どうもじんでんです。電気の業界では、強電と弱電という言葉が出てきます。
皆さんも聞いたことがあると思います。しかしその区分を明確に答えることができますか。ぼんやりとは区分できても、明確に区分できている人は少ないのではないでしょうか。
今回はそんな強電と弱電について解説します。
強電と弱電とは?
強電と弱電という言葉を聞いて、皆さんはどの様な区分をしますか。
一般的には、次の様な区分をしているのではないでしょうか。
- 強電・・・電気をエネルギーとして利用している
- 弱電・・・電気を信号として利用している
これは概ね正しい解釈です。しかし具体的には分かりませんよね。
ここからは、これらの定義や根拠について解説します。
電気事業法による定義
電気に関する法律として電気事業法があります。その下に電気設備に関する技術基準を定める省令があります。
この中に、強電流電気と弱電流電気という言葉が記載されています。これが強電と弱電の語源と思われます。
強電流電気(強電)の定義
経済産業省から出ている「電気設備に関する技術基準を定める省令の解説」の第1条の電線の定義で、強電流電気について記載があります。
「電線」とは、強電流電気の伝送に使用するもののみを指す用語である。強電流電気とは弱電流電気に対応する用語であり、弱電流電気(電信、電話等の用に供される低電圧微少電流のものをいう。)以外のものをいう
引用:電気設備に関する技術基準を定める省令の解説
この様に強電流電気は、弱電流電気以外のものを指すことが分かります。
弱電流電気(弱電)の定義
弱電流電気についても強電流電気と同じく、電線の定義の中に記載があります。
弱電流電気は記載の通り、電信や電話を指すことが分かります。電信とは通信全体を指す言葉です。通信と読み替えて差し支えないです。
また「電気設備の技術基準の解釈の解説」の第1条では、電信・電話等以外の弱電流電気の具体例について記載されています。
- インターホン、拡声器等の音声の伝送回路
- 高周波又はパルスによる信号の伝送回路
- 最大使用電圧が10V以下で使用電流が5Aを超えない電気回路
- 短絡電流が1mA程度以下の電気回路
- 電圧の最大値が60V以下の直流電気回路で第181条に規定する小勢力回路に準じたもの
- 電力保安通信線であって、最大使用電圧が110V以下で短絡電流が100mA以下の電気回路
⑤に記載される小勢力回路は、よく弱電回路と勘違いされていますが、あくまでも強電回路の一種です。小勢力回路について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
これらが弱電の対象となります。
ただし電気設備の技術基準の解釈の解説でも触れられていますが、昨今では強電と弱電の区分が難しくなっています。
強電と弱電のまとめ
強電と弱電の区分を表にまとめました。
区分 | 対象 |
---|---|
強電回路 | 弱電回路以外の回路 小勢力回路 |
弱電回路 | 電話・通信用の回路 インターホン、拡声器等の音声の伝送回路 高周波又はパルスによる信号の伝送回路 最大使用電圧が10V以下で使用電流が5Aを超えない電気回路 短絡電流が1mA程度以下の電気回路 電圧の最大値が60V以下の直流電気回路で第181条に規定する小勢力回路に準じたもの 電力保安通信線であって、最大使用電圧が110V以下で短絡電流が100mA以下の電気回路 |
強電と弱電については、様々な見解に分かれます。特に小勢力回路を弱電と勘違いされていたり、そこから60V未満は弱電と解釈されたりしています。個人的にはこれらの解釈は誤りだと思っています。
ここでは電気事業法を主とした解釈となっていますのでご了承下さい。
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