どうもじんでんです。比較的最近の建屋では、接地極にEDとは別にED(ELB)が施設されていることがあります。このED(ELB)は、何の為にあるか理解されているでしょうか。
個人的な見解では、意外と理解されていないように感じています。
今回はそんなED(ELB)について解説します。
接地の基本
ED(ELB)について解説する前に、簡単に接地の基本を解説します。
接地には「保安用接地」「機能用接地」「雷保護用接地」などの種類があります。電気事業法で定められている接地は、主に保安用接地を指しています。
接地の主な目的は、漏電による感電や火災を防ぐ為です。接地を施すことで人が感電するのを防いだり、各種保護装置が確実に働くようになっています。
その接地は用途別に、大きく4種類に分けられます。その種類と主な用途は次のとおりです。
- A種接地・・・使用電圧が高圧以上の機器用
- B種接地・・・変圧器の混触防止用
- C種接地・・・使用電圧が低圧で300V超過の機器用
- D種接地・・・使用電圧が低圧で300V以下の機器用
EDとED(ELB)
さて本題のED(ELB)ですが、これは種類で言えばD種接地となります。
ED(ELB)は、ED(ELCB)などとも表記されますが、同じものと考えて大丈夫です。
なぜEDとED(ELB)の2つのD種接地を施設する必要があるのでしょうか。
地絡時のELB回路の保護の為
ED(ELB)を施設する理由は、地絡時のELB回路の保護の為です。ELBは漏電ブレーカーを指しています。逆に通常のブレーカーをMCCBと言います。
低圧回路の地絡は、一般的に漏電とも言います。
漏電が発生すると電圧が上昇して、接地を施している金属外箱などに電圧が現れます。これに人が触れば感電します。
回路のブレーカーがELBだった場合は、漏電したら瞬時に遮断されます。しかしMCCBの場合は、漏電しても遮断はされません。
回路の保護にELBを採用するかどうかは様々な要素が絡みますが、一般的には、危険性が高い回路はELBで保護します。
接地極が共通だった場合
仮にD種接地の接地極が1つしか無い場合を考えてみます。全ての低圧機器のD種接地は、同じ接地極に繋がっていることになります。
MCCBの回路で地絡が発生した場合は、漏電が継続します。すると全てのD種接地箇所で電位が上昇し、電圧が現れます。
これはELB回路でも同様で、触れば感電する状態となります。
せっかくELBで保護している回路なのに、感電の可能性があるのは非常に危険だと分かりますね。
接地極を分けた場合
前述のようにならない為に、EDとは別にED(ELB)を施設します。ELBで保護されている回路の機器の接地はED(ELB)に接続します。それ以外の機器の接地はEDに接続します。
先ほどと同じ状況で考えてみましょう。
MCCBの回路で漏電が発生して電圧が上昇しても、電圧が現れるのはEDに繋がっている機器のみです。ELB回路は別の接地極なので、電圧は現れません。
このように接地極を分けることで、漏電時のELB回路への影響を無くしています。
2Ω以下なら共用も可能
ED(ELB)の施設に関しては、内線規程の勧告として定められています。電気事業法では定められていません。
その内線規程では、共用可能な条件も定められています。
それは接地極が2Ω以下の場合です。使用する接地極が2Ω以下であれば、共用が可能です。
これは2Ω以下であれば漏電時の電位の上昇する値が小さくなり、感電の危険性が小さくなる為です。
まとめ
- ED(ELB)はD種接地の1つ
- ED(ELB)はELBで保護された回路の機器用の接地極
- 共用だとELB回路でも感電する可能性がある
- 内線規程の勧告として定められている
ED(ELB)は電気事業法で定められておらず、内線規程で定められている内容です。よって比較的大きな事業場では施設されていますが、小さな事業場では施設されて無いこともあります。
またED(ELB)を理解せずに、増設工事で誤った接地極に接続されることも散見されます。誤って接続すれば、D種接地を分けた意味がなくなります。
ED(ELB)についての理解が広まればと思います。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
コメント
コメント失礼します。
いつも拝見させて頂いております。
自分も、電気工事に携わっておりまして
最近の現場ではED(ELB)接地を求められる機会が増えてきたように感じます。
しかしながら、いくらD種とELBアースを分けても
例えば、室外機を設置したときに、室外機に接続した配管のラジアースをD種から取るとします
室外機の電源はELBなので、室外機のアースはELBアースに接続すると
機器を通じてD種とELBアースが混触してしまうということが発生してしまいます。
同じように照明器具のアースをELBアースから取ったとしても
軽天からボルトで吊ってある様な器具の場合は軽天から伝ってD種と混触することになります。
上記の様な内容から、ELBアースの施工について疑問を持ち始めているのですが
何か解決策はあるのでしょうか
南雲さま
コメントありがとうございます。
多忙によりコメントが返せず申し訳ありません。
ご質問の件についてですが、私も同様の疑問は感じております。
しかし実際には、EDとED(ELB)が違う値を示す現場もあり、しっかりと区分して施工されていると思っています。
私も点検がメインであり、電気工事は本業ではないので、どのように施工すればいいのかは分かりません。
何か情報があれば、記事にしたいと思います。