台のVTで三相電圧を計測できるのが分かりますね。
ベクトル図
なぜV結線で三相電圧が計測できるかを知るには、ベクトル図を理解しなければいけません。
前述の結線図を変形したものが下記の図です。
これをベクトル図にすると次のようになります。
RーS間及びSーT間の電圧VRS、VSTは、すぐに理解できると思います。
では、RーT間の電圧はどうなるでしょうか。
RーT間の電圧VTRは、VRSとVSTの電圧の合成となります。ただし順がT→S→Rとなるので、VRSとVSTはどちらも-となります。
これによりVRS、VST、VTRは位相が120°ずつずれている三相電圧と同じなります。
このように単相変圧器を3台使用せずとも、三相電圧を取り出すことが可能です。
まとめ
- VT2台で三相電圧の計測ができる
- V結線を利用している
- ベクトル図を理解しよう
VTの仕組みなどは、基本的にはあまり必要とされない知識です。しかし高圧受電設備を知る上では、避けては通れない道です。
特にV結線については、変圧器でも採用されているので大事な要素です。
しっかりと理解しておきたいものですね。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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