どうもじんでんです。今回は圧着工具の選び方についての解説です。どれも同じに見えて、実は色々あります。
圧着工具とは?
圧着工具とは、圧着スリーブで電線同士を接続したり、圧着端子を電線につけたりする工具です。圧着スリーブや圧着端子は、総称して電線コネクタと呼びます。
圧着工具は電気工事向けだけでなく、通信や自動車の電装向けなど色々とあります。ここでは電気工事向けに絞って説明します。
圧着ペンチなどとも呼びますが、ここでは圧着工具と呼びます。
また圧着工具には、「手動式」「油圧式」「電動式」などがあります。ここでは、手動式のみを紹介します。
圧着できる端子及びスリーブの種類とサイズ
圧着工具を選ぶ1番のポイントは、圧着できる種類とサイズです。
圧着工具はそれぞれの種類に応じたもの、またサイズも適切でないと圧着不良を引き起こします。圧着不良により、過熱や断線、引抜けなど様々なトラブルを招きます。
適切な圧着工具を選びましょう。
リングスリーブ用
リングスリーブ用は、リングスリーブ専用の圧着工具です。リングスリーブは、圧着スリーブのE形とも呼びます。電気工事士の資格試験にも登場する、最も有名な電線コネクタではないでしょうか。
差込形電線コネクタが普及した現在でも、リングスリーブによる接続は信頼性の観点から多く使用されています。
サイズは「小1.6×2」「小」「中」「大」の4種類です。組合せは次の2通りが多いです。
- 4種類全てに対応
- 「小1.6×2」「小」「中」の3種類に対応
①は1本で全てのサイズに対応できます。しかし本体サイズが大きいのがデメリットです。
②は「大」のサイズに対応しませんが、本体サイズが小さい為、扱いやすいのがメリットです。
私は使い分けて使用しています。私の場合は、「大」が必要となる場面が少ないです。基本は②を使用して、「大」が必要な時だけ①を使用します。
工具の数を減らしたい場合や使用頻度が少ない場合は、①だけでもいいですね。
裸圧着端子・裸圧着スリーブ用
裸圧着端子・裸圧着スリーブ用は、裸圧着端子と裸圧着スリーブ用の圧着工具です。裸圧着端子はR形やY形などが、裸圧着スリーブはP形とB形があります。
サイズは「1.25」「2」「5.5」「8」「14」「22」「32」があります。これ以上のサイズもありますが、これ以上になると油圧式などになる為、今回は割愛します。
裸圧着端子・裸圧着スリーブ用では、1本の圧着工具で使用できるサイズの組合せが色々とあります。
沢山のサイズに対応できるタイプは、大きく扱いづらいです。対応サイズを絞ってあるものは小さく扱いやすいのが特徴です。1本で全てに対応するのは不可能なので、どのサイズにも対応するには複数本を準備する必要があります。
使用頻度が高いものは、なるべく小さいサイズのものが扱いやすくおすすめです。
絶縁被覆付閉端接続子用
絶縁被覆付閉端接続子用は、絶縁被覆付閉端接続子専用の圧着工具です。絶縁被覆付閉端接続子は、絶縁被覆付きのリングスリーブの様なものです。絶縁被覆がついているので、圧着後の絶縁処理が不要です。
サイズは「CE1」「CE2」「CE5」「CE8」があります。組合せは次の2つが多いです。
- 全ての種類に対応
- 「CE1」「CE2」「CE5」の3種類に対応
①は全てのサイズに対応できますが、本体サイズが大きく扱いづらいです。②は本体サイズが小さく扱いやすいです。
絶縁被覆付圧着端子・絶縁被覆付圧着スリーブ用
絶縁被覆付圧着端子・絶縁被覆付圧着スリーブ用は、絶縁被覆付きの圧着端子と圧着スリーブ用の圧着工具です。
サイズは、「1.25」「2」「5.5」があります。1本の圧着工具での、サイズの組合せは色々とあります。
複合形
これまでに紹介した圧着工具はどれも専用のものでした。しかしこれまでに紹介した、複数の電線コネクタに対応した圧着工具もあります。一例を挙げます。
- 裸圧着端子と絶縁被覆付圧着端子に対応
- 裸圧着端子と絶縁被覆付閉端接続子に対応
探してみれば他にもあるかもしれません。
選ぶポイント
いざ圧着工具を購入しようと思った時に、良いものかどうか選ぶポイントを紹介します。最近ではAmazonなどで安い圧着工具もあるので、ポイントとなればと思います。
JIS適合
圧着工具を選ぶポイントとして、日本産業規格(JIS)に適合しているかがあります。圧着工具のJIS規格は「JIS C 9711」です。
JIS適合品であれば、一定の品質をクリアしてると言えるでしょう。
しかしJIS規格にない「3.5」のサイズや、被覆付端子等はJIS適合の圧着工具はありません。一概にJIS適合でないから悪いとも言えません。1つの目安にして下さい。
成形確認機構(ラチェット)
成形確認機構とは、圧着が確実にできるまで力を加えないと、ハンドルが開かない様になっている機能です。これがあることで、加圧不足による圧着不良を防止できます。
成形確認機構をラチェットとも呼びます。
この機能は、日本産業規格(JIS)でも求められている機能です。
電気工事では、接触不良による過熱からの発火、火災も考えられます。成形確認機構は必須の機能です。
まとめ
- 圧着工具は電線コネクタの種類ごとに専用のものがある
- JIS適合が1つのポイント
- 成形確認機構は必須
圧着工具は、電線を接続する大事な道具です。接続不良があると、電気火災に繋がってしまいます。そうならない為にも良い製品を選びたいですね。
この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。
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