計器用変流器(CT)ってなに?

計器用変流器(CT)ってなに?のアイキャッチ 高圧受電設備
当サイトはアフェリエイト広告を利用しています。

どうもじんでんです。今回は計器用変流器(CT)について解説します。

スポンサーリンク

計器用変流器(CT)とは?

計器用変流器CTとも言い「Current Transformer」の略称です。

高圧受電設備や低圧盤などで電流計がついていると思いますが、それらの為に計器用変流器(CT)が設置されています。なぜ計器用変流器(CT)を通して計測する必要があるか疑問に思う方もいるかもしれません。

それは大電流のままでは計器類や配線などをそれ相応に作る必要があり、コスト面や安全面で現実的ではありません。その為に計器用変流器(CT)で取扱のしやすい電流に変換して、計測などをしています。

高圧受電設備において計器用変流器(CT)は、R相とT相の2か所に設置して三相の電流を計測しています。

スポンサーリンク

設置の目的

高圧受電設備に計器用変流器(CT)が設置される目的は、大きく2つあります。

  • 高圧回路の電流を計測する
  • 過電流継電器(OCR)と組み合わせて、過負荷保護や短絡保護をする

高圧回路の電流計測については、計器用変流器(CT)で扱いやすい電流に変成することで、危険な高圧回路の電流を安全に計測しています。

2つ目の目的として、保護継電器と組み合わせて保護することがあげられます。組み合わせる保護継電器は、過電流継電器(OCR)が代表です。計器用変流器(CT)と過電流継電器(OCR)を組み合わせる事で、高圧回路の過負荷保護や短絡保護をしています。

スポンサーリンク

取扱上の注意

計器用変流器(CT)の取扱で、やってはいけない事があります。

それは通電中は二次側を開放してはいけないということです。二次側を開放してしまうと二次側の端子間に高電圧が発生して、絶縁破壊を起こし短絡して焼損する恐れがあります。

通電中に二次側の計器などの交換が、必要な場合があるかと思います。

安全に作業しようと思えば停電しての作業が良いのですが、そうもいかない場合があるかと思います。その場合は作業範囲より上位の場所で短絡をして、絶対に開放状態にならないように注意して作業しましょう。

計器用変流器(CT)の選定のポイント

計器用変流器(CT)を選ぶにあたって大事なポイントがあります。

  1. 変流比
  2. 定格負担
  3. 過電流係数・過電流強度

変流比

変流比とは一次電流と二次電流の比のことです。これは計器用変流器(CT)の一番大事なポイントです。これを間違えれば計測や保護継電器の整定など、様々なところに影響を及ぼします。

一次電流はその回路に流れる定格電流の1.5倍程度を目安に選定するようにしましょう。それは定格電流ギリギリで選定すると、メーターの針が一杯に振れている状態になり精度が落ちる為です。

例えば三相300kVAの変圧器の一次側6600Vとして、その一次側の電流計測用とします。その場合は定格電流は300÷(√3×6.6)=約26Aです。これの1.5倍なので26×1.5=39Aになります。なので一次電流が40Aの計器用変流器を選ぶといいでしょう。

二次電流は5Aが標準と思ってもらって大丈夫です。しかし1Aの仕様のものもあります。それは次の項目の定格負担に関係してきますので、そちらで説明します。

変流比が40/5と書かれていれば、一次電流が40Aで二次電流が5Aになります。これは一次側に40A流れれば、二次側に5A流れます。一次側が8Aであれば二次側は1Aになります。

定格負担

定格負担とは簡単に言うと容量のようなものです。

計器用変流器(CT)の二次側にはメーターや継電器などが接続されています。これらに抵抗(R)があり、それに電流(I)が流れることで負担(VA)となります。定格負担を超えて接続すると、誤差が大きくなり精度が保てません。

ここで注意しなければいけない事があります。それは負担となるのはメーターや継電器だけではなく、電線も含まれると言うことです。

例えば2m㎡の電線で二次電流が5A、電線の長さ10mで約2.5VAになります。これの10mは片道ではなく、往復での長さです。なので計器用変流器から約5mの位置にメーターを設置するだけの電線分で2.5VAになります。

ここで前に書いた二次電流が1A仕様のものが出てきます。負担(VA)の計算式はVA=I×I×Rになります。Rは電線の抵抗としIは二次電流ですので5A仕様だと25R、1A仕様だと1RになりVAに25倍の差が生まれます。これらより導かれるのは、1A仕様の方が25倍長く配線できると言うことです。

1A仕様のものはこのようなメリットがあり、主に長く配線する場合に選定されます。

過電流定数・過電流強度

過電流定数と過電流強度については、過電流継電器(OCR)との組み合わせ時に必要になってきます。短絡などの事故時にしっかりと過電流継電器(OCR)を動作させる為には、これらを考慮して選定する必要があります。

こちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

  • 通電中は二次側を開放してはいけない。
  • 変流比の一次電流は、定格電流の1.5倍を目安に選ぶ。
  • 二次電流は基本は5A、配線が長くなる場合などは1Aを選ぶ。
  • 定格負担はメーターや継電器だけでなく、配線も考慮して選ぶ。
  • 過電流定数と過電流強度は保護継電器と大きく関係している。

今回は計器用変流器(CT)について記事にしました。今回書いた事も大事ですが、本当に伝えたいのは過電流定数と過電流強度だったりします。しかし基本がないとわかりにくいかなと思い、今回の記事を書きました。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

じんでんをフォローする
高圧受電設備
スポンサーリンク
じんでんをフォローする
電気屋の気まぐれ忘備録

コメント

スポンサーリンク