どうもじんでんです。現在、電気関連の大きな問題としてPCBが挙げられます。処分期限が迫っている中、設置者や電気主任技術者、電気工事士などは対応に苦慮しているかと思います。
その中でコンデンサは、穴を開けないと絶縁油を採取できず、検査もできないものとなっています。すると必然的にコンデンサの更新が必要となります。
そこで注意しておきたいのが、コンデンサとリアクトルの旧JISと新JISの組み合わせです。意外と知られておらず、機器の焼損などにつながるので理解しておきましょう。
コンデンサとリアクトルの基礎知識
今回の主役となるコンデンサとリアクトルについて、基礎知識を簡単に解説します。
コンデンサ
高圧受電設備におけるコンデンサは、主に力率改善を目的として設置されます。力率を100%に近づけることで、電気料金の割引を受けることができます。力率改善と電気料金の関係については、こちらの記事をご覧下さい。
このことから、殆どの高圧受電設備に高圧進相コンデンサが設置されています。
高圧進相コンデンサについて詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
リアクトル
高圧受電設備におけるリアクトルについては、コンデンサとセットで設置されます。昔は設置が任意となっていましたが、現在は原則設置することとなっています。
設置の目的は主に、「突入電流の抑制」と「高調波への対策」が挙げられます。
直列リアクトルについて詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
旧JISと新JISを組み合わせてはダメ
高圧受電設備にて、コンデンサとリアクトルを取替えることがあります。故障など理由は様々ですが、近年ではPCB問題により取替えることも多いです。
PCBの為に取替えが増加
PCBとは、昔に使用されていた有害な油です。このPCBは電気機器の絶縁油として特性が優れていた為、使用されていました。しかし人体に有害であることから使用が禁止され、現在は処分に向けて動いています。
PCBについて詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
コンデンサやリアクトルもこのPCBに汚染されたものが、まだまだ存在しています。このPCBの為に、コンデンサやリアクトルを取替える事業場が増えています。
コンデンサとリアクトルの旧JISと新JIS
ここで問題となるのが、コンデンサとリアクトルの旧JISと新JISです。
コンデンサとリアクトルは、日本産業規格(JIS)が定められています。今までに何度か改正されていますが、1990年版と1998年版で大きく変更がなされています。
1990年版のJISでは、「JIS C 4902」で高圧及び特別高圧進相コンデンサを「JIS C 4801」で高圧及び特別高圧進相コンデンサ用直列リアクトルを「JIS C 4802」で高圧及び特別高圧進相コンデンサ用放電コイルが規定されていました。
1998年版のJISでは、「JIS C 4902」に先ほどの3つが統合されて高圧及び特別高圧進相コンデンサ及び附属機器となりました。
1990年版以前を旧JIS、1998年版以降を新JISと呼んでいます。
旧JISと新JISの組み合わせ
コンデンサとリアクトルは直列に接続しますが、どちらか一方のみを取り替えることも考えられます。
そうなると、旧JISと新JISの混在が発生する可能性があります。実はこれは不具合の元となり、避けるべきこととされています。不具合の内容は、組み合わせにより変わります。
これは旧JISと新JISを組み合わせると、直列リアクトルのリアクタンスが変化する為です。
組み合わせ例
旧JISと新JISの組み合わせによる、不具合の例を紹介します。大丈夫な例とダメな例を解説します。
ダメな組み合わせ
旧JISのリアクトルと新JISのコンデンサ
直列に接続するリアクトルとコンデンサの組み合わせにおいて、リアクトルが旧JISでコンデンサが新JISとなる場合はダメな組み合わせです。
この場合は下記の不具合が考えられます。
- 高調波電流が流入しやすくなる
- リアクトルが焼損する可能性がある

新JISのリアクトルと旧JISのコンデンサ
直列に接続するリアクトルとコンデンサの組み合わせにおいて、リアクトルが新JISでコンデンサが旧JISとなる場合はダメな組み合わせです。
この場合は下記の不具合が考えられます。
- 高調波電流が流入し難くなる
- コンデンサが過電圧となり寿命を縮める

大丈夫な組み合わせ
同一バンクに新JISと旧JISを混在
同一バンクに新JISのコンデンサリアクトルの組み合わせと、旧JISのコンデンサとリアクトルが混在するのは、大丈夫な組み合わせです。

あくまでも直列に接続するリアクトルとコンデンサの組み合わせが重要となります。
まとめ
- コンデンサとリアクトルのJISは新旧で大きく違う
- 新JISと旧JISの組み合わせは危険
- 同一バンクの混在は大丈夫
リアクトルとコンデンサの取替え時は注意が必要です。またPCB問題から、今後も取替えが増加すると思われます。
せっかく取り替えたのに、すぐに壊れてしまうなんてことも考えられます。そうならない為にも、正しい知識を身につけておきましょう。
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