どうもじんでんです。皆さん絶縁抵抗計を使ったことがありますか?
絶縁抵抗計は工事後の検査や、定期点検、漏電調査など、様々な電気設備の点検に使用されます。電気の基本的な計測器の1つですね。
多くの電気工事士や電気主任技術者、保守管理会社の人が扱った事があるかと思います。
ところで皆さん、絶縁抵抗計の極性について考えたことがありますか?絶縁抵抗計にはライン側とアース側があり、接続方法はご存じかと思います。絶縁抵抗計は直流電圧を発生させているので当然、極性があります。
さてどちらがプラスで、どちらがマイナスでしょうか。またその理由はなぜでしょうか。今回は絶縁抵抗計の電圧の極性について解説します。
絶縁抵抗計とは?
絶縁抵抗計は、絶縁抵抗値を測定する為の計測器です。メガーとも呼びますね。
絶縁抵抗とは、電気をどれだけ通しにくいかを表しています。絶縁抵抗値が大きいほど、電気を通しにくい状態と言えます。逆に絶縁抵抗値が低いほど、電気を通しやすい状態と言えます。
絶縁抵抗が電気を通しやすい状態を数値化したものであることから、絶縁抵抗は漏電と大きく関係しています。絶縁抵抗値が低いということは、漏電しているとも言えます。
絶縁抵抗について詳しくは、こちらの記事をご覧下さい。
また絶縁抵抗を測定することを絶縁抵抗測定と呼びます。絶縁抵抗測定の基本はこちらの記事をご覧ください。
絶縁抵抗計の電圧の極性
絶縁抵抗計には2本の測定コードがついています。主にライン側とアース側と表現することが多いです。
またコードの色はライン側が赤、アース側が黒色となっていることが多いです。
絶縁抵抗計は、直流の電圧を発生させて測定しています。直流電圧と言うことは、プラス・マイナスの極性があります。
では絶縁抵抗計の極性は、どうなっていると思いますか?
コードの名称と色から、ライン側がプラスでアース側がマイナスと思っている方も多いのではないでしょうか。
実はこれは誤りで、ライン側がマイナスでアース側がプラスになっています。このことから絶縁抵抗計の測定コードは、ライン側とアース側と表現しています。プラス側、マイナス側だと、電圧の極性と逆になってややこしくなります。
絶縁抵抗計の電圧の極性
- ライン側…マイナス
- アース側…プラス
「なぜ?」と思うかもしれませんが、これには深い理由があります。
極性が逆じゃないといけない理由
まず、絶縁抵抗計の測定原理について簡単に解説します。
絶縁抵抗計は、測定コードのライン側とアース側間に直流電圧が発生します。この時の電圧の大きさは、絶縁抵抗計の測定レンジの大きさです。125Vレンジであれば、125Vが発生します。
この直流電圧を試験物に印加することで電流が流れます。絶縁抵抗測定においては、この電流を漏れ電流と表現した方が理解しやすいでしょう。
オームの法則から電圧と電流で抵抗が求められるのは、電気の仕事に従事している方なら簡単に理解できますね。この求められた抵抗が絶縁抵抗値となります。
漏れ電流が多ければ絶縁抵抗値が低くなり、漏れ電流が少なければ絶縁抵抗値は高くなります。
このことを踏まえて、ここから極性について解説します。
絶縁抵抗測定では、ライン側(マイナス)を導体部に、アース側(プラス)を絶縁物又は接地端子に接続します。
アース側から出た電流は、絶縁物内部や表面を通って導体部に流れ、ライン側へ戻っていきます。
しかし同じ試験物で、極性を逆向きで試験した場合に絶縁抵抗値に相違がある事があります。絶縁抵抗値を比べると正常の向きが低く、逆向きは高くなります。
古くからこの事象は発見されており、絶縁抵抗値の管理面で低い値を採用する方が良いと判断され、現在に至っています。
実際に日本産業規格(JIS)でもライン側がプラス、アース側がマイナスと規定されています。
しかし現場で測定する場合にプラス側とマイナス側の表記だと、接続を間違える可能性があります。したがって絶縁抵抗計の表記は、ライン側とアース側となりました。
備考として電圧極性が逆だと、絶縁抵抗値が高くなるのは全ての試験物に一律で現れる事象ではありません。主に絶縁電線やケーブルなどの大地との絶縁を測定する際に現れた事象だそうです。また現在の絶縁物では、このような事象は発生しないとも言われています。しかし現在も問題が発生していないので、この極性が採用され続けています。
まとめ
- 絶縁抵抗計の極性はライン側がマイナスでアース側がプラス
- 極性を逆にして測定すると絶縁抵抗値が高くでる場合がある
絶縁抵抗測定は、漏電から人や物を守る大事な試験です。しかし誤った使い方をすると正しい結果が得られません。
この記事で少しでも、絶縁抵抗計への理解が深まればと思います。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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