どうもじんでんです。高圧受電設備で使用される高圧ケーブルは、その特性から高い絶縁性能が求められます。その一部を担っているのがストレスコーンです。
高圧受電設備を扱ったことがある人なら、ストレスコーンという言葉やどのような物かはもちろん知っているかと思います。
しかし詳しく理解できているでしょうか。
今回はそんなストレスコーンについて解説します。
ストレスコーンとは?
ストレスコーンは正式には「ストレスリリーフコーン」と言います。日本語に直訳すると「ストレスを緩和させる円錐」となります。
しかし一般的には略語のストレスコーンと表現されることが多いです。
ストレスコーンは、高圧ケーブルの遮へい層の切断点の電気的ストレスを緩和する為のものです。
ストレスコーンが無い場合
高圧ケーブルは高い絶縁性能が求められるので、様々な工夫がなされています。その例の1つとして、絶縁体上に半導電層を設けて電界集中を抑制するなどがあります。
高圧ケーブル内の絶縁体にかかる電界(電気ストレス)は、遮へい層があることで均一になっています。しかし高圧ケーブルの末端を接続の為に段剥ぎすると、電界分布が変化します。その状況は、下記の図のとおりです。
図から分かるように電界は遮へい層付近に集中しています。このままでは高圧ケーブルの絶縁性能を低下させてしまいます。
これを改善しようとするのがストレスコーンです。
ストレスコーンがある場合
ストレスコーンを設けると、電界分布は次のようになります。
図から分かるように電界集中が改善されています。
導体と遮へい層の距離が徐々に広がるようにすることで、電気ストレスが分散されます。
これがストレスコーンの役割です。
ストレスコーンの構造
ストレスコーンの構造を解説します。テープ巻形端末処理でのストレスコーンは次のようになっています。
遮へい層を剥ぎ取った部分の絶縁体に、絶縁テープを巻き上げて円錐(コーン)を成形します。
この円錐(コーン)の上に鉛テープを巻き付けて、遮へい層と密着させます。鉛テープは導電性なので、こうすることで遮へい層が延長されて、先が広がった形になります。
テープ巻形の端末処理では、このように作業者の手によってストレスコーンが作られます。よって作業者の熟練度によって、その性能に差が現れてしまいます。
現在はプレハブ形の端末処理が主流となっています。プレハブ形では、既に成形されたゴムストレスコーンを高圧ケーブルに差込むだけで、ストレスコーンを成形しています。
テープ巻形とプレハブ形で作り方は違いますが、役割や構造は同じです。
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