どうもじんでんです。今の高圧受電設備ではコンデンサには、セットでリアクトルの設置が標準となっています。このコンデンサとリアクトルの組合せは、非常に重要なものとなっています。
その中でL=6%という表記を見たことはありませんか。L=6%だけでなくL=13%というのもあります。
これについて正しく理解できているでしょうか。
今回はコンデンサとリアクトルの組み合わせに重要な、L=〇%について解説します。
コンデンサとリアクトルの基礎知識
高圧受電設備のおけるコンデンサは、主に力率改善を目的として設置されます。力率を改善することで、電気料金の割引を受けることができます。
このコンデンサと合わせて設置が必要なのがリアクトルです。
リアクトルは下記の目的で設置されます。
- 高調波対策
- 突入電流の抑制
設置基準は高圧受電設備規程で定められており、昔は勧告でしたが現在では義務となっています。これらのことから最近の高圧受電設備の多くでは、リアクトルが設置されています。
L=〇%とは?
まずL=〇%とはどういう意味なのでしょうか。
これはリアクタンスが〇%という意味になります。これだけでは意味が分かりませんよね。
もっと噛み砕くと、コンデンサの容量に対してリアクタンスが〇%と言う意味になります。100kvarのコンデンサでL=6%であれば、リアクトルの容量は6kvarとなります。
L=6%が標準
コンデンサに対するリアクトルの容量は、6%が標準となっています。これは第5高調波に対策する為です。
電力系統には様々な高調波成分が流れ込みますが、その中でも圧倒的に多いのが第5高調波成分です。この為に基本的な高調波対策としては、第5高調波を対象としています。
高調波は誘導性な為に容量性のコンデンサに流入して共振すると、高調波を増大させてしまいます。こうならない為にコンデンサとリアクトルを組み合わせてインピーダンスを誘導性にします。誘導性にすることで、コンデンサにて高調波が増大することが無くなります。
このようにコンデンサとリアクトルの合成インピーダンスを誘導性にする為には、下記の式の関係性にすれば良いです。
ωには周波数が含まれるので、第5高調波は基本周波数の5倍となり下記のようになります。
このように合成インピーダンスを誘導性にするには、リアクトル容量はコンデンサ容量の4%以上であればいいことが分かります。
この4%に余裕を見て、6%を標準とすると規格化されています。
高調波が大きい場合はL=13 %を採用
前述の計算は第5高調波で計算した結果です。しかし電力系統で第5高調波の次に多いのが第3高調波です。
高調波が多い電力系統では第3高調波が含まれている場合があります。
よってこのような場合は第3高調波への対策が必要です。
前述の計算式を用いて第3高調波で計算すると次のようになります。
上記の計算からリアクトル容量はコンデンサ容量の11%以上あればいいことが分かります。この11%に余裕を見て、13%となっています。
よって高調波が大きい場合は、L=13%を採用する必要があります。
組合せと端子電圧
コンデンサ及びリアクトルのL=〇%の選定にて注意することがあります。それはコンデンサの端子電圧です。
リアクトルを設置するとコンデンサの端子電圧は、回路電圧より上昇します。これはコンデンサとリアクトルの容量の組み合わせで変化します。
コンデンサ容量に対するリアクトル容量の比率が大きくなるほど、コンデンサの端子電圧は大きくなります。
よってL=13%のリアクトルを採用するなら、コンデンサもL=13%対応品を採用しなければいけません。
各コンデンサの定格電圧を表にまとめました。
対応% | コンデンサの定格電圧 |
---|---|
L=6%対応品 | 7020V |
L=13%対応品 | 7590V |
L=6%のコンデンサにL=13%のリアクトルを組み合わせると、コンデンサの端子電圧が定格以上の電圧となり危険です。
まとめ
- L=〇%はリアクトルの容量がコンデンサ容量の⚪︎%という意味
- L=6%が標準
- 高調波が大きい場合はL=13 %を採用
L=13%のリアクトルを採用するならコンデンサもL=13%対応品を選定する
現在ではリアクトルの設置は義務となっており、多くの需要設備に設置されています。コンデンサとリアクトルを選定する上で、今回のL=〇%は非常に重要な要素です。
しっかりと理解しておきましょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
コメント