どうもじんでんです。電気屋にとって大事な道具の1つにテスターがあります。テスターにも色々と種類はありますが、常に携帯しておくのに便利なカードテスターがあります。カードテスターはポケットに入るサイズで、携帯するのに便利です。
そんなカードテスターの定番と言えば、HIOKI(日置)の3244-60です。多くの人がHIOKIを使っている印象です。
しかし計測器メーカーといえば、共立電気計器があります。今回はそんな共立電気計器のカードテスターを紹介します。HIOKIの3224-60とは、一味違った特徴があります。
共立電気計器のデジタルマルチメータKEW1019R
共立電気計器(KYORITSU)と言えば、日本で初めてクランプメーターを開発したメーカーです。クランプメーターを代表に、様々な計測器を発売しています。私も多くの共立電気計器の製品を使用しています。
そんな共立電気計器から、カードテスターとしてKEW1019Rが発売されています。HIOKIの3224-60の共立電気計器版かと思いきや、全く違った特徴を持っています。
タイトルにあるようにKEW1019Rは、カードテスターとしては高性能な部類に入ります。しかし所詮はカードテスターです。他の大型のテスターに比べると性能は劣ります。その辺りはご注意下さい。
共立電気計器のKEW1019Rをおすすめできる人は次の通りです。
- 真の実効値方式のカードテスターが欲しい人
- 静電容量(キャパシタンス)が測れるカードテスターが欲しい人
その他のおすすめテスターやテスターの選び方については、こちらの記事をご覧ください。
総合評価
製品名 | デジタルマルチメータKEW1019R |
---|---|
総合おすすめ度 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
サイズ | 標準的なサイズ | |
機能 | 静電容量測定に対応 | |
操作性 | 片手で操作可能 | |
付属 | 収納ケースが便利 | |
性能 | True RSMに対応 |
※評価については、他メーカーの同等クラスの製品との比較や、個人的な主観を元に点数を付けています。
スペック
製品名 | デジタルマルチメータKEW1019R |
---|---|
直流電圧 | 0〜600V |
交流電圧 | 0〜600V |
抵抗 | 0〜40MΩ |
静電容量 | 0~600μF |
サンプルレート | 2.5回/s |
電源 | コイン形リチウム電池 (CR2032)×1 |
サイズ | 55×115×10mm(本体) 85×125×17㎜(収納ケース) |
重量 | 80g(本体のみ) 135g(収納ケース含む) |
※抜粋して記載しています。詳しくはメーカーのサイトなどをご参照ください。またスペックの一部は実測値を記載しています。
内容品
- 本体(測定リード含む)
- 収納ケース
高性能なカードテスター
共立電気計器のKEW1019Rは、HIOKIの3224-60に比べて高性能と言えます。そのポイントは2つあります。
真の実効値方式に対応
交流回路には波形が存在し、実効値や最大値などが存在します。私たちが一般的にコンセントの電圧を100Vと表現しますが、これは実効値を表しています。
この実効値をテスターで測定する時は、主に2つの方式で変換されて表示されています。
- 平均値方式(MEAN)
- 真の実効値方式(True RSM)
平均値方式では、歪みのない正弦波であれば誤差は少なく問題ありません。しかし最近はインバーター機器などの増加により、高周波成分を含んだ回路が増えています。この様な回路では、平均値方式では誤差が大きくなってしまいます。
真の実効値方式を採用したテスターであれば、高周波成分を含んだ回路でも問題なく測定できます。
よって真の実効値方式の方が、測定器としては優れていると言えます。
真の実効値方式(True RSM)について詳しくは、こちらの記事で解説しています。
共立電気計器のKEW1019Rでは、この真の実効値方式を採用しています。HIOKIの3224-60は平均値方式を採用しているので、KEW1019Rの方が高性能と言えますね。
静電容量が測定できる
共立電気計器のKEW1019Rでは、次の機能を備えています。
- 交流電圧測定
- 直流電圧測定
- 抵抗測定
- 導通チェック
- 静電容量測定
一般的な機能はもちろん対応していますが、おすすめポイントとして静電容量(キャパシタンス)の測定に対応しています。
カードテスターでも、静電容量測定に対応しているのは嬉しいポイントです。しかし静電容量測定は、必要な人と不要な人が分かれると思うので、不要な人にとっては余計な機能ですね。
コンデンサの容量測定をする必要がある人にはおすすめできます。
高機能な収納ケース
共立電気計器のKEW1019Rには、標準でハードケースが付属します。現場で使用する人にとっては、ハードケースは嬉しいです。
このハードケースは、非常に考えられて作られていると感じます。直接的に性能には関係しませんが、現場でのちょっとした煩わしさを解消してくれます。
またハードケースは、現場での使用などにおいて破損することも考えらえます。そんな人の為に共立電気計器では、ハードケース単品でも発売されています。破損してしまったなんて人はハードケース(MODEL9188)だけ購入できるのでおすすめです。
ケースの蓋が邪魔にならない
ハードケースの蓋は開けた後に、裏側に固定できるようになっています。蓋がパカパカせず邪魔にならないので、非常に便利です。スマートに測定できます。
HIOKIの3224-60では、蓋が邪魔になることも多く、手で押さえておかないといけません。
この部分だけでも、KEW1019Rを選ぶポイントとなりますね。
測定コードを固定できる
現場でテスターを使っていると時々、困った状況に陥ります。片手では届かない間隔の場所を測定しようと、測定コードを両手にそれぞれ持って測定すると、テスター本体が宙吊りになり計測値が見えないなんてことが起こります。
机の上ならテスター本体をちゃんと置けば解決しますが、現場では中々そうはいきません。
そんな問題をKEW1019Rは解決してくれます。
KEW1019Rのハードケースには、測定コードを固定できる様に作られています。この機能により片手は本体&測定コードで、もう片手は測定コードのみを持つことができます。よってきちんと測定値を確認しながら測定できます。
この機能は現場で困ったことがある人には、グッと刺さる機能ではないでしょうか。
固定自体もしっかりしていて安定して使える印象です。
キャップを保管できる
共立電気計器のKEW1019Rでは、CATⅢ300Vまで対応しています。その為に測定コードの先端部がキャップで覆われており、限りなく導体部が少なく設計されています。
測定カテゴリーCATについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
しかしこの状態だと、コンセントでの測定では差し込めません。それを解決する為にキャップとなっており、CATⅡでは外して使用できる様になっています。
外したキャップは、ハードケースに収納場所が設けられています。キャップ自体が小さいので、無くならない様に収納場所があるのは有り難いですね。
キャップの収納はかなりしっかりとしており、多少荒く使っても外れませんでした。逆に少し脱着しづらい感じはあります。この辺は好みの問題かと思います。
測定コード部分はカバーできない
とても考えられたハードケースですが、1点だけイマイチなポイントがあります。
それは収納状態では本体は問題ありませんが、測定コードの収納部は露出してしまいます。キャップの収納部も露出しています。
どうしても凹凸があるので、ポケットやバックの中などで引っかかったりしそうです。
この部分まで、カバーできると良いのかなと思います。
まとめ
- True RSMに対応している
- 静電容量が測定できる
- ハードケースが優秀
カードテスターでは、HIOKIの3224-60がよく使われています。しかし今回、共立電気計器のKEW1019Rと比較してみるとこっちが優れていると感じました。
全ての現場において、多機能なのが良い測定器とは限りません。逆にシンプルな方が、良い場合もあります。
しかし高性能なカードテスターを求めるのであれば、KEW1019Rをおすすめします。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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