どうもじんでんです。2022年7月時点で、世の中では物価の高騰が大きな話題となっています。様々な物の価格が上がっています。また半導体不足などにより、物の入手も困難を極めています。
そんな中、生活に直結する問題が電気代の高騰です。法人、個人を問わず頭の痛い問題です。
しかし電気代が値上がりしているとはニュースなどで聞きますが、「どうして高くなっているのか?」「どの部分が高くなっているのか?」など電気料金の詳細まで理解している人は少ないのではないでしょうか。
電気料金の仕組みを理解する事で、高騰に対して何か対策できるのかなどが見えてくると思います。
この記事では、電気料金の仕組みや値上がりの要因について解説します。
電気料金の仕組み
電気代と一言で言いますが、電気料金は様々な要素から成り立ちます。まずはこれを理解しておきましょう。
電気料金は低圧受電か高圧受電か、または料金プランにより違ってきますが、基本は同じ考え方となります。
電気料金は、大きく分けて次の3つの要素から成り立ちます。
- 基本料金
- 電力量料金
- 再エネ賦課金
これら「基本料金」+「電力量料金」+「再エネ賦課金」の合計が月々の電気代となります。
それぞれの要素について詳しく解説します。
基本料金
基本料金は、契約する容量に比例する料金です。1度に多くの電気を必要とする施設ほど基本料金が高くなります。基本的には、年間を通して固定されています。
また基本料金に単価については、「原価主義の原則」「公正報酬の原則」そして「電気の使用者に対する公平の原則」という3原則に基づき決められています。これにより単価の変更には経済産業大臣の許可が必要など、公正な価格が適用されています。これを統括原価方式と言います。
これについては電力自由化により撤廃されましたが、経過措置として旧一般電気事業者から提供されています。
電力量料金
電力量料金は、使用した電力量に比例する料金です。電気を使用すればするほど高くなります。
この電力量料金は2つの要素で成り立っています。
- 電力量料金単価
- 燃料費調整単価
具体的には「電力量料金単価」×「使用電力量」±「燃料費調整単価」×「使用電力量」の合計が、電力量料金となります。
電力量料金単価については基本料金と同じで、公正な価格が適用されています。
ポイントは燃料費調整単価です。計算式から見て分かるように、燃料費調整単価は足される時もあれば、引かれる時もあります。
これは実際の発電に使用される、燃料の価格が変動する為です。この燃料費調整単価は毎月見直されており、3ヶ月間の平均燃料価格から2ヶ月後の燃料調整単価が算定されています。
燃料は、原油やLNG(液化天然ガス)、石炭が挙げられます。
再エネ賦課金
再エネ賦課金は、正式には再生可能エネルギー発電促進賦課金と言います。再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電など)は、導入を促進する為に再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、一定の期間を一定の金額で買取ることを国が約束しています。
この再生可能エネルギー固定価格買取制度による買取の費用として、再エネ賦課金が使用されます。
再エネ賦課金は単価×使用電力量により決まります。電気を多く使えば使うほど高くなります。
この再エネ賦課金の単価は毎年度、経済産業大臣により定められます。また再エネ賦課金の単価は全国統一となっています。
高騰の原因
さて電気代の内訳が分かったところで、昨今の電気料金の高騰について考えていきましょう。
基本料金及び電力量料金単価は、統括原価方式だけ見れば大幅な値上げは実施されていません。よって基本料金と電力量料金単価は、実際にはほとんど変化していないと言えます。
※旧一般電気事業者にスポットを当てています。
では電気料金の高騰原因はどこにあるのでしょう。それは燃料費調整単価と再エネ賦課金です。
燃料費調整単価の高騰
燃料費調整単価はここ最近では常に上がり続けています。下記の推移表をご覧下さい。
このグラフについては、東京電力エナジーパートナーの低圧契約のデータから作成しました。電力会社や地域、プランによって単価は違いますのでご注意下さい。
2年前の2020年9月では-3.53円/kWhだったのが、2022年8月では+5.10円/kWhとなっています。その差は8.63円です。
一般的な平均電力使用量はご存知でしょうか。4人家族の戸建住宅で、400kWh前後と言われています。この電力使用量に燃料費調整単価を掛けたものの差が、電気代の差と言えます。
先ほどの2年前と現在の差が8.63円/kWhなので、月間使用量が400kWhだと電気代に換算すると3452円の差となります。同じ使用量でも、これほどの違いが出てきます。
燃料費調整単価は、原油やLNG(液化天然ガス)、石炭の価格に影響されるので、現在の世界情勢を踏まえると暫くは厳しい状況が続きそうです。
再エネ賦課金の上昇
再エネ賦課金は、制度が開始されてから上がり続ける一方です。開始当時は0.22円/kWhだったのが、2022年では3.45円/kWhとなっています。その額は約15倍にも膨れ上がっています。
これも電力量使用量に比例するので、先程の一般家庭の月間平均電力使用量で計算すると、2022年は月額1380円も負担していることになります。2021年と比べると、単価が3.36円/kWhだったので1344円となり、月額37円の増額をしています。
1年毎に単価が決められるので、単年度毎で見れば大幅な値上がりはありませんが、電気代の高騰の要因と言えます。
再エネ賦課金は、FIT法による再エネの固定価格買取制度に由来しています。この制度がまだ継続しているので、しばらくは上がり続ける予想となっています。環境省の報告書 によると2030年にピークを迎えて、そこから下落し2048年に0円となると予想されています。
燃料費調整単価ほどではないですが、まだまだ上がり続けて電気代の上昇の一因となりそうですね。
対策
ここまで電気代の上昇の原因について解説しました。しかし電気代の高騰は、家計を圧迫してしまいます。ではどの様な対策が可能なのでしょうか。
ここからは電気代を抑える方法について解説します。
節電する
これは言わずもがなかもしれませんが、まずは電気の使用量を減らす事です。
しかし暑いのにエアコンを我慢することや照明を減らして暗い中で生活するなどは、生活の質を落とすのでおすすめできません。
そこで、まずは省エネタイプの製品へ切り替えてはいかがでしょうか。電気の使用量が大きいエアコンや冷蔵庫は、特に効果が高いです。10年以上前の製品をお使いであれば、買い替える事で効果が高いです。
あとは常に使用する照明器具もLED照明への買い替えをおすすめします。
同等の性能で、電気の使用量を大幅に減らす事ができます。
電気を使わない節電ではなく、省エネ機器による節電をおすすめします。
電気料金プランを見直す
電気料金プランは実は色々とあります。生活スタイルによっては、他のプランに変更すれば、同じ使用量でも節約できるかもしれません。
また基本料金も契約容量を減らす事で削減できます。昔のままで契約を見直していないと、損をしている可能性があります。
これまでに、1度も見直していないという人は是非、電力会社に相談してみましょう。
電力会社を乗り換える
電力自由化により、電気を売る事ができる会社が多く増えました。この電力を売る会社を新電力とも言います。
旧一般電気事業者より柔軟なプランを提供していたり、ガスやインターネットとのセット契約やポイントによる還元など色々とあります。
電気の購入先の変更も検討してはいかがでしょうか。
しかし最近は電力価格の高騰による、業者の急な撤退などトラブルも増えています。慎重に検討しましょう。
まとめ
- 電気料金の仕組みを理解しよう
- 高騰の原因は主に燃料費調整単価にある
- 再エネ賦課金も年々と上昇している
- 対策としてプランの変更や新電力を検討しよう
最近の電気料金の高騰は、異常事態とも言える状態です。しかし、電気を使わない訳にはいきません。
この電気代の高騰は、燃料費の高騰によるものが大きく、世界情勢などの外的要因により見通しは不透明です。
節電することはもちろんですが、同じ使用量でもプラン変更や新電力への変更などのちょっとした工夫で、電気代は減らす事ができます。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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