どうもじんでんです。電気回路は大きく、電圧の大きさで区分されています。その区分ごとに様々な決まりや制限がかけられています。
しかしそれらと別に、小勢力回路と定められているものがあります。今回はそんな小勢力回路について解説します。
小勢力回路とは?
電気設備の技術基準の解釈では、操作回路や呼鈴回路などを条件を設けて小勢力回路としています。
小勢力回路の条件として、1番のポイントは最大使用電圧が60V以下ということです。
電気事業法では電圧の区分ごとに、電線の種類や太さなど様々な制約がかけられています。低圧は、交流なら600V以下となっています。
なので低圧と区分されている回路は、この600Vでも安全に使用できるようにルールが決まっています。さらに対地電圧などが一定以下であれば制限が緩和されたりもしますが、これはコンセントなどの100Vを想定しています。
しかし100V以下の電圧はさらに危険度が低い為、もう一段階の制限を緩和してもいいというのが小勢力回路です。
小勢力回路に該当すれば、低圧電路の基準に適合する必要はなく、小勢力回路の基準に適合すればよいです。
また小勢力回路は、他の強電流回路との電線の関係(接近、交差)においては、電話線や通信線のような弱電流回路と同等の扱いを受けます。しかしあくまでも強電回路の一種であり、弱流電気回路ではありません。
小勢力回路の条件
小勢力回路に該当する条件は「電気設備の技術基準の解釈」の第181条にて定められています。
要約すると次のとおりとなります。
- 電磁開閉器の操作回路または呼鈴もしくは警報ベルなどに接続する電路
- 最大使用電圧が60V以下
- 最大使用電流が規定の値以下であること
- 電源供給電路に絶縁変圧器を施設してあること
ポイントは、最大使用電圧が60V以下だけが条件では無いことです。
あくまでも操作回路や警報ベルなどに接続する電路でないと、小勢力回路とはなりません。
しかし警報ベル等となっており、この等の解釈は定かではありません。これについては、ここでは割愛しますが「電気設備の技術基準の解釈の解説」で触れられています。
これらの条件に該当しない場合は、最大使用電圧が60V以下でも小勢力回路とはならず、低圧回路として扱われます。
また、ここでの最大使用電圧60Vは交流電圧を指しています。直流電圧は対象外です。
最大使用電流
最大使用電流は、小勢力回路の最大使用電圧の区分で変わります。
その区分は次の表の通りです。
最大使用電圧の区分 | 最大使用電流 | 変圧器の二次短絡電流 |
---|---|---|
15V以下 | 5A | 8A |
15Vを超え30V以下 | 3A | 5A |
30Vを超え60V以下 | 1.5A | 3A |
右欄の二次側の短絡電流については、次の変圧器の施設で関係してきます。
この最大使用電流を超える回路の場合は、小勢力回路としては扱われません。
変圧器の施設
小勢力回路に電源を供給する回路には、変圧器を施設するとなっています。
これにも様々な要件があります。
- 絶縁変圧器であること
- 一次側の対地電圧が300V以下であること
- 二次側の短絡電流が規定する値(前述の表を参照)以下であること
- ただし二次側電路に前述の表の最大使用電流以下の過電流遮断器を施設する場合はこの限りではない
この条件に該当しない場合は、小勢力回路としては扱われません。
小勢力回路の例
小勢力回路の条件を例を元に図解します。
小勢力回路として代表的なチャイム回路で解説します。
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