どうもじんでんです。今回は、オムロンのRPRとOVGRの複合型リレーであるKP-PRRV-CPCの保護継電器試験について解説します。
KP-PRRV-CPCは専用CTから電流を入力する、特殊なタイプなので注意が必要です。
内容については十分に精査していますが、誤りがある場合があります。実際の試験や判定に活用される際はご注意ください。
整定
KP-PRRV-CPCでは下記の項目の整定があります。それぞれのロータリースイッチを回すことで変更が可能です。
- 動作電圧(OVGR要素)
- 動作時間(OVGR要素)
- 動作電力(RPR要素)
- 動作時間(RPR要素)
CT比
CT比設定は電力量を計測する為に必要な設定です。計測した電力量は、CAN通信などにより対応機器(PCSなど)に送信されます。
CT比はロータリースイッチ『CT比定率』とディップスイッチ『CT比倍率』の掛け合わせで設定します。設置してあるCTのCT比と同じ値になるように設定します。
CTが60/5の場合は、CT比は12なので下記の通り設定します。
- CT比定率を1.2、CT比倍率を×10とすると 1.2×10 = 12 = CT比
OVGR要素
KP-PRRV-CPCの地絡過電圧(OVGR)要素の試験方法について解説します。
結線
試験機の各出力を下記の通り配線します。
- 電源…[S1]-[S2] 電圧はAC/DC110V
- 電圧…ZPDの[T]-[E]
- 接点…[a1]-[c1-2]または[a2]-[c1-2]
試験
KP-PRRV-CPCのOVGR要素の試験では、下記の項目の測定が必要です。
動作値
試験機の出力電圧を徐々に上げていき、検出LEDが点灯した時の電圧を測定します。
整定値と電圧の関係の代表例を表にしています。他の整定値でも比例の関係にあります。
整定値 | 電圧値 |
---|---|
5% | 190.5V |
10% | 381.0V |
判定基準 | 整定値±25% |
動作時間
下記の条件を入力した時の動作時間を測定します。
- 電圧…0→整定値の150%
判定基準 | 整定値の±5% ※最少誤差±50ms |
RPR要素
KP-PRRV-CPCの逆電力(RPR)要素の試験方法について解説します。
結線
試験機の各出力を下記の通り配線します。
- 電源…[S1]-[S2] 電圧はAC/DC110V
- 電圧…[P1]-[P3]を短絡して[P1-P3]に+、[P2]に-
- 電流…専用CT一次に電線を通してL→Kの向き ※本体の[C1+][C1-]には直接流さない。
- 接点…[a3]-[c3]
電流については、専用CTがR相用とT相用の2つが設置されています。試験時はいずれか1つに配線して試験します。
試験
KP-PRRV-CPCのRPR要素の試験では、下記の項目の測定が必要です。
いずれも単相回路での試験の場合です。
またRPR要素の試験時は、ロータリースイッチ『CT比定率』の設定を『0(TEST)』にしてから実施して下さい。
動作値
下記の条件で出力電流を徐々に上げていき、検出LEDが点灯した時の電流値を測定します。
- 電圧110V
- 位相0°
単相回路での試験の場合は、三相回路の√3倍で動作します。
整定値が1%の場合は三相回路なら50mAなので、単相回路の場合は86.6mAで動作します。
※電圧を110V固定とするとCT二次側の定格5Aが100%とみなせるので、この5A×整定値(%)が動作値となります。整定値が1%なら5A×0.01=0.05Aとなります。
判定基準 | 整定値が0.2%の場合…整定値±10% 上記以外の整定値の場合は…整定値±5% |
位相特性
下記のそれぞれの条件で電流を徐々に上げていき、検出LEDが点灯した時の電流値を測定します。
- 進み(LEAD)30° 電圧110V
- 遅れ(LAG)30° 電圧110V
いずれも整定値の115%で動作する。
判定基準 | なし |
動作時間
下記の条件を入力した時の動作時間を測定します。
- 電圧…110V
- 位相…0°
- 電流…0→整定値の120%
判定基準 | 整定値の±5% ※最少誤差±50m |
強制動作
シーケンス試験などで強制動作させる方法を解説します。
OVGR要素
- KP-PRRV-CPC本体の右上にあるロータリースイッチ『機能』を回し、『V0点検』を選択する。
- KP-PRRV-CPC本体の右側にある『試験』スイッチを押す。
- 強制動作。
RPR要素
- KP-PRRV-CPC本体の右上にあるロータリースイッチ『機能』を回し、『P点検』を選択する。
- KP-PRRV-CPC本体の右側にある『試験』スイッチを押す。
- 強制動作。
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