どうもじんでんです。今回は高圧受電設備の保護継電器の1つである、逆電力継電器について記事にしました。今までは系統連系する発電設備などでしか設置されておらず、あまり見かけることはありませんでした。しかし太陽光発電設備の普及により、以前より見かける継電器となりました。
逆電力継電器は保護継電器の一種です。保護継電器の種類については、こちらをご覧ください。
逆電力継電器(RPR)とは?
逆電力継電器には色々な呼び方があり、「RPR」や「67P」とも言います。「RPR」は「Reverse Power Relay」の頭文字をとった略語です。「67P」は日本電機工業会(JEMA)にて定められている「制御器具番号」に由来しています。
逆電力継電器は主に、逆潮流を防止する為に設置される継電器です。
設置の目的
逆潮流継電器は逆潮流を防止する為に設置されます。
逆潮流についてはこちらの記事をご覧下さい。
逆電力継電器が逆潮流を検知すると信号を発信し、発電設備の停止や遮断器を開放するなどして逆潮流を防止します。
設置時の注意事項
逆電力継電器を設置する上で、注意しなければいけない事がいくつかあります。
制御電源
逆電力継電器は、電力会社と連系する発電設備に設置されます。その為に確実に保護継電器が動作する必要があります。
特に制御電源が喪失すると保護ができません。その為に停電時でも制御電源が必要となります。
その対策として直流回路より給電し、停電時にはバッテリーから給電する方法があります。他にも制御電源の交流回路に、無停電電源装置(UPS)を設置するなどの方法もあります。
電流の向き
逆電力継電器は電流の向きによって動作、不動作が決まります。
正常時でも電流は流れている為に、向きを誤って接続すると逆潮流と判断し誤動作の原因になります。
機種によっても接続の向きが違うので、よく確認する必要があります。
整定値
逆電力継電器の整定値項目は2つあります。
それぞれ一般的な整定値を挙げています。しかし最終的には電力会社との協議により決定します。
動作値
逆電力継電器の動作値は「%」で整定されます。これは受電点での定格電力を100%とした場合で計算します。定格電力は√3×計器用変流器の一次電流×定格電圧で計算できます。
この整定値以上の電力が流れた場合に動作します。
整定値は発電機容量の10%程度とされる事が多いです。
計算例
計算例を見てみましょう。条件は次の通りです。
- 受電電圧は6600V
- 受電点に設置の計器用変流器は200/5
- 発電機の容量は300kW
まずは定格電力(P0)を計算します。
P0=√3VI=√3×6600×200=約2286kW
次に発電機容量の10%(Pg)を計算します。
Pg=300×0.1=30kW
これらを使い整定値を求めます。
定格電力(P0)に対するPgの割合なので次の式になります。
整定値=(Pg/P0)×100=(30/2286)×100=約1.3%
機種により整定値の幅が違うので、この1.3%に近い値を整定値にします。
動作時間
動作時間は逆電力を検知した状態が、何秒間継続すると動作するかを決めるものです。
逆潮流を防止する目的であれば、系統側への危険性を考慮すると1秒以内が望まれます。多くが0.5秒程度で整定されます。
あまりにも早い時間の整定値にすると、誤動作の恐れがあります。
まとめ
- 逆電力継電器は「RPR」や「67P」とも呼ぶ
- 逆潮流を検知する為に設置される
- 整定値は発電機容量から計算する
逆電力継電器は系統連系する発電設備に設置され、昔はあまり見かける事がない継電器でした。しかし太陽光発電設備の普及により、見かける頻度が多くなりました。しっかりと特性を知っておきましょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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