どうもじんでんです。今回は波及事故の原因と対策について記事にしました。波及事故は電気主任技術者として絶対に起こしたくない、起こせないものですよね。
波及事故とは?
波及事故についての基本はこちらの記事を読んで下さい。
波及事故を起こしてしまうと、経済産業省の保安監督部への報告が必要となります。その際の原因の内容によっては、立入検査の対象になる場合があります。
波及事故の件数と原因
波及事故は経済産業省から発信されている、電気保安統計の令和1年度を簡単に分析してみます。
- 年間の発生件数は約180件
- 区分開閉器(PAS)に関係するものは37件
- 区分開閉器(PAS)を設置していない為に発生したものは83件
- 保護協調に関係するものは5件
- 保護継電器の不良によるものは18件
波及事故への対策
波及事故が起こる原因は、次の3つが代表的です。
- 区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置の故障
- 保護協調の間違い
- 雷によるもの
これらについて、詳しく解説と対策について書いていきます。
区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置の故障
1つ目は区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置の故障によるものです。 区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置の劣化や故障により、電気事故が起きても正常に動作せずに波及事故になります。
対策としては、停電点検時にSOG制御装置の単体試験及び区分開閉器(PAS)との連動試験をキチンと実施する事です。
他の様々な保護装置が故障していても、区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置さえ正常であれば波及事故を防止できます。もしも試験で不良判定があれば早急に取替えをしましょう。
保護協調の間違い
2つ目は保護協調の間違いによるものです。保護装置は下位から順に早く動作するようになっています。この場合の上位は電力会社側で、下位は需要家側です。しかし需要家の保護装置の整定が上位より遅く動作するような状態だと、保護装置が正常であっても電力会社の保護装置が先に動作してしまいます。これにより波及事故となります。
対策は保護装置の更新や設備の増設などがあった場合は、構内の保護協調について全てを見直しをしましょう。その際に、キチンと電力会社と保護協調がとれているかを確認しましょう。
雷によるもの
3つ目は雷によるものです。稀に雷がPASが直撃する事があります。この場合にPAS自体が絶縁不良に陥り短絡及び地絡が発生するが、SOG制御装置が機能しない事があります。これは雷による高電圧で、SOG制御装置自体や検出部が壊れてしまう為です。これにより波及事故になってしまいます。
これに関しては殆ど対策のしようがありません。避雷器を設置していても、誘導雷には有効ですが直撃雷に関しては殆ど機能しない場合が多いです。
区分開閉器(PAS)が波及事故を防ぐ
これまでの説明からも波及事故の多くは、区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置の不良で発生していると言っていいでしょう。
逆を言えば、 区分開閉器(PAS)及びSOG制御装置さえキチンとしていれば波及事故を防ぐことができると言っていいです。
定期的な試験と、計画的な機器の更新が大事です。
区分開閉器(PAS)について詳しくは、こちらの記事で解説しています。
SOG制御装置について詳しくは、こちらの記事で解説しています。
まとめ
- PAS及びSOG制御装置の故障により波及事故となる
- 保護協調の間違いにより波及事故となる
- PASへの雷の直撃により波及事故となる事がある
- 区分開閉器(PAS)とSOG制御装置が波及事故を防ぐ
今回は波及事故の原因と対策について記事にしました。電気主任技術者として波及事故は起こすことのできないものですよね。きちんと対策をしておきましょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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