どうもじんでんです。現在、日本では電力システム改革によって様々な事柄が変化しています。小売の自由化や送配電部門の法的分離もその1つです。この電力システム改革の走り出しとして設立された団体があります。それが電力広域的運営推進機関です。この記事では、電力広域的運営推進機関について解説します。
電力広域的運営推進機関とは?
電力広域的運営推進機関とは、電気事業法に基づく認可法人です。略称で「広域機関」や「OCCTO(オクト)」とも呼ばれます。OCCTOは「Organization for Cross-regional Coordination of Transmission Operators, JAPAN」の略称です。
電力広域的運営推進機関は電気事業法の28条の4にて規定されています。
電力広域的運営推進機関は、電力システム改革の第1段階として2015年4月に発足しました。
役割
電力広域的運営推進機関には大きく3つの役割があります。
- 短期から中長期的な安定供給の確保
- 送配電設備の公平・公正かつ効率的利用の推進
- 全国の需給状況や系統の運用状況の監視
これらは過去には、各地域の旧一般電気事業者がそれぞれおこなっていたものです。それを全国的に運用しようとするものです。全国の電力の総司令部ともいえる存在ではないでしょうか。
また2020年6月に成立したエネルギー供給強靭化法により、下記の役割も追加されました。
- 一般送配電事業者が作成する災害時連携計画の内容の確認
- 災害復旧費用の相互扶助制度の運用
- 広域系統整備計画の策定・国への届出および計画に位置づけられた地域間連系線等整備費用の一部への再エネ賦課金方式の交付金等の交付
- 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)に関する交付金の交付
- FIP制度に関するプレミアムの交付
- 太陽光パネル等の廃棄費用の積立金の管理
このように電力広域的運営推進機関の役割は、非常に重要なものとなっています。
会員とは?
電力広域的運営推進機関は、中立で公平な組織体制が求められます。その為に理事会だけでなく、総会や評議会などの外部を交えての意思決定をおこないます。
その内の総会は、会員によって構成されます。この会員とは全ての電気事業者が対象で、電気事業者は電力広域的運営推進機関の会員となることが義務付けられています。
会員の責務
会員には次の責務が課せられています。
- 総会での議決権の行使
- 広域機関の指示・要請に従う等、ルールの遵守
- 会費の支払い
- 供給計画の提出
- 緊急災害対応
総会
総会は全会員によって構成されます。総会では、定款および業務規程の変更・予算・決算・役員選解任等などを決議します。
また意思決定が偏らないように電気事業者を3グループに分けて、全てのグループが均等になるように票を分配しています。3つのグループとは、「送配電事業者」「小売事業者」「発電事業者」です。
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