どうもじんでんです。今回は高圧受電設備の1番大事と言っても過言ではない、気中開閉器(PAS)について記事にしました。
PASとは?
まず始めに気中開閉器(PAS)の呼び方についてです。PASには様々な呼び方があります。私が知る限りの呼び方を羅列します。
- 高圧気中負荷開閉器
- 高圧区分開閉器
- 高圧気中開閉器
- 区分開閉器
- 気中開閉器
などなど、他にも呼び方はあるかと思います。私自身、今回記事を書くにあたりタイトルにどれを持ってこようか悩みました。
そもそもPASとはなんの略称だと思いますか?PASとは「Pole Air Switch」の略称になります。日本語に訳するとすると「柱上気中開閉器」となります。それより今回のタイトルでは「気中開閉器」と表記させて頂きました。
しかしこれ以降の記事内では、誰もが理解しやすい「PAS」で表記させて頂きます。
今回のPASは、高圧需要家の引込柱に設置してあるものを指しています。なのでSOG機能付PASになります。
どのような役割があるの?
PASには大きく2つの役割があります。
- 電力会社との責任分界点。
- 波及事故防止。
この2つの役割について詳しく説明していきます。
電力会社との責任分界点
責任分界点と言う言葉をご存知でしょうか?
簡単に表すと、「ここまでは電力会社の持ち物ですよ」「ここからは需要家の持ち物ですよ」と言う線引きのポイントです。
このポイントを責任分界点と言います。なので責任分界点より電力会社側で、電線が切れたなどの場合は電力会社にて修繕します。需要家側で何かあれば、需要家で修繕することになります。
高圧需要家のほとんどは、PASの一次側接続点が責任分界点となっています。しかし地中化されている場所などで、この限りではない場所もあるので注意して下さい。
PASは需要家の持ち物になるので、操作は電気主任技術者が実施することになります。PASを切ることで構内を停電させ、法定点検や工事をします。簡単に言うと高圧需要家の電気の大元のスイッチと言ったところでしょうか。
責任分界点について詳しくはこちらの記事を読んで下さい。
波及事故防止
波及事故とは高圧需要家内での地絡や短絡の電気事故が原因で、周囲一帯を停電させてしまうことです。波及事故を起こしてしまうと、経済産業省の保安監督部に電気事故報告書を提出しなければいけません。
この波及事故を防止する、最後の砦がPASになります。高圧受電設備には、様々な保護装置が設置されています。それらの保護装置を上手く組み合わせることで、電気事故時の停電範囲を最小限に食い止めます。この保護装置の最後にあるのがPASになります。
正確にはセットで設置されるSOG制御装置が保護装置であり、それが動作する事でPASを遮断します。
SOG制御装置について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
このような動作をする事で、電気事故で一般家庭を含む周囲一帯などの大規模な停電を起こさないようにしています。
波及事故について詳しくはことらの記事を読んで下さい。
絶縁耐力試験時の注意点
PASを新設する時や取替える時には絶縁耐力試験が必要です。
最近はVT内蔵PASがよく設置されます。このVT内蔵PASの絶縁耐力試験には注意が必要です。
それは1相毎の試験はしてはいけないという事です。必ず3相一括で試験を実施しましょう。
なぜVT内蔵PASは1相毎の試験はダメなのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
- 呼び方が色々あるが、PASと言われるものは機能は同じ。
- 電力会社との責任分界点として設置される。
- 波及事故防止の為に設置される。
今回はPASの基本について記事にしました。PASにはまだまだ知っておかないといけない要素があります。それらについてはまた今度、記事にしたいと思います。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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