どうもじんでんです。今回は、三相短絡容量についての解説です。ここでは高圧受電設備の視点に重点を置いた解説をします。
三相短絡容量とは
三相短絡容量とは「系統短絡容量」や「短絡容量」とも呼ばれるものです。
ある特定の地点での、短絡時に流れる短絡電流などから求められます。
短絡容量は次の式で表す事ができます。
\(短絡容量[MVA]=\sqrt{3}\times線間電圧[V]\times三相短絡電流[A]\)上記の式より、三相短絡容量から三相短絡電流を求める事ができます。この短絡電流は、遮断器の選定に大きく関わってきます。
また三相短絡容量の単位は「MVA」で表記することが多いです。計算での間違いに注意しましょう。
遮断器の定格遮断電流は、受電点の短絡電流より大きいものを選定しなければいけません。PASの選定でも三相短絡容量が重要になってきます。
三相短絡容量の特徴
三相短絡容量は電源(発電所)から遠いほど減少し、逆に近いほど増加します。
これは電線路が短いほどインピーダンスが小さくなる為です。
高圧需要家であれば変電所からの距離で、受電点の三相短絡容量が変化すると言ってもいいでしょう。変電所に近い需要家は、特に気をつけなければなりません。
また三相短絡容量が大きいということは、三相短絡電流も大きくなるということです。
三相短絡容量を知るには
高圧需要家において三相短絡容量は、電力会社の配電線や変圧器によって変化するので、電力会社が管理しています。
電力会社に引込の電柱番号を伝える事で、受電点の三相短絡容量を教えてもらう事ができます。
これを元に計算し短絡電流を求めたり、インピーダンスマップを作成します。
短絡容量と遮断容量の関係
短絡容量に深く関係する言葉で、遮断容量があります。遮断容量は、どのくらいの電流を遮断できるかを示すものです。よって主に遮断器の仕様に関係します。
設計では、系統の短絡容量より大きい遮断容量を持つ遮断器を選定すると必要があります。
選定に三相短絡容量が影響する機器
三相短絡容量は、どれだけの短絡電流が流れるかを示すものです。よってこれが大きいほど、遮断器などのは遮断容量が大きいもにを選定する必要があります。しかし遮断器以外にも短絡容量に気を付ける機器があります。
遮断器(VCB)
真空遮断器(VCB)を代表に遮断器は、短絡電流を遮断する必要があるので、短絡電流以上の遮断電流の能力(遮断容量)を持ったものを選定する必要があります。
高圧用のものであれば、「8kA(100MVA)」「12.5kA(160MVA)」「20kA(250MVA)」から選ばれる事が多いです。一般的には12.5kA(160MVA)がよく選ばれます。
高圧気中開閉器(PAS)
高圧気中開閉器(PAS)は短絡電流が通過する可能性があるので、遮断はしませんがその短絡電流に耐える必要があります。
高圧気中開閉器(PAS)は、三相短絡容量によって定格電流を選定します。
50MVAまでなら100A以上、100MVAまでなら200A以上、160MVA以下なら300A以上を選定します。
高圧ケーブル
高圧ケーブルは短絡電流によって溶断する可能性があるので、三相短絡容量によって最低のサイズを選定します。負荷電流だけで選定せずに、短絡容量も考慮しましょう。
計器用変流器(CT)
計器用変流器(CT)は、過電流継電器(OCR)による過電流保護に欠かせない機器です。短絡時の大電流にも耐えて、過電流継電器に出力する必要があります。よって短絡電流以上の過電流強度をもったものを選定しなければなりません。
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