どうもじんでんです。今回は、コンデンサ引外し電源装置について解説します。よく過電流継電器(OCR)とセットで設置されていますね。なぜ設置されているのか、どのような役割を果たしているのかについて解説します。
コンデンサ引外し電源装置とは
コンデンサ引外し電源装置は「コンデンサトリップ」や「コントリ」、「CTD」とも呼ばれています。「CTD」とは、「Condenser Trip Device」の略称です。
コンデンサ引外し電源装置の機能は、交流電圧を直流電圧に変換することです。この変換した直流電圧を遮断器の制御電源として利用します。
用途
コンデンサ引外し電源装置は、主に保護継電器(過電流継電器や地絡継電器等)と真空遮断器(VCB)とセットで使用されています。
真空遮断器(VCB)を開放する手段として、電流引外し方式と電圧引外し方式があります。電流引外し方式は、計器用変流器(CT)二次側に流れる事故電流を利用して、真空遮断器(VCB)を開放します。電圧引外し方式は、備え付けのバッテリー等の直流電源を利用して、真空遮断器(VCB)を開放します。
これについては、過電流継電器のトリップ方式の種類で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
コンデンサ引外し電源装置は、電圧引外し方式で利用されるものです。
コンデンサ引外し電源装置は、名称の通り機器内にコンデンサを内蔵しています。コンデンサが内蔵されていることにより、停電した後もしばらくは充電状態を保持することが可能になります。よって、停電時に電源が喪失しても、しばらくの時間は遮断器の開放が可能です。
電圧引外し方式の真空遮断器(VCB)では、基本的に直流電源装置を利用します。直流電源装置は、大容量のバッテリーを内蔵することにより、停電時でも高圧受電設備の制御電源だけではなく、非常照明等としても利用されます。ですが高価で大型となっています。
コンデンサ引外し電源装置は、電圧引外し方式の真空遮断器(VCB)を設置したいが、直流電源装置がない若しくは設置が難しい場面で採用される電源です。コンデンサ引外し電源装置は直流電源装置に比べ、安価で省スペースなのがメリットです。しかし高圧受電設備の制御電源として利用できる、最低限の容量しかありません。
注意事項
コンデンサ引外し電源装置を扱う際には、以下の点に注意する必要があります。
残留電荷の放電
コンデンサ引外し電源装置は、内部にコンデンサが内蔵されているため、停電した後もしばらくの間は回路に電荷が残り充電状態のままになります。そのため、停電作業等で回路に触れる場合には感電する恐れがあります。
これを防止するために、本体の表面に「放電スイッチ」が備えられています。この「放電スイッチ」を押すことで、残留電荷を強制的に放電することができます。残留電荷を放電することにより、安全に回路に触れることができるようになります。
遮断器との組み合わせ
コンデンサ引外し電源装置は、メーカーや種類により入力電圧及び出力電圧が異なります。電圧を間違えると、コンデンサ引外し電源装置または真空遮断器(VCB) の焼損を招きます。よって、組み合わせることのできる真空遮断器(VCB)の制限があります。
どちらか一方を取り替える場合は、その組み合わせに注意する必要があります。
回路図
コンデンサ引外し電源装置と真空遮断器(VCB)と保護継電器を組み合わせた回路図の例です。
保護継電器は、主に過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR、DGR)等です。
コンデンサ引外し電源装置に交流電圧を入力します。すると直流電圧を出力します。この直流電圧を高圧真空遮断器(VCB)のトリップコイルにかかるように配線します。
その配線の途中に保護継電器のa接点を設けることで、保護継電器が動作すると高圧真空遮断器(VCB)が遮断するという回路ができます。
まとめ
- コンデンサ引外し電源装置は、「コンデンサトリップ」や「コントリ」、「CTD」とも呼ぶ。
- コンデンサ引外し電源装置は、交流電圧を直流電圧に変換する装置。
- 電圧引外し方式の真空遮断器(VCB)の電源装置として利用される。
- 内部にコンデンサが内蔵されているため、停電した後もしばらくの間は遮断器の開放が可能。
- 種類によって入力電圧及び出力電圧が異なる。
コンデンサ引き外し電源装置は、現場でよく見る機器です。停電しても電荷が残っている等、扱いに注意が必要です。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
コメント
トリップコイルに直列に接続された補助接点が存在しますが、これはトリップコイルの励磁後に連動して投入されると読み替えてよろしいのでしょうか?
匿名さま
コメントありがとうございます。
補助接点については、VCBの入切に連動しています。
VCBが「入」なら補助接点は「閉」、VCBが「切」なら補助接点は「開」となります。
この補助接点の目的は、トリップコイルの焼損防止の為です。
保護継電器が動作してトリップコイルに電圧が印加されるとVCBが切れます。
すると補助接点が「開」となり、トリップコイルへの印加がなくなります。
補助接点がないと、電源がある限りトリップコイルに電圧が印加されて焼損してしまいます。