【疑問】避雷器の接地線は14㎟が必要なのか?

高圧受電設備
当サイトはアフェリエイト広告を利用しています。

どうもじんでんです。今回はたまに質問を受ける、避雷器の接地線のサイズについてです。今回の避雷器とは高圧電路に設置するものを指しています。

スポンサーリンク

避雷器の接地線のサイズの疑問

高圧受電設備において、たまにこんな質問を受けます。

避雷器の接地線って14㎟が必要なの?A種だから5.5㎟でいいのでは?

皆さん避雷器の接地線が14㎟なのは知っているようですが、なぜなのかを理解できていない為にこの様な疑問が生まれる様です。

果たして避雷器の接地線に14㎟が必要なのでしょうか?この疑問について一つずつ紐解いていきましょう。

スポンサーリンク

避雷器の接地線はA種接地

まず避雷器の接地線は、種別でいうとA種接地が必要です。これは電気設備技術基準の第37条「避雷器等の施設」で決まっています。

そしてA種接地の接地線のサイズは2.6以上と決まっています。これも同じく電気設備技術基準の第17条「接地工事の種類及び施設方法」で決まっています。

2.6㎜を㎟に変換すると5.5㎟になります。14㎟と単位を合わせる為に、これからは5.5㎟で表現を統一します。

電線サイズの変換についてはこちらの記事をご覧ください。

これだけでいくと5.5㎟以上あれば問題ない様に思えます。これが多くの人を悩ませる根源となっています。

答えはどうでしょうか?

電気設備技術基準は、法律であり絶対に守らなくてはなりません。逆をいうと、これを守っておけば最低限は大丈夫ということになります。

なので1つの答えとして、「避雷器の接地線のサイズは5.5㎟でも問題ない」となります。

しかしこれは、あくまでも答えの1つです。この後も必ず読んで下さい。

スポンサーリンク

14㎟は何が根拠?

先程の項目で5.5㎟でも問題ないとの答えが出ました。

しかしでは何故、多くの人が避雷器の接地線のサイズは14㎟と認識しているのでしょうか?

これは民間自主規格である、「高圧受電設備規程」が関係しています。

高圧受電設備規定の「1160-2接地工事の接地抵抗値及び接地線の太さ」で避雷器の接地線のサイズは14㎟と決まっています。これにより14㎟と認識している人が多くいるのでしょう。

高圧受電設備規程は多くの企業で電気設備技術基準を補完するものとして、判断基準として用いられます。

これからいくと「避雷器の接地線のサイズは14㎟が必要」となります。これも答えの1つと言えます。

法律と民間自主規格

ここまで相反する2つの答えが出ました。

避雷器の接地線のサイズは5.5㎟で問題ない

避雷器の接地線のサイズは14㎟が必要

さてどちらが優先されるのでしょうか?

考え方の1つとして「サイズが大きい方が安全」「大は小を兼ねる」という考えがあります。確かに5.5㎟以上である事が求められるので、14㎟ならそれもクリアしています。

では5.5㎟でも問題ないという意見はどこから出るのでしょうか?

理由は様々ですが、例として「電線を小さくする事で材料費を安くする」「改修工事で避雷器を新設するが、14㎟の接地極がないので既設の接地を流用する」が考えられます。

ここで法律と民間自主規格の問題があります。

工事費を安くしたいAさんと14㎟で施工したいBさんが議論になったらどうなるでしょう?とても難しいですね。Aさんの方が立場が上であれば、法律をクリアしているで問題ないで押し通されるでしょう。

高圧受電設備規程はあくまでも民間自主規格なので、残念ながら拘束力はありません

メーカーの指定

法的には5.5㎟で問題ないとの結論が出ました。しかしもう1つ判断するポイントがあります。

それは各メーカーの取扱説明書です。メーカーや機種にもよりますが、取扱説明書にて14㎟以上の接地線を取り付ける様に指定しています。これは高圧受電設備規程を元に指定していると考えられます。

取扱説明書は法律ではありませんが、指定の方法で施工していなければ問題が起きても保証はされません。

結論

高圧受電設備は最終的には、電気主任技術者が大丈夫と判断すれば問題ありません。なので判断は電気主任技術者によるとなります。

電気技術基準」「高圧受電設備規程」「メーカーの取扱説明書」など、どれを判断基準にするかで変わってきます。

個人的な見解

ここからは私、個人の見解を示したいと思います。私は14㎟が必要と考えます。それはメーカーの取扱説明書が重要と考えるからです。

何か問題があった時に、メーカーに調査依頼する場合もあります。その時に施工不良が原因と言われる可能性があります。その問題が仮に接地線のサイズによるもので無くても、施工不良が原因と言われれば文句のつけようがありません。

何かあった時に、落ち度がない様に施工しておくべきでしょう

まとめ

  • 電気設備技術基準でいくと5.5㎟以上が必要
  • 高圧受電設備規程では14㎟以上が必要
  • 電気設備技術技術と高圧受電設備規程では法的な拘束力が違う
  • メーカーでは14㎟での施工を指定している
  • 最終的には電気主任技術者の判断

避雷器の接地線のサイズについては、よく質問があります。多くの人が同じ疑問を抱いているのでしょう。また説明や説得する為の資料や根拠を探しているといえます。その様な方の参考になればと思います。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

じんでんをフォローする
高圧受電設備
スポンサーリンク
じんでんをフォローする
電気屋の気まぐれ忘備録

コメント

スポンサーリンク