どうもじんでんです。電気管理技術者は自由な働き方と、頑張った分がそのまま収入に反映される魅力的な仕事です。
現在、選任の電気主任技術者として働いている人や電気保安法人で保安業務従事者として働いている人で、電気管理技術者になることを考えている人もいるでしょう。
電気管理技術者になるには多くのハードルがありますが、その1つとして機材の準備があります。主に測定器類は所持が義務付けられている物もあります。
測定器類は価格も高額となるので、開業資金の大部分を占めるでしょう。今回はそんな電気管理技術者になるのに必要な機材を紹介します。
電気管理技術者とは?
電気管理技術者とは保安管理業務外部委託承認制度において、個人で事業をする者を指します。電気主任技術者免状を活用できる仕事の1つです。
電気管理技術者は個人事業主となり、基本的には1人で全ての業務をこなす必要があります。
当然、今回解説する機材なども自分で用意しなければいけません。
必要な機材
電気管理技術者の要件の1つとして、電気事業法施行規則の第52条の2にて「別に告示する機械器具を有していること」と定められています。
この告示とは「平成十五年経済産業省告示第二百四十九号(電気事業法施行規則第五十二条の二第一号ロ の要件等に関する告示)」、通称「告示第249号」を指しています。
その中で必要な機械器具は下記の様に記されています。
- 絶縁抵抗計
- 電流計
- 電圧計
- 低圧検電器
- 高圧検電器
- 接地抵抗計
- 騒音計
- 振動計
- 回転計
- 継電器試験装置
- 絶縁耐力試験装置
これらは絶対に揃えておかないといけない機材となります。ただし条件によっては、除外できるものもあります。これは後で解説します。
しかしここで挙げる機材は法的に最低限必要な機材で、これがあれば電気管理技術者として一人前に仕事ができる訳ではないのでご注意ください。
次からはそれぞれの機材について、詳しく解説していきます。
①絶縁抵抗計
絶縁抵抗計はメガーとも呼ばれる、絶縁抵抗値を測定する測定器です。
絶縁抵抗計には測定レンジがありますが、告示では特にどのレンジを用意しなければいけないとは記載されていません。主任技術者制度に関するQ &Aでは、低圧の事業場のみの受託なら低圧用だけも良いと記載されています。
しかし現実的に低圧事業場のみを受託するのはごく稀かと思いますので、低圧用及び高圧用の絶縁抵抗計が必要です。
絶縁抵抗計の選び方については、こちらの記事をご覧下さい。
②電流計
電流計は電流を計測する計器です。電流計といっても様々ですが、電気保安管理業務で大事になってくるのが、漏れ電流を測定できるリーククランプメーターです。
電気保安管理業務の月次点検では、変圧器ごとの漏れ電流の測定が必須です。
通常、漏れ電流は数mA〜数十mAです。mA単位の電流は、普通のクランプメーターでは測定できません。
必ずリーククランプメーターを選びましょう。
③電圧計
電圧計は電圧を計測する計器です。
電圧計はテスターで大丈夫です。また先のクランプメーターに電圧測定機能があれば、それに代えることも可能です。
テスターの選び方については、こちらの記事をご覧下さい。
④低圧検電器
低圧検電器は、低圧用の検電器です。検電器は回路が充電されているかを簡単に判断できる機器です。
高圧と低圧のどちらにも使用可能な検電器であれば1台でも大丈夫です。
検電器の選び方については、こちらの記事をご覧下さい。
⑤高圧検電器
高圧検電器は、高圧用の検電器です。前の低圧検電器の高圧バージョンです。
高圧と低圧のどちらにも使用可能な検電器であれば1台でも大丈夫です。
検電器の選び方については、こちらの記事をご覧下さい。
⑥接地抵抗計
接地抵抗計は、接地抵抗値を測定する測定器です。
接地抵抗値は主に、竣工検査や年次点検で使用します。
接地抵抗計には2極法のみに対応した簡易タイプと、3極法にも対応したものがあります。
電気保安管理業務では、3極法に対応したものを選びましょう。
⑦騒音計
騒音計は、音の大きさを数値化する測定器です。
発電所の点検で必要になります。
⑧振動計
振動計は、振動状態を数値化する測定器です。
発電所の点検で必要になります。
⑨回転計
回転計は、回転数を測定する測定器です。タコメーターとも呼ばれます。
発電所の点検で必要になります。
接触タイプと非接触タイプがありますが、非接触タイプを選びましょう。
⑩継電器試験装置
継電器試験装置は各種、保護継電器を試験する試験器です。
受託する事業場に設置される保護継電器を試験できる様に準備する必要があります。
とりあえずはGR及びDGRが試験できる試験器と、OCRが試験できる試験器を準備しましょう。
⑪絶縁絶縁耐力試験装置
絶縁耐力試験装置は高圧受電設備などの新設時に実施する、絶縁耐力試験に必要な試験器です。
前の保護継電器試験器のオプションで耐電圧トランスがあり、それらを組み合わせることで絶縁耐力試験装置となります。
単体で絶縁耐力試験装置になるものもありますが、費用対効果的に前者をおすすめします。
また長いケーブルの絶縁耐力試験をする場合は別途、リアクトルを準備したり直流電圧の絶縁耐力試験装置が必要になります。
除外できる条件
告示第249号では、条件を満たせば一部の機材は不要となっています。
上手く活用することで、初期投資を減らすことができます。
①発電所を受託しない場合に必要ない機材
告示では下記の様に記されています。
受託する事業場が太陽電池発電所、燃料電池発電所、蓄電所、需要設備又は配電線路を管理する事業場のみの場合は、騒音計、振動計、回転計を除くものとする。
これは回転機を有する発電所を受託しなければ、騒音計などは不要ということです。
発電所の事業場は数が少ないので、初めのうちは必要無い人も多いはずです。
②必要な時に借用できる体制があれば必要ない機材
告示では下記の様に記されています。
委託契約の相手方又は当該事業場の設置者が必要な場合に使用し得る措置を講じている場合は、継電器試験装置及び絶縁耐力試験装置を除くものとする。
これは継電器試験器などを必要な時に借用できる体制を整えておけば、自前で準備する必要はないということです。
多くの電気管理技術者は、各電気管理技術者協会に所属しています。この様な協会では、継電器試験装置などの共同保有をしており借用できるようになっています。
各電気管理技術者協会に所属する場合は、準備が不要です。
③事業場に備え付けてあれば不要
告示では下記の様に記されています。
保安管理業務を実施する事業場の設置者がこれらの機械器具を当該事業場に備え付けている場合にあっては当該機械器具を除くものとする。
これは保安管理する事業場に、機材が備え付けられていれば電気管理技術者が準備する必要はないということです。
しかしその機材は、その事業場でしか使用できないので現実的ではありません。
①の発電所のみに必要な機材で、発電所を1箇所しか受託しない場合などは活用できるかもしれません。
まとめ
- 電気管理技術者になるには最低限、用意しないといけない機材がある
- 一部、除外できるものや借用が認められるものがある
- 法的に最低限必要なだけで、これらがあれば大丈夫な訳ではない
電気管理技術者は魅力的な職業である一方、なるにはハードルが高いのも事実です。特に機材は、費用面で大きなハードルとなります。
必要な機材について誤った認識で、間違えて購入してしまったなんて失敗談も聞きます。1つ1つが高価な道具なので、しっかりと準備したいですね。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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