どうもじんでんです。今回は絶縁抵抗についてのお話です。基本的には、絶縁抵抗値が低くなると漏電します。しかし接地相では、絶縁不良が発生しても漏電しないと言われています。これについて解説します。
また大事なことなので最初に言っておきますが、接地相の絶縁不良は漏電しないから放置しても良いという訳でありません。勘違いない様にお願いします。
絶縁抵抗とは?
まず絶縁抵抗の基本については、こちらの記事を読んで下さい。
また絶縁抵抗値は、絶縁抵抗計にて測定します。絶縁抵抗測定は正しい方法で測定をしなければ、正しい結果を得る事ができません。
絶縁抵抗測定の正しい方法については、こちらの記事をご覧ください。
接地相とは?
変圧器は基本的に、低圧側の1端子を接地する事とされています。
いわゆるB種接地の事です。このB種接地されている相を接地相と呼びます。電灯回路においてはN相を、動力回路においては基本的にはS相を接地します。
また接地相では無い相を非接地相と呼びます。
接地相の絶縁不良は漏電しない?
通常、接地相の絶縁不良は漏電しないとされています。これには色々な解釈をされている場合があります。特に多いのが、「接地相の漏電は、B種接地で検出ができない」というものです。しかしこれは間違いで、「漏電を検出できないのではなく、そもそも漏電していない」が正しい捉え方です。ここは間違えない様にしておきましょう。
絶縁不良なのに漏電しないと聞くとよく分かりませんよね。何故この様になるのかについて考えてみましょう。
そもそも絶縁抵抗とは、電気機器と対地間がどれだけ絶縁されているかを示す値です。これが不良と呼ばれる範囲まで低くなると言うことは、対地間にその低い抵抗が繋がっていると考える事ができます。その抵抗には、対地電圧が印加されています。
これらをオームの法則で計算すると、電流の値を知る事ができます。この電流を漏れ電流や漏電と呼びます。
接地相ではどうなるでしょうか。仮に接地相の配線の途中で、絶縁不良が発生したとしましょう。
先程の説明で、絶縁抵抗は対地間に接続される抵抗に置き換える事ができると言いました。その抵抗に対地電圧がかかる事で電流が流れ漏電となります。
ここでポイントとなる問題があります。それは接地相の対地電圧は何Vでしょうか?
答えは0Vです。
対地電圧とは何かについては、こちらの記事をご覧ください。
対地電圧が0Vということは、いくら抵抗が繋がれていても電流は流れません。つまり漏電しないと言うことです。
これが接地相の絶縁不良では漏電しない答えです。
更に簡単に説明すると、「接地相は対地電圧が0Vなので人が触っても感電しませんよね。感電しないということは、漏電していないと等しいと言えます。」となります。
図で考える
言葉だけでは理解し難いと思うので、簡単に図にしてみました。
図に表すと次の様になります。図は分かりやすくする為に簡略しています。
まとめ
- 接地相の絶縁不良では漏電が発生しない
- 絶縁抵抗は対地間に接続され、対地電圧が印加されている
- 接地相は対地電圧が0Vだから漏電しない
最後に大事な事なのでもう一度言いますが、接地相の絶縁不良で漏電しないからといって、放置していい訳ではありません。キチンと改修しましょう。絶縁不良や漏電は、現場では複合的な状態であり原因追求が難しいものです。
今回の知識も理想的にはこうなるだけで、全ての状況でこうなるとは限りません。知識の一つとして覚えておきましょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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