どうもじんでんです。最近の電気設備は、技術進歩により昔と比べたら大幅な小型化がされています。小型化は省スペースなどのメリットが大きいですが、その反面でデメリットもあります。それは保守点検の難しさです。
その中の1つとしてブレーカーの小型化に伴う、電線の過密があります。ブレーカーが小型になれば接続される電線が密着しやすく過密になります。
そこで問題となるのがクランプメーターによる電流計測です。
通常のクランプメーターは構造上、どうしてもある程度の隙間がないと計測ができません。しかし現代の小型な設備では、難しい場面に遭遇することが多くなりました。
今回はそんな、狭い場所での電流計測の悩みを解決できるクランプメーターを見つけたので紹介します。
共立電気計器のフォークカレントテスタ2300R
電線が過密状態の場所での電流計測が難しいのは、クランプメーターの構造に問題があります。クランプメーターは電線を挟んで計測するので、先端が開きその間に対象の電線を通す必要があります。
しかし電線が過密な場所だと開いた先端が他の電線に当たり、対象の電線を通すまでに至らないこととなります。電線に余裕があれば、手前に出したりして測定できますが、余裕がない場合は手の打ちようがありません。
これを解決できるのが、共立電気計器のフォークカレントテスタ2300Rです。
2300Rの最大の特徴は、オープンコアを採用している点です。
オープンコアとは従来のクランプメーターのようにクランプセンサが円状になっておらず、U字のような一部が開いた形状のクランプセンサです。
開いている部分があるので、電線にクランプメーターを差し込むだけで測定できます。これまでのようなクランプを開いて、電線を通して、クランプを閉じるといった一連の動作は不要です。
想像するだけで、めちゃくちゃ便利なクランプメーターですよね。
オープンコアのクランプセンサは、同じ共立電気計器のテスターでも採用されています。
しかし計測器は性能があってナンボです。オープンコアでデメリットがあるんじゃないのなどの疑問を持たれる方もいるでしょう。
今回は共立電気計器のフォークカレントテスタ2300Rを様々な観点からレビューしていきます。
2300Rをおすすめできる人は次のような人です。
- 電線が過密していて電流計測が難しいと感じていた人
- 太陽電池発電設備の保守点検をする人
- 直流対応のクランプメーターを必要としている人
総合評価
製品名 | フォークカレントテスタ2300R |
---|---|
総合おすすめ度 |
項目 | 評価 | 備考 |
---|---|---|
機能 | 直流電流にも対応 | |
性能 | CTAやTrue RSMに対応 | |
操作性 | 片手で操作可能 | |
サイズ | 手に収まるコンパクトサイズ | |
付属 | ストラップ付 専用携帯ケース付き |
※評価については、他メーカーの同等クラスの製品との比較や、個人的な主観を元に点数を付けています。
スペック
製品名 | フォークカレントテスタ2300R |
---|---|
交流電流 | 0~100.0[A] |
直流電流 | 0~100.0[A] |
クレストファクタ | 2.5 |
測定可能導体径 | 最大Φ10[㎜] |
電源 | 単4形乾電池×2本 |
連続使用可能時間 | 交流電流時:約46時間 直流電流時:約52時間 |
サイズ | 約161×40×30[㎜] |
重量 | 約110[g] ※専用充電池含む |
測定カテゴリー CAT | CAT Ⅲ 300V |
True RSM | 〇 |
※抜粋して記載しています。詳しくはメーカーのサイトなどをご参照ください。またスペックの一部は実測値を記載しています。
オープンコアで計測しやすい
2300Rの最大の特徴はオープンコアです。これまでのクランプメーターの常識を覆すような製品ですね。
使用感は普通のクランプと変わらず
オープンコアなので、クランプメーターを電線に差し込むだけで電流を計測できます。これまでの苦労はなんだったんだと思わされます。
実際に使ってみても差し込んでから電流値が表示されるまでの時間は、通常のクランプメーターと遜色ない感じでした。もちろん誤差があるような感じではありません。
測定できる電線サイズが小さい
一見、なんのデメリットも無いように感じますが、欠点は計測可能な電線サイズの小ささです。
2300Rの測定可能導体径はΦ10㎜です。Φ10㎜で測定可能なサイズは、IV電線の被覆の上からと仮定すると、22㎜2が限界です。
現場によっては、22㎜2では不十分な場合もあるので注意が必要です。
電線が過密となっている場所で使用される電線サイズは、22㎜2より小さいことが多いのでそういった場所では問題ありません。ですがマルチにどこでも使えるクランプメーターとはならないのが残念なポイントです。
あくまでも普通のクランプメーターの補助的な立ち位置ですね。
しかしこのオープンコアタイプのクランプメーターは製品の種類が少なく、どれも測定可能導体径は似たり寄ったりとなっていて選択肢はありません。
直流対応で太陽電池発電設備にも使える
クランプメーターの多くの製品は、交流電流の測定にしか対応していません。しかし昨今は、太陽電池発電設備の普及により直流の測定の需要が上がっています。
そんな中で、2300Rはなんと直流電流の測定に対応しています。
2300Rがあれば、太陽電池発電設備の点検にも活用できます。集電箱内のストリング毎の電線も過密となっていることが多いので、オープンコアの形状が大活躍します。
定期点検でストリング毎に発電しているか、クランプメーターを使って確認している人も多いでしょう。そんな時に2300Rがあれば、かなりの省力化が期待できます。
普通のクランプメーターでの開いて、咬ませて、閉じての動作が無くなり、次々に差し込んでいくだけで測定できます。実際に点検している人は、想像するだけで楽になると思えるはずです。
クランプメーターとしての性能も十分
一見、便利そうな2300Rですが、クランプメーターとしての基本的な性能が気になる人も多いはずです。
2300Rの性能部分を確認していきます。
測定可能範囲は100Aまで
2300Rの測定レンジは1つだけで、交流と直流どちらも100Aとなっています。
クランプメーターとして考えると100Aは小さいようにも感じます。ですが22㎜2までの電線しか測定できないと考えると、必要最低限とも言えます。
しかしIV電線の22㎜2の許容電流が115Aなので、150Aくらいまでは測定できると完璧だったかと思います。
TrueRMSに対応
最近はインバーター機器の増加により高調波が流入して、正弦波が歪んでいることがあります。
このような回路の測定をこれまでの計測器ですると、誤差が生じやすい問題があります。
これを解決するのがTrueRMS対応の計測器です。TrueRMS対応の計測器であれば、高調波を含んだ回路でも正確に測定できます。
2300RはこのTrueRMSに対応しています。今の時代ではTrueRMS対応は、測定器としてマストの機能です。まだまだ対応していない製品も多い中で、2300Rが対応しているのはおすすめできるポイントです。
CAT Ⅲに対応
測定器を安全に使用する規格として、測定カテゴリーCATというものがあります。
2300RはCAT Ⅲ 300Vに適合しています。CAT Ⅳではないので分電盤の引込みの測定には使用できません。
しかし2300Rの使用場面を考えれば、分電盤のブレーカー二次側が主なのでCAT Ⅲで十分だと思います。
まとめ
- オープンコアで測定しやすい
- 直流対応で太陽電池発電設備のメンテナンスにも使える
- 基本的な性能は問題ない
共立電気計器の2300Rは総合的におすすめできるクランプメーターです。
これまでの電流計測の苦労から解放されます。
しかし計測可能な電線サイズが22㎜2までなど、メインのクランプメーターとはならないのは残念なポイントです。あくまでも補助的なポジションです。
それでも効率を考えれば、購入して損はしないでしょう。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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