どうもじんでんです。電気屋の必須の測定器としてテスターが挙げられます。その中でもポケットに入れて、常に携帯できるカードテスターは誰しもが持っていますよね。
カードテスターの機能は、電圧と抵抗値の測定が主ではないでしょうか。しかしカードテスターで電流も測れたら良いなって思ったことないですか。
そんな電流も測れる、クランプ付きのカードテスターがあるんです。今回は共立電気計器のテスターの紹介です。
共立電気計器のAC/DCクランプ付デジタルマルチメータ KEWMATE 2000A
共立電気計器は電気計測器の製造、販売をしている日本のメーカーです。特に共立電気計器といえば、日本で初めてのクランプメーターを開発した企業です。
私も多くの測定器を愛用しています。特にリーククランプメーターは種類が豊富で良いですね。
さて電気屋の誰しもが持っているカードテスターですが、電流は測ることができません。カードテスターで電流が計れたら便利なのになと思ったことがあるでしょう。
そんな悩みを解決してくれる製品があります。それが今回、紹介する共立電気計器のKEWMATE 2000Aです。
クランプメーターは別に持っているから、テスターに付いていなくてもいいと思っている方にもおすすめできる製品です。
クランプ付きテスターのシリーズは、KEWMATE(キューメイト)と呼ばれています。キューメイトシリーズには、見た目は同じでも機能の違う3機種があります。
- KEWMATE 2012RA True RMS対応の最上位モデル
- KEWMATE 2001A クランプサイズがΦ10の中間モデル
- KEWMATE 2000A 機能を絞った廉価モデル
それぞれ特徴がありますが、ここで紹介するのは廉価モデルの2000Aです。
この記事を見て機能が物足りないなと思った時は、他の機種を見れば満足できる性能かもしれません。
KEWMATE 2000Aをおすすめできるのはこんな人です。
- テスターで電流も測れたら良いなと思ったことがある人
- 分電盤での作業が多い人
- 太陽光発電設備の保守管理をする人
総合評価
製品名 | AC/DCクランプ付デジタルマルチメータ KEWMATE 2000A |
---|---|
総合おすすめ度 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
サイズ | カードテスターにしては大型 | |
機能 | クランプによる電流測定可能 | |
操作性 | 片手で操作可能 | |
付属 | ホルスターに工夫あり | |
性能 | True RSMは非対応 |
※評価については、他メーカーの同等クラスの製品との比較や、個人的な主観を元に点数を付けています。
スペック
製品名 | AC/DCクランプ付デジタルマルチメータ KEWMATE 2000A |
---|---|
直流電圧 | 0〜600V |
交流電圧 | 0〜600V |
抵抗 | 0〜34MΩ |
周波数 | 電流:0~10k㎐ 電圧:0~300k㎐ |
サンプルレート | 約400ⅿs |
電源 | 単4形乾電池×2 |
サイズ | 約128×87×24㎜ (ホルスター含む、ケーブルの突出は含まない) |
重量 | 210g (ホルスター及び電池装着時) |
測定カテゴリー CAT | CAT Ⅲ 300V (キャップ装着時) CAT Ⅱ 600V (キャップ非装着時) |
True RSM | 非対応 |
※抜粋して記載しています。詳しくはメーカーのサイトなどをご参照ください。またスペックの一部は実測値を記載しています。
クランプ付きで電流が測れる
KEWMATE 2000Aの最大の特徴は、クランプ付きで電流の測定もできることです。
またこのクランプはオープンコアタイプで、普通のクランプのように挟む必要がありません。このオープンコアは非常に便利です。
これまでは分電盤で分岐回路の電流を測ろうとしても、電線間の余裕がなく測定に苦労していました。
しかしKEWMATE 2000Aなら、オープンコアなので差し込むだけで電流の測定ができます。クランプ自体も小型なので、余程のことがない限り測定できないことはありません。
もちろんクランプが小型なので、測定できる電線サイズには限りがあります。KEWMATE 2000Aの測定可能電線サイズはΦ6㎜で、電流値は60Aまでとなっています。
Φ6㎜は、IV電線の8㎜2を被覆の上から測定できるくらいのサイズです。
そこまで大きくはないですが、分電盤で測定が困難な箇所の電線サイズはこのくらいで十分ではないでしょうか。
更に大きいサイズの電線も測定する人は、上位モデルをおすすめします。2012RAならΦ12㎜、2001AならΦ10㎜となっています。
DCにも対応
KEWMATE 2000Aは電圧、電流ともに直流(DC)にも対応しています。特に直流の電流を測定できるのはポイントが高いです。
近年は太陽光発電設備が増加しており、パネルからPCSまでは直流となっています。太陽光発電設備のトラブル対応などで、回路ごとの電流値を測ることがあります。
そんな時もKEWMATE 2000Aを持っていれば対応できます。直流の電圧と電流に対応しているので、小規模の太陽光発電設備ならこれ1台で測定できますね。
周波数も計測できる
KEWMATE 2000Aの意外なポイントに周波数の測定機能があります。
数あるカードテスターを探しても、周波数の測定に対応しているものは少ないです。
周波数を測定する場面はあまりないかと思いますが、測定する場面に遭遇した時に携帯しているカードテスターで測定できるのは安心感があります。
しかしその反面で、静電容量(キャパシタンス)の測定機能はありません。個人的には、静電容量より周波数測定の方が役に立つと思います。
どちらも必要という人は、最上位モデルの2012RAなら対応しているので、そちらを検討しましょう。
本体が工夫されている
KEWMATE 2000Aは測定機能だけでなく、本体も様々な工夫がされています。
ケーブルが強化された
キューメイトシリーズの現行機種は3つですが、過去には他のモデルもありました。キューメイトシリーズの登場初期のモデルは、測定コードの根本が断線しやすいという欠点がありました。
クランプ付きのテスターとして人気でしたが、断線して使えないという意見も多く聞かれました。私の周囲でも短期間で使用できなくなり、それ以降は使っていない人もいます。
この欠点はメーカーも把握しており、現行機種では改善されています。
断線箇所は多くが、測定コードの本体側の根本で発生していました。1番負荷がかかるところですね。また収納する際も測定コードをホルスターに巻き付ける形なので、負荷をかける要因となっていました。
初期のモデルは、測定コードが本体から垂直に出ていました。しかし現行モデルでは、その部分に保護ブッシュが付けられており、横向きにコードが出るようになっています。収納時に負荷が掛からない様な設計となっています。
測定コードをホルスターに固定できる
カードテスターを使う際に不便なのが、測定コードと本体の固定です。
測定コードを両手で持つと本体が持てず、片手で2本の測定コードを持つのは危険です。現場では本体を置く場所がない状況も多々あり、皆さん苦労していることかと思います。
しかしKEWMATE 2000Aはそんな問題も解決してくれます。
ホルスターの測定コードを収納する場所に、測定コードを固定できます。これで両手で安全に測定が可能となります。固定も意外としっかりしています。
小さなポイントですが、しっかりと現場のことを考えて作られているなと感じます。
ホルスターにカラーバリエーションがある
KEWMATE 2000Aは測定器には珍しく、ホルスターにカラーバリエーションがあります。
通常品は共立電気計器のカラーである、グリーンとなっています。しかし別売りのホルスターにはブルー、パープル、イエローが用意されています。
自分好みのカラーを購入して、他の人とは違う自分だけのテスターは愛着が湧きますね。
本体が大きい
KEWMATE 2000Aはカードテスターとして紹介していますが、一般的なカードテスターと比べると本体が大きいです。
カードテスターは作業服の胸ポケットに入れられるのがポイントですが、KEWMATE 2000Aはギリギリ胸ポケットに入るかなってサイズです。一般的なカードテスターのサイズ感で買ってしまうと、デカいと感じるでしょう。
クランプ付きなので仕方のないことではありますがデメリットですね。
HIOKIの3244-60とのサイズの比較画像を置いておきます。
サイズについては、よく調べてから購入するようにしましょう。
まとめ
- クランプ付きで電流も測れるカードテスター
- オープンコアで狭い箇所の電流測定もできる
- 直流電流も測定できるので、太陽光発電設備におすすめ
KEWMATE 2000Aはとてもおすすめできる製品です。
クランプ付きのテスターとしても優秀ですが、オープンコアのクランプだけでも価値があります。電流の測定に困っている人、太陽光発電設備で直流電流を測定する人は買って損はないです。
この記事が皆さまのお役に立てば幸いです。
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