直列リアクトル(SR)ってなに?

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どうもじんでんです。今回は直列リアクトルの解説です。近年では、進相コンデンサに併せて設置するのが標準になっています。

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直列リアクトルとは?

直列リアクトルとは「SR」とも呼び、「Series Reactor」の略称です。

進相コンデンサにセットで設置される機器です。昔は設置が任意でしたが、近年では原則で設置する事となっています。これはJISや高圧受電設備規程で定められています。

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設置の目的

直列リアクトルの設置の目的は、大きく次の通りです。

  • 突入電流の抑制
  • 高調波への対策

それぞれについて詳しく解説します。

突入電流の抑制

進相コンデンサを投入すると、定格電流の数十倍の突入電流が流れます。これによりヒューズの溶断や、異常電圧による保護継電器の誤動作が発生する場合があります。

直列リアクトルを設置すると、突入電流を5〜10倍程度に抑える事ができます。

高調波への対策

進相コンデンサには、高調波を増幅させてしまう作用があります。これは電源側の誘導性リアクタンスと進相コンデンサによる容量性リアクタンスが並列に接続されている事により、並列共振作用によって引き起こされる為です。

これの対策として直列リアクトルを設置します。直列リアクトルを設置し、合成インピーダンスを誘導性にする事でこれらを防止します。

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種類

直列リアクトルには冷却方式によっていくつかの種類があります。

油入自冷式

油入自冷式はリアクトルを絶縁油で満たしてパッケージしたものです。

特徴として安価である事が挙げられます。

乾式モールド

乾式モールドは絶縁油を使用していないリアクトルです。

オイルレスである事で、火災防災上のメリットがあります。油入自冷式に比べて高価ですが、小型で軽量な傾向であるのが特徴です。

選定

直列リアクトルの容量選定は、進相コンデンサの容量の6%が標準となっています。直列リアクトルの目的として高調波への対策があり、その為に容量の選定が重要となります。

第5高調波で計算すると、約4%以上あると高調波の抑制に効果がある結果となります。これから余裕を持って6%を標準としています。

また第3高調波が多い場合は、13%を設置すると効果があります。しかしこの場合は、進相コンデンサの端子電圧が上昇します。よって併せて、進相コンデンサも13%に対応しているものを選定しなければいけません。

まとめ

  • 直列リアクトルは「SR」とも呼ぶ
  • 進相コンデンサとセットで設置される
  • 設置の目的は「高調波への対策」と「突入電流の抑制」
  • 容量は6%が標準

直列リアクトルは、現在は原則として設置となっている機器です。進相コンデンサとの組み合わせを間違えると、焼損などに繋がります。各項目をよく理解しておきたいですね。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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コメント

  1. お世話になります。
    勉強の為に、記事を読ませていただいております。大変有意義な記事をありがとうございます。

    誤植と思われる気づきがありましたので、以下にご連絡いたします。

    「乾式モールドは絶縁油を使用していないコンデンサです。」っと言う記述で、コンデンサはリアクトルのタイピングミスではないでしょうか。

    • 梅三郎さま
      コメントありがとうございます。
      ご指摘の通り、内容に誤りがありました。大変申し訳ございません。
      またご指摘いただきありがとうございました。
      内容については、修正が完了しています。
      よろしくお願い致します。

  2. 初めまして。いつも楽しく拝見しています。
    進相コンデンサと直列リアクトルの関係性について一点お伺いしたくご連絡させていただきました。
    直列リアクトルの容量は進相コンデンサの容量の6%(QL = QC × 0.06 QL:直列リアクトル容量 QC:進相コンデンサ容量)だと認識しております。
    一方、コイルが持つ交流に対する抵抗分誘導性リアクタンスはコンデンサが持つ交流に対する抵抗分容量性リアクタンスの6%(XL = XC × 0.06 XC:1/2πfC, コンデンサが持つ交流に対する抵抗分容量性リアクタンス XL: 2πfL, コイルが持つ交流に対する抵抗分誘導性リアクタンス)だと認識しております。
    前者を式変形すると、
    QL = QC * 0.06
    QL = V^2/ωL, QC = CωV^2 より
    V^2/ωL = 0.06 * CωV^2
    1/ωL = 0.06 * ωC
    XC = XL * 0.06
    となり、XL = XC × 0.06と一致しません。
    私の式変形が間違っている、もしくは、元々の両前提が間違っているのかと思いますが、どこに間違いがあるのかわかりません。
    恐れ入りますが、ご教授頂ければ幸いです。
    長文失礼いたしました、よろしくお願いいたします。

    • だいもんじさま

      コメントありがとうございます。
      リアクトルはコンデンサの6%となっていますが、これはXL=XC×0.06という事です。
      XL=ωL
      XC=1/ωC
      ω=2πf
      ここまでは、認識されている通りだと思います。
      途中の「QL=V^2/ωL QC=CωV^2」の部分のVは各機器の定格電圧を指していると思います。
      そうなるとコンデンサの端子電圧は7020Vでリアクトルの端子電圧は243Vとなり、単純に同じVで計算できないのではないでしょうか?
      私もあまり難しく考えたことが無いので自信はないのですがどうでしょうか?

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