どうもじんでんです。PASとSOG制御装置は、殆どの需要家に設置されていますね。年次点検では必ず、SOG制御装置の継電器試験を実施して、PASとの連動試験を実施するかと思います。
こなす数が多いだけに、故障に遭遇することも少なくありません。そこであなたは、何が故障しているか診断できますか?特にPASとSOG制御装置は組み合わせになるので、どちらが故障しているか判断を迫られます。
ここではPASとSOG制御装置の故障診断と、その方法について解説します。
PASとSOG制御装置の基本
まずはPASとSOG制御装置の基礎について簡単に解説します。
PASとは?
PASとは高圧需要家において、電力会社との責任分界点の開閉器として用いられるものです。
PASについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
SOG制御装置とは?
SOG制御装置とは、PASとセットで設置される保護継電器です。
SOG制御装置は、主に波及事故を防ぐ目的で設置されます。
SOG制御装置について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
PASとSOG制御装置の故障診断の必要性
PASとSOG制御装置の試験を実施して、何かしら故障と思われる事象が発生したとします。
機器が故障したら交換するしかありません。しかしPASとSOG制御装置では、どちらが故障しているのか判断が難しいです。
SOG制御装置の単体試験で不良と判断しても、実はその原因はPASにあったりする場合もあります。この場合にSOG制御装置のみ交換しても、また不良となってしまいます。
逆ではPASとの連動試験で開放しないので、PASの故障と思ったら、実はSOG制御装置の故障だったなどもあります。
この様にPASとSOG制御装置では、試験により不良と判断した場合は、どちらが原因なのか判断する必要があります。
故障診断方法【SOG制御装置の単体試験編】
試験の流れ的に、SOG制御装置の単体試験から始めると思います。なので、まずはSOG制御装置の単体試験における故障診断について、不良判定パターン毎に解説します。
動作電圧、動作電流が不良判定
動作電圧V0及び動作電流I0の動作特性試験が、不良判定となった場合の故障診断について解説します。
V0及びI0を入力すると、PAS内部のZPD及びZCTで変換されて、Y1-Y2(Z2)及びZ1-Z2間に電圧が出力されます。この出力される電圧を測定することで、PASか SOG制御装置の故障なのか判断できます。
T-Eに電圧を入力すると、Y1-Y2(Z2)に変換された電圧が出力されます。
kt-ltに電流を入力すると、Z1-Z2に変換された電圧が出力されます。
出力される電圧については、各メーカーの取扱説明書に記載があります。概ね数十mVと小さい電圧なので、測定できる測定器を準備しておきましょう。
この出力電圧が正常であれば、SOG制御装置が不良と判断できます。しかし出力電圧がおかしい時は、PASが不良と判断できます。
位相特性及び動作時間特性が不良判定
位相特性及び動作時間特性が、不良判定となった場合の故障診断について解説します。
位相特性及び動作時間特性の不良については、前項の動作特性試験が正常ならば、SOG制御装置が不良と判断できます。
故障診断方法【PASとの連動試験編】
続いてPASとの連動試験における、故障診断について解説します。
PASが連動試験で開放しない
SOG制御装置とPASの連動試験にて、PASが開放しない場合は、トリップ電圧を測定することでSOG制御装置の故障なのか、PASの故障なのかを判断できます。
トリップ電圧はSOG制御装置のVa-Vc間に動作中のみ発生します。
トリップ電圧の目安は各メーカーの取扱説明書に記載があります。
測定したトリップ電圧が正常なら、PASの故障と判断できます。しかしトリップ電圧が出力していないやおかしい場合は、SOG制御装置の故障と判断できます。
トリップ電圧は概ねDC100~200mV程度です。
まとめ
- PASとSOG制御装置の故障は追及が必要
- 不良と判断したら出力電圧を測定しよう
- 既定値はメーカー毎に違う
PASとSOG制御装置の故障は、意外と遭遇する故障です。需要家にとって保護装置の最後の砦として、早急に対応が必要です。
これまでに誤って判断してしまったなんてことも耳にします。皆さんはちゃんとした判断ができるようにしておきましょう。
この記事が皆さまのお役にたてれば幸いです。
コメント