どうもじんでんです。高圧受電設備の中で重要度が高い設備はなんでしょうか。中でも1位2位を誇るのは高圧ケーブルです。
高圧ケーブルは電気を送る役目があるので、使えなくなるとその影響は計り知れません。
今回はそんな高圧ケーブルの基本について解説します。
高圧ケーブルとは?
高圧ケーブルとは高圧回路に使用される電線の一種です。具体的にはCVケーブルを指します。
CVケーブルは「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル」の略称です。英語では「cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable」となります。
高圧回路では3本1組で使用されるので、CV-3CもしくはCV-Tが主に利用されます。いずれも構造はCVケーブルが元となっているので、CVケーブルと総称します。
用途
高圧ケーブルは、高圧回路の電気を遠くへ送る為に使用されます。主に引込柱からキュービクルまでの配線や第1変電所から第2変電所間など、キュービクルからキュービクルの配線として使用されます。
高圧回路の電線は、基本は他物と接触しないように離隔をとって施設します。よってキュービクル内ではKIP電線などで施設されています。しかし長距離の送電を考えると、他物と接触しないように施設するのは現実的ではありません。
そこで高圧ケーブルが活用されます。高圧ケーブルであれば、その構造から管路に収めての施設が可能です。
しかしその為に他の機器以上の絶縁性能が求められ、劣化による事故の可能性が高いのも特徴です。
また水分に起因して発生する、水トリー現象による劣化にも要注意が必要です。
構造
高圧受電設備で使用される高圧ケーブルは、主にCV-3CとCV-Tが使われます。
この2つを代表として構造を解説します。高圧ケーブルを理解する上で、構造を知っておくのが重要です。
CV−3Cの断面図
CV-3Cの断面図を基に構造を解説します。
CV-3Cは6.6kV用と3.3kV用で若干、構造が変わります。近年では3.3kV用を見かけることが少なくなりました。
CV-Tの断面図
CV-Tの断面図を基に構造を解説します。
CV-TはCV-1Cを3本撚り合わせた構造となっています。
各材料の役割
CV-3CとCV-Tの構造を解説しました。若干構造は違いますが、それぞれを構成する材料は共通しています。
それぞれの材料について役割を解説します。
導体
導体は電気が流れる部分です。
絶縁体(架橋ポリエチレン)
絶縁体として架橋ポリエチレンが採用されています。
架橋ポリエチレンは、ポリエチレンに架橋剤を混入して加熱して架橋したものです。架橋ポリエチレンはポリエチレンと比較して、耐熱性が向上しています。
しかし電気的特性は比較しても大差がなく、優秀な性能をしています。
内部(外部)半導電層
内部半導電層は導体と絶縁体の接着を良くして隙間(ボイド)の発生防止の為のものです。また、より線効果による電界集中を緩和する目的もあります。
外部半導電層も同様の目的です。
遮蔽層(シールド)
遮蔽層は銅テープで構成されています。高圧ケーブルでは保安上と性能の向上の目的で、遮蔽層が設けられています。これをシールドとも呼びます。
遮蔽層があることで耐電圧性能の向上や、感電及び誘導の防止となっています。
ビニルシース
ビニルシースは、絶縁体を保護する最も外側の被覆です。
種類
高圧ケーブルにはCV-3CやCV-Tのような構造的な種類の他に、仕様の違いにより2種類に分けられます。
- E-Tタイプ
- E-Eタイプ
この2つの違いは外部半導電層の仕様です。E-Tタイプはテープ式なのに対して、E-Eタイプは押出式となっています。
押出式では絶縁体と同時に押出加工することで、界面を平滑にして異物の混入を防ぎます。これにより水トリーへの耐性を向上させています。
一般的な需要家の高圧受電設備では、主にE-Tタイプが使用されています。
しかし昨今、水トリーによる高圧ケーブルの絶縁破壊が多く発生していることから、E-Eタイプが推奨されています。特に管路に水が侵入しており高圧ケーブルが水に浸かる状況なら、E-Eタイプを採用した方が良いでしょう。
端末処理
高圧ケーブルは終端部に端末処理を施す必要があります。
低圧ケーブルなどでは圧着端子を付けて絶縁テープ処理して終わりですが高圧ケーブルではそうはいきません。高圧ケーブルでは端末処理材料を使用して適切に施工しないと、絶縁破壊に繋がります。
端末処理には主に3つの種類があります。
- テープ巻形
- プレハブ形
- がい管形
いずれも端末処理では電気的ストレスを緩和させるストレスコーンが重要となります。
テープ巻形
テープ巻形は名前の通り、様々な種類のテープを使って端末処理をする方法です。
ストレスコーンもテープの巻上げにより成形します。
作業には熟練度が必要で、性能に大きく影響します。また作業時間も多く必要なことから、あまり使用されていません。
プレハブ形
プレハブ形は、テープ巻形で必要なテープ巻きやはんだ付けなどが不要で、ゴムで作られている材料を挿入して端末処理する方法です。
ストレスコーンはゴムストレスコーンとなり、既に成形されているものを差込んで施工します。
作業者の熟練度にあまり影響されず、安定した性能となります。また施工も短時間で可能です。
一般的な高圧受電設備では、よく採用されている方法です。
がい管形
がい管形は塩害の影響を受ける場所で使用されるものです。また22kV以上の特高の端末処理でも使用されます。
端末部分ががい管(ブッシング)となっているのが特徴です。
まとめ
- 高圧ケーブルは高い絶縁性能が求められる
- 構造を理解しよう
- 仕様の違いによりE-TタイプとE-Eタイプがある
- 端末処理が必要
高圧ケーブルは高圧受電設備において電気を送る重要なものです。更に高い絶縁性能を求められるので、劣化による絶縁破壊の可能性も高くなっています。
しっかりと構造や種類を把握して、適切な施工及び保守管理が必要です。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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