どうもじんでんです。今回はとある漏電調査の話です。
これまでに多くの漏電調査をしてきましたが、今回の様なパターンは初めてでした。
あまり経験することがない漏電原因なので、共有したいと思います。
概要
とある工場の月次点検をしていました。
1つの変圧器の漏れ電流を測定すると、通常より多い値でした。これは漏電していると思い、原因特定の調査を開始します。
ブレーカーの上流からクランプメーターで調査していき、末端の分電盤まで特定しました。
ここまでは一般的な漏電調査と同じで、変わったことはありません。
しかし問題はこれからです。
末端の分電盤の主幹ブレーカーの一次側で漏れ電流を測定すると、間違いなく漏電しています。よって、この分電盤に接続されて回路から漏電しています。
しかし分電盤内の分岐ブレーカーの負荷側の漏れ電流を測定しても、漏電している回路はありませんでした。
ここで頭を悩ませることとなります。
【調査】絶縁抵抗測定でも特定できない
主幹ブレーカーでは漏電しているのに、分岐ブレーカーでは漏電していないという、謎の現象に遭遇しました。
漏れ電流だけでは、これ以上の調査は不可能と判断しました。
幸い電気を落としても問題ない回路だったので、ブレーカーを切って調査を開始しました。
主幹ブレーカーを切ると、当然の様に漏電は無くなります。よって間違いなくこの主幹ブレーカー以降に原因があります。
主幹ブレーカー二次側から一括で絶縁抵抗測定をすると、一相のみ絶縁抵抗値が低い状態でした。
それから分岐ブレーカーを個別に測定しました。分岐ブレーカーでは絶縁抵抗値側低い回路は見当たりません。
分岐ブレーカーを全て切った状態で、主幹ブレーカー二次側を再度、測定しました。するとこれまでと同様に一相のみ絶縁抵抗値が低いです。
これは主幹ブレーカー〜分岐ブレーカーまでの間に、原因があるということです。
この分電盤は銅バーで接続されています。目視である程度は確認できますが、コレといっておかしい点はありません。
色々と確認はしましたが、お手上げ状態です。
最後に藁にもすがる思いで、分岐ブレーカーを外して確認することにしました。
【原因】ブレーカーが原因だった
分岐ブレーカーは全部で10個ありますが、電灯回路だったので絶縁抵抗が低い相から半分に絞れます。5個のブレーカーを外していくと、2個目で原因が判明しました。
ブレーカーの裏側を見ると一部が溶けています。また分電盤側も焦げた後があります。
このブレーカーを外して、絶縁抵抗測定をすると良好な値です。よってこの分岐ブレーカーが原因と確定しました。
ブレーカーの一次側で絶縁部が劣化して、分電盤のフレームを通して漏電していました。
ブレーカー本体から漏電している事象は、私も初めての経験でした。
しかし何故、ブレーカー本体の絶縁部が劣化して、漏電状態になったかは不明なままです。
ここからは推測ではありますが、次の理由が考えられます。
- 落雷のサージ電圧で、たまたま電気が抜けた
- 個体差で絶縁が低く、何かの拍子で絶縁破壊した
分岐ブレーカーは予備回路があったので、それと交換して復旧完了です。
今回のポイント
- ブレーカー本体から漏電という特殊な状況だった
- 分岐ブレーカーの個数が少なくて助かった
- 銅バーではなかったら、配線の可能性を疑った
今回の漏電調査は、正直なところ運が良かったと言えます。
分岐ブレーカーの数が多かったら、外す時間が膨大になります。もしかしたら外すという判断にならずに、他の原因を疑っていたかもしれません。
また電源を落としても問題ない回路だったので良かったです。漏れ電流だけでは、絶対に特定できませんでした。
まさかブレーカー本体から漏電しているとは、予想もしていませんでした。
今後はこの様な事象も考慮して、調査していこうと思います。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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