電気主任技術者のもう一つの形 保安管理業務外部委託承認制度ってなに?

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どうもじんでんです。自家用電気工作物には、電気主任技術者の選任が必須となっています。因みに自家用電気工作物って日本にどの位の件数があるでしょう。少し古い情報になりますが、令和1年度末で約900,000件です。

この900,000件に、1人ずつ電気主任技術者が選任されていると思いますか?答えは「NO」です。

正直、この数の電気主任技術者は存在しません。これは「保安管理業務外部委託承認制度」によって電気保安が成り立っているからなのです。今回はこの保安管理業務外部委託承認制度について解説します。

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保安管理業務外部委託承認制度の概要

電気事業法第43条にて事業用電気工作物を設置する者は、電気主任技術者を選任しなければならないとされています。

電気主任技術者の基本については、こちらの記事をご覧下さい。

しかし一定の条件を満たせば、保安管理業務外部委託承認制度により選任しないことが可能です。

選任が不要だからと言って、電気主任技術者が不要と言うわけではありません。委託契約という形で、保安管理業務を特定の条件に該当する者と契約する必要があります。この特定の条件に該当する者は、もちろん電気主任技術者の資格が必要です。

この委託契約先は、条件はありますが複数の事業場を受け持つことが可能です。これにより1人の電気主任技術者による、複数の自家用電気工作物の保安管理が可能となっています。

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保安管理業務外部委託承認制度の対象となる事業場

保安管理業務外部委託承認制度を適用できる事業場は、制限が設けられています。全ての自家用電気工作物に適用できる訳ではありません。

適用できる事業場は、次の条件を満たしている必要があります。

  1. 太陽電池発電所においては、出力5000kW未満で電圧7000V以下で連系するもの
  2. 火力発電所、水力発電所、風力発電所においては、出力2000kW未満で電圧7000V以下で連系するもの
  3. 2の設置工事のための事業場
  4. 2以外の発電所においては、出力1000kW未満で電圧7000V以下で連系するもの
  5. 4の設置工事のための事業場
  6. 需要設備の設置工事のための事業場においては、電圧7000V以下で受電するもの
  7. 需要設備においては、電圧7000V以下で受電するもの
  8. 電圧600V以下の配線線路を管理する事業場

抜粋して記載しています。これについては「電気事業法施行規則の第52条2項」に定められています。

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保安管理業務の委託先の要件

保安管理業務の委託先としては次の2つが挙げられます。

  • 個人事業者(電気管理技術者)
  • 法人(電気保安法人)

個人事業者は、電気管理技術者とも呼ばれます。協会などに所属している人も多いですが、それぞれは個人事業主となります。

法人は、電気保安法人とも呼ばれます。代表として各地域の電気保安協会が挙げられます。

それぞれに要件が定められています。

次に解説する要件については抜粋して記載しています。詳しくは、「電気事業法施行規則の第52条-2」及び「経済産業省告示第249号」をご覧下さい。

要件に含まれる換算係数について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

個人事業者(電気管理技術者)

個人事業者には、次の要件が求められます。

  • 電気主任技術者免状の交付を受けて、一定の期間、実務に従事した者
  • 特定の機械器具を有していること
  • 保安管理業務業務に従事する事業場の換算係数の合計が33未満であること

法人(電気保安法人)

法人には、次の要件が求められます。

  • 電気主任技術者免状の交付を受けて、一定の期間、実務に従事した者
  • 特定の機械器具を有していること
  • 保安従事者が従事する事業場の換算係数の合計が33未満であること

保安管理業務外部委託承認の申請と承認の基準

保安管理業務を外部委託しようとするときは、経済産業大臣へ申請書を提出して承認をもらう必要があります。

提出書類としては、次のものが必要です。

  • 委託契約の相手方の執務に関する説明書
  • 委託契約書の写し
  • 委託契約の相手方が前条の要件に該当することを証する書類

これについては、電気事業法施行規則の第53条1項に定められています。

これらの書類をもとに、審査され承認の判断がされます。

承認の基準については次の通りです。

  • 委託契約先(個人事業者及び法人)が要件を満たしていること
  • 委託契約が、保安管理業務の委託のみの内容であること
  • 申請事業場の電気工作物が、電気事業法施行規則の第48条第3項各号に掲げる場所に設置する電気工作物でないこと。
  • 委託契約書の内容に必要な項目について定められていること
  • 委託契約先の連絡場所が、当該事業場に遅延なく到達できる場所にあること。

これについては、電気事業法施行規則の第53条2項に定められています。

ここでは抜粋して記載しています。内容を深掘りしたものは別の記事にしたいと思っています。

まとめ

  • 条件を満たせば電気主任技術者を選任しない事ができる
  • 選任しない場合は、要件を満たすものとの委託契約が必要
  • 外部委託承認制度には様々な条件がある

高圧で受電する自家用電気工作物に限れば、殆どの事業場が外部委託承認制度を活用しているでしょう。しかし条件などが複雑で分かりにくい事も多いです。

外部委託の電気主任技術者も、完璧に理解している人は少ないのではないでしょうか。

今回の記事は外部委託承認制度の概要です。細かい要件やポイントについては、また別の記事で深掘りしたいと思います。

この記事が皆さまのお役に立てれば幸いです。

この記事を書いた人
じんでん

当サイトの運営者。
電気設備の保守管理の仕事に携わっています。専門知識ってネットでは出てこないか、難しすぎるって場合がおおくないですか?そこで私は電気関係の仕事で役立ちそうな情報を簡単に分かりやすく発信しています。
〔保有資格〕
・第3種電気主任技術者
・第1種電気工事士
・消防設備士

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