どうもじんでんです。電気主任技術者のルーティン業務として、月次点検があります。
月次点検では、需要家の敷地を隅々まで移動して点検します。この時に携行する道具って悩みませんか?
多すぎると移動が大変だし、足りないと取りに帰ったりで移動が増えるし、私もこれまでに試行錯誤してきました。
ここでは月次点検で携行する道具を紹介します。月次点検と言っても人によって様々ですので、私の紹介する道具が必ずしも正解とは限りません。
一例として参考になればと思います。
私の月次点検の道具の考え方は、コンパクトで必要最低限をモットーにしています。
月次点検とは?
自家用電気工作物では電気主任技術者を選任して、保安規程に従って点検をする必要があります。その保安規程の中の定期点検の1つとして、月次点検があります。
月次点検は、基本は1ヶ月に1回おこないます。しかし設備の内容によっては、2ヶ月に1回や3ヶ月に1回となっている場合があります。
月次点検は基本、設備が運転している状態で点検します。
月次点検の方法やポイントについては、こちらの記事をご覧下さい。
月次点検の道具【測定器編】
月次点検で必須の道具が測定器です。測定器がないと始まりません。
リーククランプメーター
リーククランプメーターは、変圧器のB種接地線での漏れ電流の測定用に使用します。
そんなリーククランプメーターは、HIOKIのCM4001を使用しています。
CM4001はコンパクトで持ち運びに便利です。しかし口径が大きくはないので、幹線での漏電調査などには不向きですね。
月次点検では基本的にB種接地線しか測定しないので、CM4001を携行しています。
クランプメーター
クランプメーターは負荷電流の測定に使用します。リーククランプメーターと兼用でもいいですが、私は特化したものを準備しています。
クランプメーターはHIOKIのCM3289を使用しています。CM3289にオプションのACフレキシブルカレントセンサCT6280を合わせて携行しています。
このCT6280があることで、どんなサイズの電線にも対応可能です。また複数条布設の場合でも、一括で電流測定ができます。
私がCM3289を購入した時は最善の選択でしたが、現在は更に口径が大きいCM3291が発売されています。CM3291も、CT6280を組み合わせて使用できます。
価格の差も小さいので、CM3291も選択の1つですね。
テスター
テスターは月次点検では電圧測定に使用します。
キュービクル内の電圧計が壊れていたり、値がおかしいと感じた時はテスターで測定します。
月次点検ではキュービクルでの測定があるので、測定カテゴリーのCAT Ⅳに対応したテスターが望ましいです。
測定カテゴリーCATについては、こちらの記事をご覧下さい。
CAT Ⅳ対応のテスターとして、HIOKIのDT4223を使用しています。CAT Ⅳ対応のテスターの中では、最小クラスの小ささです。
メガー(絶縁抵抗計)
メガー(絶縁抵抗計)は月次点検ではあまり使用しませんが、一応携行しています。
稀に漏電している箇所を見つけて測定したりします。
メガーはSANWAのHG-561Hを使用しています。コンパクトな形状ですが、これ1つで500Vレンジまで備えています。
検電器
検電器は電気主任技術者のマストアイテムですね。
私は低圧検電器と高低圧検電器の2つを携帯しています。高低圧検電器1本でも対応できますが、よく使用するのは低圧が多いので、低圧検電器も携帯しています。
検電器のおすすめはこちらの記事で紹介しています。
放射温度計
放射温度計は、温度測定に使用します。変圧器の温度測定から分電盤の接続部の温度測定などに使用します。
これまでは放射温度計が、よく使用されていました。しかし最近では高価ですが、サーモグラフィーカメラを使っている人も多いです。
私もサーモグラフィーカメラを使っています。放射温度計では温度が点でしか分からないので、1つの分電盤を測定するのに数分掛かっていました。
しかしサーモグラフィーカメラなら、一瞬で状況が分かります。遠目で全体を見て、温度が高い部分があれば接近して確認すれば終わりです。
見逃しがないないので、点検のクオリティーUPもできます。
サーモグラフィーカメラ派下記のポケットタイプを使っています。
月次点検の道具【工具編】
月次点検では測定器以外にも、工具が必要となる場面があります。
月次点検で使用する工具を紹介します。
ドライバー
ドライバーは必須アイテムです。
ドライバーはプラスとマイナスを携行しています。プラスはもちろんですが、マイナスも色々な場面で役に立ちます。
しかし2本携行するのは不便なので、アネックスのクイックボール72 ラチェットドライバーにベッセルの両頭コンビ 剛彩ビットを付けています。
レンチ
レンチは発電機の点検で使用します。
発電機の冷却水やオイルを確認するのに、六角ボルト留めの扉を外さないといけないものがあります。
よく使われているのは13mmです。しかし例外もあるのでモンキーレンチも常備しています。
カギ
電気設備には安全の為に、必ずと言っていいほどカギがかかっています。
しかし殆どのカギが共通キーとなっているので、自前でカギを準備している人も多いでしょう。
電気設備に必要なカギは、こちらの記事でまとめています。
月次点検の道具【小物編】
ここからは測定器でも工具でもない、アイテムを紹介します。
シール
シールはブレーカーの入切表示を主に使用します。
ブレーカーの入切を日頃から確認しておくと、設備の変化に気づくことができます。また停電点検時の確認にも役立ちます。
またマーキングにも役立ちます。
私は下記のシールを3色用意して、スイッチの入切様に2色、その他で1色使用しています。
養生テープ
養生テープはマーキングしたり、メッセージを残したり、物を留めたりとマルチに活躍します。
月次点検に限らず、常に携行したいアイテムです。
絶縁テープ
絶縁テープは充電部の養生に使用します。
点検中にケーブル被覆の劣化を見つけたら、とりあえず絶縁テープで養生します。
カギスプレー
電気設備には多くの場所でカギがかかっています。
古いものになると開きづらくなり、かなりのストレスになります。特に屋外の南京錠は手強いです。
開きづらいものは、カギ用の潤滑スプレーを使用すると劇的に改善されます。カギ用の潤滑スプレーで大事なのは、カギ専用の粉状ものを使用することです。
油系では一時的には良いですが、油にチリが付着して結果として悪化してしまいます。特に5-56なんかは決して鍵穴に使用してはいけません。
また下記の様なミニタイプが、携帯するには良いサイズです。
5-56
KUREの5-56は、一般的にも普及している潤滑油ですね。
月次点検でも、扉の開閉が鈍いところで使用しています。
1本持っておけば、何かと役に立ちます。
携帯するなら、下記のミニサイズのタイプをおすすめします。
鎌
田舎では受電設備の周りを含めて、雑草が生えるところも少なくありません。また引込柱では、蔦が巻いて登っていき地絡事故に繋がることもあります。
除草作業も電気主任技術者の業務の一環と言えます。そこで簡単な除草ができる様に、鎌を携行しています。
本格的な除草は、草刈機や除草剤などを検討する必要があります。とりあえずの対策として、鎌で除草しておきましょう。
下記の折畳める鎌はコンパクトでオススメです。
月次点検の道具【入れ物編】
月次点検の道具の携行方法は、大きく2つに分かれます。
- 腰道具派
- バッグ派
個人的な主観ではありますが、腰道具派が多数ですね。
しかし私はバッグ派です。バッグも様々なタイプがありますが、ショルダーバッグを使用しています。
月次点検では狭いところを通る場合があります。すると腰道具では引っ掛かったり、建物や設備に傷を付ける可能性があります。またタラップを昇る時も、腰道具なら工具の落下に注意する必要があります。
この様な理由から、ショルダーバッグの方がメリットが大きいと考えます。
しかしこの辺りは、個人の好みで良いと思います。
まとめ
- 月次点検でも必要な道具は沢山ある
- 体の負担を考えるとコンパクトな方が良い
今回紹介した様に、月次点検といっても様々な道具が必要です。もちろん各々の状況で、必要な道具は変化します。
少しでも誰かの参考になればと思います。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
コメント
現役電気管理技術者ですー!
自身も普段は腰道具にクランプメーター・テスター・検電器・ドライバー・ペンチ・レンチ等を入れて点検に向かうてますが、脚立/メガー/鍵穴スプレーなど頻度が低ければ基本車載で都度取りに行きますー。年次点検の道具も事前リストアップの都度車載ですし。
作業車が軽EVにつき荷物は必要最低限ですー航続距離の短さから「ヤバイよ」経験もありますが(出川哲郎状態)でも経費節減に役に立つし受託先も近場メインになりました。
あと点検に必要になる道具を自ら作ることもありますよ。この業界はアマチュア無線有資格者も多く、電子回路工作スキルのある技師はそれを自作しては作業効率化に役立てますから。管理技術者同士の交流会でそれわ披露する方も少なくないですよ!?
電研鑽種さま
コメントありがとうございます。
軽EVを導入されているとはすごいですね。
私は田舎なので、移動距離があり導入が難しいので羨ましい限りです。
仕事に便利な道具の自作は楽しいですよね。
私も色々と考えはしますが、知識と技能が追い付いていないのが実情です。