どうもじんでんです。今回は真空電磁接触器(VMC)の解説です。真空遮断器(VCB)に似ていて、いまいち違いが分からないという方もいるかもしれません。似ていても全然違う物なので注意しましょう。
真空電磁接触器(VMC)とは?
真空電磁接触器は「VMC」とも呼び、「Vacuum electoroMagnetic Contactor」の略称です。
他にも「VCS」や「Vctt」「真空コンタクタ」と呼ばれる事もありますが、同じ物と考えて良いでしょう。しかし「VMC」と「VCS」は 、ヒューズの内蔵の有無などで違うと言う意見もあります。
色々と調べましたが。明確な根拠を見つける事ができませんでした。「VMC」の方が一般的なので、この記事では「VMC」と表記します。もし何かご存知の方がいればコメント下さい。
用途
VMCは回路を電磁石の力で開閉する開閉器です。
特徴は負荷開閉への耐久性の高さです。多頻度で開閉する回路へ設置されます。負荷開閉の可能回数は10万回〜25万回とされています。
しかし事故電流の遮断能力は低く、遮断器としては使用できません。その為に保護用として、高圧限流ヒューズなどを別で設置する必要があります。また機種によっては、高圧限流ヒューズ(PF)を内蔵しているタイプもあります。
高圧受電設備では、主に高圧進相コンデンサや高圧モーターの入切スイッチとして設置されます。
高圧進相コンデンサ回路への設置
VMCの1番の用途は高圧進相コンデンサ回路への設置です。
大規模な需要家になると、力率改善用の高圧進相コンデンサを複数台設置しています。その高圧進相コンデンサを自動力率調整装置により入切を制御しています。力率の状況により、高圧進相コンデンサの投入台数を調整して適切な力率を保ちます。
この時に、頻繁に入切する為にVMCが設置されます。各高圧進相コンデンサにVMCを設置して、自動力率調整装置からの信号で入切をします。
またVMCを設置する際は、高圧進相コンデンサの突入電流に注意が必要です。
突入電流を防ぐ為に直列リアクトルの設置が求められます。直列リアクトルが設置されていない場合は、突入電流によりVMCの寿命を縮めてしまします。
操作方式
VMCの操作方式は大きく2種類あります。
- 常時励磁式
- ラッチ式
それぞれの特徴を簡単にまとめます。
常時励磁式
投入状態時に、常に投入コイルに電流を流して保持する方式です。
操作電源の喪失時には開放状態になります。多頻度の開閉する回路の場合に採用されます。
ラッチ式
投入操作時にのみ、投入コイルに電流が流れる方式です。
投入後は、機械的に投入状態が保持されます。操作電源が喪失しても投入状態を保持できます。停電など操作電源が喪失しても、投入状態を保持したい場合に採用されます。
VCBとの違い
よく「VCB」と「VMC」の違いが分からないと言われます。形や名前が似ているので、同じ物と思われる事もあります。しかしそれぞれに特徴があります。
大きな違いは次の通りです。
- 事故電流は、「VCBは遮断可能」「VCSは遮断不可」
- 負荷開閉への耐久度は「VCBは低い」「VCSは高い」
この通りどちらかが上位互換と言う訳でなく、それぞれに特徴があります。
VCBはあまり入切をしない回路の保護装置として設置されます。
VCSは高頻度で開閉する回路のスイッチとして設置されます。
まとめ
- 真空電磁接触器は「VMC」と呼ぶ
- 他にも「VCS」「Vctt」「真空コンタクタ」とも呼ぶ
- 負荷開閉への耐久性が高いが、事故電流の遮断能力は低い
- 主にコンデンサ回路に設置される
- VCBとは特徴が違う
VMCは特にVCBとの違いについて、キチンと理解しておきましょう。同じ物として扱うと大変な事になってしまいます。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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