どうもじんでんです。今回は力率についての解説です。
力率とは?
力率とは交流回路においての皮相電力に対する有効電力の割合をいいます。
皮相電力は送られてきた電力、有効電力は消費された電力と置き換える事ができます。これらに対して、消費されなかった電力を無効電力といいます。
無効電力には負荷に誘導成分が多いか、容量成分が多いかによって向きが逆転します。誘導成分が多い場合は遅れ力率、容量成分が多い場合は進み力率となります。
またそれぞれの電力は単位が違うので注意が必要です。逆に単位が分かれば、どれを指しているかが分かります。
単位は、皮相電力は「VA」有効電力は「W」無効電力は「var」となります。
力率の範囲と単位
力率の範囲は0〜1です。1に近づくほど無効電力が少なくなり、皮相電力と有効電力の値が近づきます。1であれば無効電力は0varになり、皮相電力と有効電力は同じ値になります。
また力率を100倍して「%」で表す事があります。力率0.8であれば80%となります。
力率の計算
力率は次の式で算出できます。
\(力率=\frac{有効電力}{皮相電力}\)
また皮相電力は次の式で算出できます。
\(皮相電力=\sqrt{ 有効電力^2+無効電力^2}\)
これらより「皮相電力」「有効電力」「無効電力」の内、2つが分かれば計算する事ができます。
また逆に力率がわかれば、「皮相電力から有効電力」や「有効電力から皮相電力」を算出できます。
例1
皮相電力が125VAで有効電力が100Wであれば、力率はどうなるでしょう?
\(力率=\frac{100}{125}=0.8\)
よって力率は0.8(80%)となります。
例2
有効電力が100Wで無効電力が75varであれば、力率はどうなるでしょう?
\(皮相電力=\sqrt{100^2+75^2}=\sqrt{15625}=125\)
皮相電力が125VAなので、例1と同じになり結果は同じ0.8(80%)です。
例3
有効電力が100Wで力率が0.8であれば、皮相電力はどうなるでしょうか?
\(皮相電力=\frac{有効電力}{力率}=\frac{100}{0.8}=125\)
よって皮相電力は125VAとなります。
実際の現場における力率の状態
実際の現場では力率は、基本的に遅れ力率となっています。これは電動機などの多くの機器は誘導成分があるので、遅れ力率となります。全体で見ると平均で遅れ力率の0.8(80%)程度と言われています。
しかし力率が悪いと、様々なデメリットが発生します。その対策として、コンデンサ(SC)を接続する事で力率を1(100%)になるようにしています。コンデンサは容量成分なので、誘導成分と逆向きで無効電力を打ち消してくれます。
しかし夜間などの軽負荷時は、機器の停止で誘導成分が少なくなります。そうなるとコンデンサの容量成分が、誘導成分を上回り進み力率となる事があります。
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